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みんなのイイところ

 「ダブリストを倒してから、ムネトピアの行動が少し落ち着いたね。」

 ゲイルは何気ない一言を言う。

 「そうですね。平和なことは、良きことです。」

 「私もそう思いますわ。」

 ゲイルの言葉にテッパンとマリーも賛同する。

 「しかし、奴は幹部格ということらしい。おそらく、これから奴らの侵攻は激化するだろう。」

 そんな三人にネデスは懸念すべきことを言う。

 「ネデスさん、今それを言うのは皆さんの雰囲気を壊すことになりますから、少しは場の空気を読んでください。」

 磨那は場を落ち着かせようとする。

 「むぅ…しかし…」

 しかし、ネデスは納得出来ずにいた。

 「確かに、ネデスの言うことも一理ある。今回のダブリストとの最初の戦いは、明らかに私達の油断を利用していた。もしかしたら今後は大勢の相手との連戦になるかもしれない。」

 ゲイルは険しい表情でそう言うと、すぐに優しい表情に変える。

 「だからさ、平和な今のうちにみんなの力をおさらいしておこうよ!私達四人、出来ることは全員まったく違うんだからさ!」

 「なるほど、一理あるな。」

 「そうですわね。」

 「僕も皆さんのことをより知りたいです。」

 ゲイルはこれまでの戦いの復習を提案し、ネデス達も賛成する。

 「じゃあまずは提案した私から!私は初めて磨那と出会った貧乳超人で、私のフラットストーンはエメラルド。爽やかな緑色で、司っている属性も風と癒し。」

 「癒しは元々が戦場ナースのゲイルさんにお似合いですね。」

 「ありがとう、マリー。磨那が私の力を使う時の認証コードはエメラルド・ラピッド。私の中にある癒しの力は自分以外の全ての怪我や病を治す力があるわ。」

 「確か、麗雄氏が人道外れた外道達によって嬲られていた時にも使っていたな。」

 ネデスはツインブラスターになった男達によって傷ついた麗雄のことを思い出す。

 「私の風の力は貧乳超人の中で最速!身軽な動きで連続攻撃からヒットアンドアウェイまでなんでもあれ!」

 「ゲイルの力には以外な所で役に立っているよね。例えば、おっぱい魔人が遠くに現れた時とか!」

 「磨那の言うとおり、私にはウィンドレイダーってバイクもあるの!最高時速は300キロの高性能バイクなんだから!」

 「初めて使ったのは確か、麗雄君と戦っていた時だったよね。」

 「そうそう!ウィンドレイダーの速度で初めて追い着けたからね!」

 ゲイルと磨那が思い出話に花を咲かせていると、

 「あら、以外でしたわ。てっきり麗雄さんは最初から皆さんと御一緒だと思っていましたわ。」

 「麗雄君は最初、色々あって今は私の頼もしい味方になったの。そうそう、私の力はウィンドレイダーだけじゃないわ。私の武器はレイピア型のラピッドスティンガー。素早い連撃を放つのにピッタリ!必殺技は星型になるように敵を突き、光を放って爆散させるラピッド・インパルス!」

 「ゲイルの凄さは武器や技だけじゃないよね。」

 「磨那の言うとおり、私は佳織さんのご先祖様が初めて作り出したフラットストーン。劣勢になった時に好きなタイミングで私に変身出来るの!」

 ゲイルは自慢気に言う。

 「なかなか凄い力をお持ちなのですね。ですが、力なら私も負けられませんわ。お次は私が行かせてもらいますわ。」

 マリーが名乗り出る。

 「私は確か磨那さんに発掘された貧乳超人でしたわね。私のフラットストーンは燃えさかるように明るいガーネット。この身に宿した属性は力と火。」

 「そう言えばずっと気になっていたが、王妃は何故火の属性なのだ?史実では確か斬首刑だったはずだが。」

 「それが、本当は別の方が火の貧乳超人になられるはずでしたが、既にその方は光の貧乳超人になられていましたので、私が割り当てられたようです。」

 「光の超人はかつて火刑に処された者か…」

 「それでは引き続き私のお話を。私の力を磨那さんが発揮される時には可愛らしいフリルのドレスに衣装が変わりますわ。」

 「マリーさんは王妃ですから。」

 「あら、ありがとうございます。私は皆さんの中で一番のパワーファイター。武器はありませんが素の力で右に出る方はいません。それ以外にも、敵によって受けたあらゆる毒を蒸発させるフレイムセラピーがありますわ。」

