25.断りもなくアレスを女にするセレナ
おはようございます。読んでくれてありがとうございます。
「どお? おいしい?」
セレナは、ワインを飲み干したアレスの様子を、いたずらの結果を待ちわびる子供のように楽しそうな表情で、じっと見つめる。
「はい、とても…、ん? あれ…なんだか、体が熱いです…」
アレスは、自分の体が次第に熱を帯びてくるのがわかった。それは体の最深部から湧き上がり、じんわりと、アレスの全身へと広がっていった。
アレスの手から滑り落ちたワイングラスが、床でパリンと音を立てて砕け散った。
体を震わせて、苦しそうに顔をゆがめるアレスを、セレナはうっとりと愉しそうに観察していた。
「そうよねぇ……、それはそうよねぇ……、だって、それは、私がついさっき手塩にかけて作った、女性化の効能を付与したワインだもの……、ついでに美少女化と若返りの効果も入っているのよ?」
「ええっ…!」
「あなた、女の子になりたかったんでしょう。さっきから、うらやましそうに、メイドさんたちを見てたじゃない……。だから、私のお薬で願いをかなえてあげたのよ」
「そ、それは……、でも……、断りもなく、こんな薬を飲ませるなんて……。私には、王都に妻と娘がいるというのに……、ううっ、熱い……、苦しい……」
アレスは意識を失いそうになるほどの高熱と、全身の激しい痛みに立っていられなくなり、セレナが座っていたソファーに倒れ込むと、熱さから逃れるために、自分から服を脱ぎ始めた。
「こわい……、たすけて……、あつい……、くるしい……、いたいっ……」
うわごとのようにつぶやきながら、自分から服を脱いで裸になっていくアレスに、セレナは愛でるような目線を向けた。
「苦しいでしょう、でもね、それはあなたが女性として生まれ変わるために、乗り越えなければならない儀式なの。でもだいじょうぶよ、あともう少しの辛抱だからね」
「ううっ……、一体何を言って……、ああっ!」
セレナの目線の先には、さっきまでの真面目な財務事務官の姿はすでにない。
次第に髪が伸びていき、そして、両手の指先は細くのびて、しなやかに反り返る。
そして服の下で、胸とお尻は丸みを帯びながら膨らんでいき、女性らしいラインを描きつつある元男性が横たわっているのだった。
「ああっ……、体が熱い……、いたいっ……、お願いです! 助けてください!」
すでに女性とそん色ないほどの高く美しい声で、アレスは隣のセレナに訴えた。でも、セレナは笑顔を崩さない。
「そうそう……、そんな窮屈なネクタイなんて外して、鼠色の薄汚い背広なんて脱いじゃいなさい……、あなたは、これから、自分の思う通りの姿になるのだから……」
下着を脱ぐと、その下からは、男性であるアレスにはあるはずもない、プルンとした2つのふくらみが零れ落ちるように姿を現した。
それは、まごうことなき、女性のおっぱいそのものであった。そして、それはまだ変化の途上であることを示すように、ふくらみ続けている。
胸ばかりではなく、アレスの全身が、セレナの薬によって、急激に女性の体へと変化していく。
それは、アレスの全身に骨が軋み肉が引き裂かれる激しい苦痛をもたらした。
それは、男性の体から女性の体へと生まれ変わるために、体が急激に変化しているからだった。
「いたい……、いたいよぉ……、苦しい……、助けて……、はあっ……、はあ……」
苦痛を訴えるアレスの声は、もう以前のような低い声ではない。
アレスは、女性のような甘えたような高い声を出して、助けを求めるようにセレナにすがりつく。
でも、痛みのピークは越えたようで、アレスは少しずつ、正気を取り戻しつつあった。
「ズボンも、きついでしょう……、うふふ、あらまあ、こんなにお尻をふくらませちゃって……」
セレナは手慣れた手つきで、アレスのズボンをずり下げて、床に放り捨てた。
その下からは、女性のような色白でふっくらとした、ムダ毛一つない脚があらわになる。そして、その間にあるはずのものは、すでに失われて、代わりに女性のそれに変化していた。
「あなたきれいね……、ベッドでご一緒するのが、楽しみだわぁ……」
セレナはうっとりとした表情で、女性になったばかりのアレスの太ももに手を添える。
