おねぇZoo
なろうラジオ大賞2の企画に参加しました〜
トゥットッ トゥルル〜 トゥルル〜♪
朝、都内のホテルのノックの音で取材は始まった。
は〜い、の反応でドアを開いたのは青ヒゲのゴリラ顔のおっさんだった。ネグリジェ姿の彼は、太ももを擦り合わせていた。
おねぇアイドルグループ。オネェZooのリーダー、スザンヌである。
「残尿がきちぃ。えっ、撮ってるんですか? 今日も一日ガンバルゾイ」
先行きが不安である。
しかし、そんな心配は杞憂に終わった。武道館ライブ当日。客席は満杯だった。
「みんな、愛してる〜」
五人のおねぇZooが声を張り上げてラインダンスを披露する。すね毛のある汚い足で。
ゴリラ顔、ネズミ顔、カバ顔、猿顔の初日ライブは盛況に終わった。
楽屋裏。
「今日も、ミホ可愛かったゾ」
「リーダーには負けるわよ〜」
「そうだ、今度五人でご飯食べに行きましょう」
和やかな楽屋は、しかし、急変した。
「なにコレ。ねぇ、モコちゃんが実は女だって呟かれてるんだけど」
カバ顔が猿顔にスマホを突き付ける。
「そっそんな訳ないし」
「でも、卒アルも出てるんだけど」
「……」
空気が変わった。
「てめぇ、ゴラ。俺たちを騙してたのか」
「ぶっ殺してやる。なにがホルモンが崩れて乳が張ってて、よ。顎髭も剃ったことねえだろ」
「仕方ないじゃない。猿顔の私が、学生の頃、なんで呼ばれてたか分かる? 日光逸れ猿、よ。アイドルになるのは、おねぇになりきるしかなかったのよ」
「てめー、出会い系アプリで苦労もしたこともない猿が」
「はあ、なにが? 人工物の乳もない癖に。笑わせるわ。肉まん揉んでいたほうがまだマシよ」
「あんだと」
「もういい、ミホ。残念だけど、モコあんたは脱退よ」
「はあ? 今さら抜けろってか。いいわよ。でも、あんたらなんて乳輪の1%の価値もないわ。渡辺直美の汗は綺麗でも、お前らの汗なんて汚い。私はダーリンに母乳でも飲ませてあげるわ」
こうして猿が脱退した。キーキー叫ぶメンバーはスタンガンで黙らせた。
しかし、ライブは明日もある。ゴリラは頭を悩ませた。
次の日、シンバルを叩いた猿が舞台に立っていた。
苦肉の策だったが、ファンには気付かれなかった。おねぇZooは人間と思われてなかったのかもしれない。
トゥルル〜 トゥルル〜
新世おねぇZooの第二ウェーブは始まったばかりだ。
1000字以内やはり難しいです。
感想、ポイント評価、お待ちしております( ´ ▽ ` )