 「あの蚊にはホント苦戦したわ。」

 「私の必殺技は敵を叩きつけて怯ませ、その間に私の首を落とした刃を取り出して投げつけ、炎と刃で打ち倒す烈火断罪。今まで倒せなかった者は幹部のダブリスト以外いませんわ。」

 「確かに、奴は強かった。それはそうと、王妃を見つける時には私も磨那氏も、ナイチンゲールも苦労したな。」

 ネデスはマリーを探していた時のことを思い出す。


 「北側だと、大体この辺りか。」

 奏は確認を繰り返す。

 「後はこの上に水と下に空を用意って所だけど、どういう意味でしょう?」

 「どこかで水を掬ってきて、磨那が私に変身して空より上に水を用意すればいいんじゃない?」

 「出来るわけないでしょ!成層圏まで行けないよ!」

 「その通りだ。お前は磨那氏を窒息死させたいのか!まったく、これだから。いいか、もっと楽に済ませるなら磨那氏が私に変身し、私の力で水を発生させる。そしてそのまま逆立ちすれば上が水、下が空という状況を作り出せる。」

 「なんだろう。絶対違うと思うけど、それをやってみる必要があると思う自分がいる…」

 「磨那氏よ、それならやって後悔した方がよいぞ。」

 「と、とにかくやってみよう!サファイア・スプラッシュ!」

 磨那はナイムネデスに変身し、水の塊を出現させる。

 「後は、これで逆立ちをすれば…」

 ナイムネデスは逆立ちをするが、

 「まあ、普通に考えればそうよね…」

 何も起きず、ナイムネデスは下着が丸見えという間抜けな状態で逆立ちをしているだけだった。

 「よっと!」

 ナイムネデスは逆立ちをやめて変身を解除する。

 「今思ったんだけど、最後の部分に関して、前提条件がそもそも違うんじゃないかな?」

 「前提条件が違うとは?」

 「だって、最初の方は比喩的表現なのに、後ろの方はそのまんまの意味ってことは無いと思うの。それで思ったんだけど磨那、私のことを持った手を下に下ろして、ネデスを持った手を上に上げて。」

 「えっ?わかった。」

 「予想通りね!」

 「ナイチンゲールよ、どういうことだ?」

 「これも私達に関する比喩的表現。水はネデスを、空に関しては風の私を、それぞれの位置にあわせて持つことで、人間にしか扱えない火のフラットストーンが現れるって意味。火は希望とも言われることがあるからね。」


