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強敵!幹部ダブリスト

 『平和を願う貧乳超人が、お前の悪意を消し去ってみせる!くらいなさい、ラピッドインパルス!』

 『おのれ…まな板女の分際で!』

 ムネトピア神殿の内部でグラメニアと配下のおっぱい魔人達はナイチチゲイルがおっぱい魔人と戦闘している場面を観ている。

 「おのれ貧乳超人め!私の配下を次から次と!ただの一度だけでも憎らしいというのに、奴はどんどん強くなってゆく。」

 グラメニアはナイムネデスとマリー・パットガネーヨが戦闘をしている場面に映像を切り替える。

 「ぐぅ、あのまな板女が現れてから、我らおっぱい魔人を既に30人も倒している。黒服兵を含めれば数知れぬ。」

 「だが奴の強さは確かなものだ。俺の力では奴に勝てそうにもない。」

 「あの馬鹿力のアイアンスインガーだって倒されたんだろう。」

 「躱せない攻撃が無いと言われていたギガインサイザー様だって倒されたんだ。幹部候補ですらない俺達には無理だ。」

 おっぱい魔人達は口々にする。

 「女帝グラメニア様、このままでは我らムネトピア全体の士気に影響が出てしまいます。今のうちに対策が必要かと。」

 グラメニアの近くに立っていたあるおっぱい魔人はグラメニアに話す。

 「ダブリストよ、幹部として何か策はあるのか?」

 「はい、時期尚早かと思われますがこの私が前線に立ち、奴の首を討ち取ります。どうやらこの東アジアには地火風水という文化があります。現在奴は風、水、そして火の力を持っています。最低限手に入れると思われる地の力を入手する前に奴を葬るには、この私の力で早期に決着を着ける必要があると思われます。」

 ムネトピア帝国の幹部、ダブリストはグラメニアに提案する。

 「なるほど、それでどうやって奴をおびき出す?」

 「私の直属の特攻部隊が丁度よいかと。」

 「わかった。此度の作戦の指揮はダブリストに任せよう。頼むぞ。」

 「有難きお言葉、必ずや此度の作戦を遂行して見せましょう。」

 ダブリストは一度立て膝をつくと、直ぐに行動を開始する。


 一方その頃、磨那達はウォールストリート内の入浴施設でゆっくりと湯に浸かっていた。

 「はぁ~、最近ずっと戦ってばっかりだったから気分がいい~。」

 「磨那さんに気に入ってもらえてよかったわ。」

 「ありがとうございます、佳織さん。それにしても、羨ましいなぁ…」

 磨那は佳織の胸を見る。

 「あら、どうしたの?」

 「だって、私もう胸が大きくなる未来が無いんですよ?いくら見た目が全てじゃないって言っても、せめてもう少しくらいほしいですよ。」

 「そうは言ってもねぇ。私も娘が出来た時くらいに急に大きくなったから、磨那さんもきっと素敵な出会いがあれば、変わるんじゃないかしら。」

 羨ましそうにしている磨那に佳織は優しく答える。

 「素敵な出会いって言っても、ムネトピアを倒さないとそれも無理ですよ。あぁ、昔みたいに働いてお金もほしいし恋愛もしたい!」

 「そうねぇ。でも、磨那さんが頑張らないと、今までの生活に戻ることは出来ないわ。だから今は、正義のヒーローになって頑張って。」

 佳織はにこやかに話す。

 「努力します。」

 磨那は重そうに言う。

 「それより、磨那さんってムネトピアに侵略されるまではどんな暮らしをしていたの?」

 「どんなと言われましても、一応はファッションデザイナーでしたが、普通のOLと何も変わらない生活ですよ。」

 「あら、だから変身した時の衣装が可愛かったのね!」

 佳織は嬉しそうに言う。

 「可愛い!?本当ですか?」

 磨那は驚く。

 「ええもちろん。貧乳超人の衣装は変身者が自分で思い描いて、それを実体化させるの。ですから磨那さんが思い描いた衣装を見て最初に思った感想は可愛いだったの。それで、会社ではどんな感じだったの?」