アレスはそんなセレナをじっと見上げる。その瞳は、長いまつ毛の向こうで、女性のように瑞々しく潤んでいた。
「セレナさまぁ……、私は一体、どうしてしまったのでしょうか……」
すっかり女性の体へと変化させられたアレスは、一糸まとわぬ生まれた時のままの姿で、 セレナに体を預けて、甘えた声を出した。
セレナの薬は、飲んだ人の脳も変化させるのだった。アレスは、もうすっかり、心も体も女性になっていた。
「あなたは何も心配しなくていいのよ、ほら、服を着て」
「これは、ずっとあこがれてた、バスラ王国のメイドの制服、セレナさま、ありがとう……」
アレスはセレナから渡された服を見て、目を輝かせた。
それは、ずっと着てみたいと思っていたメイド服だった。
こっそり着てみたことはあるが、やっぱり女性の体ではないと、不格好である。
でも、今は服の中身も立派な女性になっている。
アレスは期待に胸を膨らませて、自分から進んでスカートに足を通りして、エプロンを着用して、仕上げに頭にひらひらのカチューシャを載せて、セレナが他のメイドに用意させた姿見の前に立つ。
セレナは立ち上がると、アレスの後ろから、鏡を覗き込んだ。
「お似合いよ、アリシアさん」
「えっ……、アリシア?」
「そう、女性として生まれ変わったあなたの名前よ、アリシアさん」
セレナは、親愛の情を込めて名前を呼ぶと、新米メイドになったばかりのアリシアは、セレナに向き直り、広げた両手でスカートをつまみ、深々と頭を下げる。
すると、アリシアの肩まで伸びた、セミロングの艶やかな黒髪が、はらりと揺れた。
うつむいたまま、アリシアは震える声で、セレナに申し出る。もう先ほど男性だった時の、財務事務官としてではなく、セレナ付きのメイドのアリシアとして。
「ありがとうございます……、でも、こんな姿じゃ、もう妻とも娘とも、会えません……。稼ぎ頭である私を失って、二人が路頭に迷わないか、心配なのです……」
アリシアの頬を涙が伝い、目の前の床に、ぽたぽたと水滴が落ちて沁みをつくる。アリシアは、家族と会えないことを、悲しんでいた。
「うふふ、安心して。ご家族は、私が責任をもって、面倒を見るわ。だから、あなたは、何もかも忘れて、女性としての新しい人生を満喫してちょうだい!」
セレナは笑顔で言うと、アリシアは複雑な表情でうなずいた。
王都に残してきた妻と娘のことは心配だったけれど、こんな体にされてしまっては、もう戻ることはできない。
それに、アリシアは、ずっとあこがれていた女性としての自分に、すっかり心を奪われていた。
たとえ男性に戻る薬を作ってあげたとしても、アリシアはもう、アレスに戻ろうとは思いもよらないだろう。
アリシアの妻には、生活に困らないように王都より生活保護を給付の上、新しい夫として、優秀な男性事務官をあてがってやろうとセレナは思っていた。それは、アリシアに余計な不安を抱かせないためでもあった。だって、アリシアはもうセレナだけの、大切なおもちゃなのだから。
セレナはソファーから立ち上がり、これからどうしてよいかわからず、困りながらもじもじしているアリシアに歩み寄る。
そして、アリシアをギュッと抱きしめると、その耳元でささやいた。
「どうして、私を女性にしてくれたのですか?」
「ふふっ、それはね……、子供の頃の私みたいに、苦しんでいるのがわかったからよ。だから、助けてあげたいって、思ったの」
それはセレナの本心だった。生意気なアレスを懲らしめてやろうという気持ちもあったけれど、彼を苦しみから救ってあげたいという気持ちの方が勝っていた。
「ありがとうございます。ほんとに、嬉しいです。こんな私でよければ、お礼をさせていただきたいのですが……」
「お礼は、あなたの体でいいわよ、アリシア」
「セレナさま……、私を女性にしてくれて、感謝します」
「ふふ、そう思うのなら、ベッドで一緒に楽しみましょう……」
「はい、セレナ様の望むままに……ご奉仕いたしますね!」
セレナとアリシアは、しばらくじっと見つめあうと、二人手を取り合って、寝室へと向かっていったのだった。
(つづく)
ブックマークと評価ありがとうございます! とても嬉しく思うとともに、その期待に応えるようにがんばろうと思い、モチベーションが上がります。