 「懐かしいわね。まさかネデスがとんちをきかせた考えをするなんてね。」

 「人間に不可能なことを言うナイチンゲールに言われたくはないな。」

 「ちょっと、何言っているのよ!それじゃあ次はネデスの番!」

 「うむ、よかろう。私のフラットストーンはサファイア。青く輝く水と知性を武器にしている。」

 ネデスは自慢気に言う。

 「たまにその知性が暴走してしまいますけどね。」

 「ぬっ、それは…科学的では無いものが悪い!」

 磨那に痛い所をつかれたネデスは困りながら言う。

 「ほらほら、自己アピールの時間でしょ!」

 「そうであった。私には錫杖型のアクアバトンという武器がある。遠近どちらかを得意とする相手には知略を駆使し、中距離相手にはアクアバトンで牽制出来る。」

 「今までアクアバトンが活躍した所を見ていないけれどね。」

 ネデスの説明を対してゲイルは茶化す。


 「はっはっはっ!女らしくない貧相な体系に見合った細くて小さな棒だな!俺のとっておきの棍棒をくらえ!」

 「くっ!なんてパワーなの!」

 「あり得ない!科学的にあり得ない!」


 「あ~ら、残念♪」

 「嘘っ!?」

 「だぁかぁらっ、そんなひょろひょろした棒じゃ私は楽しめないっての。」


 「ずいぶんとひょろっちいな!そんな貧弱な杖でこのモスキーテス様に勝てるか!」

 「ひゃっ!体が痒い!」

 「ふむ。これはおそらく蚊の持つ血液凝固防止の毒だ。」

 「いかにも!このモスキーテス様には蚊の持つ人間に対して注入する毒液の力があるのだ!本来なら胸の大きな女の子に毒液を出したいが、貧乳相手じゃ妄想しないと毒液が出せないぜ!」

 「おかしい、吸血と毒液注入を行うのは本来雌のみのはず。何故男性でありながら…」


 「そんな陳腐な手段に引っ掛かるものか。」

 「やっぱり強い。だったら、これでどうだ!アクアショット!」

 「その程度で俺に傷一つ付けられると思うな。」

 「なんて強さなの!?ネデスさん、一気に決めましょう!」

 「おう!」

 「スプラッシュインパルス!」

 「その程度で勝てると思うな。」

 「くっ!ネデスさんでも刃が立たないなんて。」


 「実はアクアバトンは負けフラグ説ある?」

 「確かに、アクアバトンを使って勝ったためしが一度も無い気が…」

 ゲイルと磨那はこれまでの戦いを振り返る。

 「煩い!次の戦いでは必ずアクアバトンを使って勝利をその手にしてみせよう。」

 ネデスは胸を張って言う。すると、

 「お姉ちゃん!お邪魔します!」

 麗雄が元気よく入室してくる。

 「おお麗雄氏、元気にしているようだな。」

 「麗雄君、久しぶり!」

 ネデスと磨那は麗雄に声をかける。

 「お姉ちゃん、おじさん、どんなお話していたの?」

 「みんなで色々戦ってきたことを振り返って、みんなのイイとことを発表しあっていたんだよ。」

 磨那は麗雄の質問に答える。

 「思えば、麗雄君もこんなに懐くようになるなんて思わなかったなぁ。」

 「そう言えば、先ほど麗雄さんは最初から仲間ではなかったと仰っておりましたが、一体どのようなことがあったのですか?」

 「確かに、入りたての僕も気になります。」

 磨那の言葉にマリーとテッパンは反応する。

 「そうだったね。そう言えば、麗雄君はどうしてあの場所で倒れていたの?」

 「僕のお父さんはムネトピア帝国に入っちゃって、僕はそれを追いかけて神殿に入ったんだけど、すぐに捕まっちゃって何だか知らないうちに改造されて、外へ放り出されていたんだ。」

