年越しラーメン(同棲社会人百合)
「来年の年越しの麺は、ラーメンにしようぜぃ」
今まさに年越しそばをすすりながら、マイが言った。
「……鬼が大笑いするね」
ずるるっ
そばを一気に啜って言った。
「鬼まで笑顔にさせられるなんて私たち最強じゃん」
「私まで巻き込むなっつの。……まあ、でも」
かつおと昆布の香りは最高だ。
のど越しのいいそばも。
けれど。
肉厚のチャーシュー。
濃厚な脂と醤油の香り。
「年越しラーメン。悪くないかもね」
脳裏に描いたそれらもまた、最高なのだ。
「じゃ、けってーい!」
私たちは、鬼を笑わせて、来年も一緒に居ることを密やかに誓い合う。
END.