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その頃ガーファルド家は①

「これで次の当主はルドに決まりね」


 ガーファルド家の屋敷の一室。

 当主ゴルドーは妻のフレデリカと悦に入っていた。


「ああ……もう何の心配もいらないな。難しい任務を与えた瞬間に逃げ出すとは、あの邪魔虫の無能さを知って親父もさぞ失望したはずだ」

「うふふ。ルドとルナは立派に育ってくれてよかったわ、あいつと違って」

「当たり前だろう。俺たちの子供なんだからな」

「そうね、あなた」


 二人は笑みを交わすと高級酒を呷った。


「それにしてもやつを追い出した途端に大きな仕事が入ってくるとはな」

「きっとあいつのせいで私たちの運気まで下がっていたのよ」


 妻の言葉を聞き、ゴルドーは機嫌よく笑う。

 何しろテオルが家を出てからすぐ、大きな仕事の依頼が入ったのだ。


「はっ、何が『サポートはするが気に入らない殺しはしない』だ。簡単な仕事しかできない雑魚がほざきやがって」

「本当よ。あの子たちの前では教育者面して、気持ちが悪い」

「ひとまずこれで一安心だな、フレデリカ」

「そうね。ルドとルナも十分に成長したし、後継はルドで決まりだもの」


 自分たちの子供を誇らしく感じる。


 今回受けた依頼の内容は、あるドラゴンを討伐し秘宝を持ち帰るというもの。

 住処に潜入し、察知されずに強力なドラゴンを暗殺する。

 決して簡単ではないが、この程度ならとルドとルナに向かわせることにした。念入りにしたという下調べによると、問題はないだろう。


「親父が死んだらテオルの奴を戻してやるか。もちろん、雑用係としてな」

「ふふっ、もうあなたったら。あんなやつ、使用人としてでもいらないわよ」

「くくくっ、それもそうだな」


 ゴルドーは今回の任務の成功を信じて疑わなかった。

 子供たちがこれまで、自分たちの力だけで完璧に仕事をこなしてきたと思っていたから。


 テオルが裏でどれだけのサポートをしていたのか。

 何も出来ない〝失敗作〟と蔑まず、彼の言葉に耳を傾けるべきだったのだ。現場を離れ自分の利益ばかりを優先せず、冷静な判断を下して。


 今はただ、ルドとルナの帰還を心待ちにしている。

 悲劇が迫っていることも知らずに。


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