 磨那の質問に麗雄は答える。

 「ふむ、ダブリストの言葉通りなら、麗雄氏は裏切り者扱いのようだが、どのような意味なのだろうか。」

 「多分、僕があいつらと同じ怪物なのにお姉ちゃんが好きになったからだと思う。」

 「麗雄君は磨那さんのことが好きになったきっかけがあるのかな?」

 麗雄の言葉を聞きテッパンは質問する。

 「それが、あるにはあるんだけど…」

 磨那が当時の事を話し始める。


 「はい。行くよ、ゲイル。癒しの波形、ヒーリングウェーブ!」

 ナイチチゲイル、麗雄に回復の超能力を使って少年の傷を癒す。

 「…んん、おねえちゃんは?」

 「大丈夫?」

 「あの…えっ…と…その…」

 「どうしたの?どこか具合でも悪いの?お姉さんに任せて。」

 「あ~…磨那、多分心配しないで大丈夫だよ。」

 「どうして?だって急に俯いているんだよ、ほっとけないよ。」

 「いや、あの子は元気だよ。どっちかっていうと、ちょっと元気過ぎているって感じかな…」

 「元気過ぎってどういうこと!?とにかく、大丈夫?」

 「ごめんなさい!おねえちゃんを見ていたら、おちんちんがむずむずして…」

 「あ~あ、だから元気過ぎって言ったのに…」

 「大丈夫、気にしないで。男の子なんだから仕方ないでしょ。」

 「うぅ…ごめんなさい…」

 「ほら、泣かないで。いい子だから。」

 「ありがとう、おねえちゃん!」

 「それで、ぼくはどうしてあんな姿になっちゃったの?」

 「僕、お父さんがあの建物に入って行っちゃって、追いかけたらいつの間にか、倒れていて…」

 「なるほどね、この子にはそういう趣向がまだ芽生えていなかったんだ。だからおっぱい魔人になってもその力を使いこなせなくて、苦しんでいたんだ。」

 「ほら、怖いのはもう大丈夫?」

 「うん!おねえちゃん、大好き!」


 「ってことがあってね…」

 磨那は顔を赤らめながら言う。

 「なにか、聞いてはいけないことを聞いてしまったような気が…」

 テッパンは顔を背ける。

 「何、与謝野氏よ。我々の中で麗雄氏が一番懐いているのは私だ。」

 「そうなのですか?」

 「うん。おじさんは物知りだから。」

 テッパンの疑問に麗雄は答える。


 「オジさんは、本当はどうしたいの?」

 「どうしたいと言われても、貧乳超人などと大層なことを言っても所詮はただのAI、正義と平和に対する思いとて、ただのプログラミングかもしれない。」

 「たとえそうだったとしても、オジさんの中にある何かをしたいって気持ちは、オジさん自身が自分で考えたことなんだよ。」

 「自分で考え、思ったこと…麗雄氏よ、お前は脚の速さに自身があるのだろう?」

 「うん。」

 「一つ頼まれてくれないか?」

 「うん、わかった。」

 「麗雄氏よ!今のお前なら、真の力を発揮できるはずだ!頑張れ!」

 「やってみる!もう一度、初めてお姉ちゃんに遭った時の、あの感覚を!…今だ!走哮覚醒!これが僕のおっぱい魔人としての力、レオパルタクスだ!」


 「あの時、おじさんの言葉でおっぱい魔人に変身する覚悟が決められたんだよ。」

 麗雄は目を輝かせながら言う。

 「なるほど、そのようなことが。それでは、最後は僕の番ですね。僕のフラットストーンは琥珀とも呼ばれるアンバー。僕の力は自ら戦うことを得意とはしませんが、守りなら誰よりも得意です。」

 「確かに、あのダブリストの攻撃すら受付なかったものね。」

 「僕にはテッパンセンという守りを更に特化させるための鉄扇があります。ただ、機動力を失う欠点がありますが。」

 「だが、与謝野氏にはもっと凄い力があるだろう。」

 「僕の別名は詩(死)が紡ぐ鉄壁。戦いの中で読んだ詩歌の内容を相手に可能な限り発生させるリフレクト・レクイエムを技として所持しています。」

 「日本の詩歌は私も好きですわ。」

 テッパンの説明にゲイル達は反応する。

 「これで皆さんのイイところがまとまったね。ゲイルは元気が取り柄で癒しと高速戦闘が得意。ネデスさんは真面目で知性的な勢いある水の使い手。マリーさんは優しくて時には力強い火を扱える。テッパンさんは落ち着いた物腰で頼れる防御専門家。麗雄君は私との連携が得意。みんなそれぞれ特技が違っていいね。」

 磨那が喜んでいると、

 〝磨那さん、おっぱい魔人の反応だ!〟

 「わかりました!みんな、行こう!」

 奏から連絡が入り、磨那達は出動する。

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