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L村の怪異  作者: 厠谷化月
21/26

聴取記録 L県警察 (2015/8/11 14:06~)

聴取記録

L県警察

開始日時:2015/8/11 14:06~

担当者:渡会 悟

    田辺 和久

聴取対象者:田中 良子


渡会「渡会です。で、こいつが田辺。」

田中「はあ。」

渡会「田中良子さんですね。」

田中「そうです。」

田辺「それでは、先ほど署名していただいた通り、本当のことを話してくださいね。黙秘しても構いませんが。あなたを犯人だと決めつけているわけじゃないんで。」

渡会「それで、田中さん、昨日、お隣の刀ヶ谷さんの家の庭で失火があったとき、庭に居ましたね。」

田中「はい。」

渡会「火が点くところを見ましたか。」

田中「はい。」

渡会「その時の様子を教えてもらえませんか。」

田中「お宮から自然に火が付きました。」

渡会「でも、お宮には蝋燭がなかったんですよ。」

田中「ええ。見ましたから。」

渡会「それじゃあどうやって火が点くっていうんですか。」

田中「私は点けてません。蝋燭もありませんでした。でも火が勝手に点いたんですよ。」

渡会「それで、火があっという間にお宮を包んでしまったと。」

田中「はい。」

渡会「その時あなたどうしてました。火を消したり、消防に通報したりしましたか。してませんよね。通報した坂垣さんによると茫然と火を見つめていたそうじゃありませんか。」

田中「勝手に火が点いて驚いたんですよ。それで。」

渡会「あまりにも火の手が早すぎて驚いていたんじゃありませんか。」

田中「それじゃまるで私が点けたみたいじゃないですか。」

渡会「じゃあ、なぜ刀ヶ谷さんの留守中に庭に入ったんですか。」

田中「トムが。」

渡会「トムっていうのは。」

田中「うちが飼っている犬です。トムがしきりに吠えていたんです。それで。」

渡会「犬が吠えていたら隣の家に忍び込むんですか。」

田中「そんなこと言ってません。でもトムがああやって鳴くときはいつも瞳が帰ってくる時なんで。」

渡会「それで、どうして庭に行ったんですか。」

田中「トムがお隣のお宮の方を向いて鳴くもんですから、瞳が帰ってきたのかと。」

渡会「田中さん、娘さんはもう亡くなったんですよ。」

田辺「渡会さん、言いすぎですよ。」

渡会「娘さんは帰ってくるはずないじゃありませんか。」

田辺「渡会さん。」

渡会「あのバス事故で、刀ヶ谷さんのお子さんが唯一の生き残りだそうじゃありませんか。田中さん、それを恨んで火をつけたんじゃありませんか。」

田中「いえ、そんなことはないです。なんで刀ヶ谷さんを恨むんですか。」

渡会「じゃあ、どう説明するんですか。お隣の留守中に庭に忍び込んで、そこでボヤ騒ぎがあったなんて。」

田中「やってないって言ってるじゃないですか。自然に火が点いたんですよ。」


(女性の叫び声)


渡会「田中さん、落ち着いて。」

田中「瞳を、瞳を返してください。返して、返して。」


(女性の叫び声)


田中「悪魔。悪魔め。あの家には悪魔がいるの。みんな死ぬのよ。」


(女性の叫び声)


(ものがぶつかる音)


渡会「おい、医務室へ連れていけ。」

田辺「田中さん、落ち着いてください。ね、いったん外の空気吸いましょう。」

田中「返して、瞳を返して。」


(物音)


(女性の喚き声)


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