 「佳織さんが思っているほどいい環境ではありませんでしたよ。中年上司からのセクハラもありましたし、同期で入社した娘達も、私の体つきを影でヘラヘラ笑っていました。」

 「女性って本当に陰湿ね。そうでもしないと自分の魅力をアピール出来ないのかしら?」

 「元々、上司がセクハラ発言をしなければ発展しない話です。」

 「中々難しい話ね…」

 「そんな上司も、もうこの世にいないんですけどね。」

 「もしかして、ムネトピアに殺されて…」

 「いいえ、その反対です。課長は自らムネトピアに忠誠を誓っておっぱい魔人になりました。私が初めてゲイルに変身して倒したおっぱい魔人、ギガンテックハンドが課長の変身した姿です。」

 「そうだったの。つらかったでしょう。」

 佳織は磨那を抱きしめる。

 「大丈夫ですよ。奏さん達に助けてもらってからは毎日ムネトピアに怯えなくて済んでいますし、ゲイル達も私に話しかけてくれますし、麗雄君だっていますから、今は今でそれなりに楽しく過ごさせてもらっています。あのとき、助けていただいて本当にありがとうございます。」

 磨那は佳織から離れると礼を言う。すると、

 〝磨那さん、休んでいるところ申し訳ない。南東15キロ先におっぱい魔人の反応が出た。至急向かってほしい。〟

 奏から連絡が入る。

 「ゆっくりする時間は終わりみたいですね。それでは佳織さん、行って来ます!」

 「はい、行ってらっしゃい。」

 磨那は直ぐに体を拭き着替えると、目的地までウィンドレイダーで向かう。

 「ぎゃははっ!このモスキーテス様から逃げられると思うな!」

 既におっぱい魔人のモスキーテスが暴れ、人々はまるでミイラのようになって死んでいる。

 「おっぱい魔人、そこまでよ!」

 そこに磨那が到着する。

 「出たな貧乳超人!貴様の乳もこのモスキーテス様が吸い尽くして、っと!吸える乳すら無かったな。これは失礼。ぎゃはははは!」

 モスキーテスは下品に笑う。

 「好き勝手言ってくれるわね。行きましょうネデスさん!」

 「うむ。奴に正義の鉄槌を下してやるのだ!」

 「サファイア・スプラッシュ!」

 磨那はナイムネデスに変身する。

 「見たところ、奴には蚊のような力が備わっていると思われる。気をつけるのだ。」

 「わかりました!来て、アクアバトン!」

 ナイムネデスはアクアバトンを構える。

 「ずいぶんとひょろっちいな!そんな貧弱な杖でこのモスキーテス様に勝てるか!」

 モスキーテスは飛翔し、アクアバトンの届かない高度から液体の弾を放つ。

 「キャッ!」

 ナイムネデスはアクアバトンで防ごうとするが、液体を相手に杖で叩いたため、弾ははじけてナイムネデスにかかる。

 「ひゃっ!体が痒い!」

 ナイムネデスは全身の痒みで動けなくなる。

 「ふむ。これはおそらく蚊の持つ血液凝固防止の毒だ。」

 ネデスは状況を伝える。

 「いかにも!このモスキーテス様には蚊の持つ人間に対して注入する毒液の力があるのだ!本来なら胸の大きな女の子に毒液を出したいが、貧乳相手じゃ妄想しないと毒液が出せないぜ!」

 モスキーテスは自身の能力を説明する。

 「おかしい、吸血と毒液注入を行うのは本来雌のみのはず。何故男性でありながら…」

 ネデスは生物学の知識も多少あったため、モスキーテスの力に疑問を持って考え込んでしまう。

 「またネデスさんの学者魂に火が着いちゃった。行くよ、ゲイル!エメラルド・ラピッド!」

 ナイムネデスはナイチチゲイルに変身しラピッドスティンガーを構える。

 「トルネードフロート!」

 ナイチチゲイルは足元から竜巻を発生させて空を舞う。

 「おのれ!まさか追いかけてくるとは!」

 モスキーテスは必死に逃げるが、

 「そこだ!」

 ナイチチゲイルはラピッドスティンガーでモスキーテスの羽を貫くとそのまま上段に引き裂く。

 「しまった!羽のコントロールが!」

 左右の羽の均衡が取れなくなったモスキーテスは螺旋を描きながら落下する。

 「これで逃げ場は無くなったね!」

 ナイチチゲイルは着地する。

 「行きましょうマリーさん。ガーネット・アンガー!」

 ナイチチゲイルは更にマリー・パットガネーヨに変身する。

 「まずはこの痒みをなんとかしないと。燃える炎のフレイムセラピー!」

 マリー・パットガネーヨは全身に炎を纏わせ、痒みの原因である毒液を蒸発させる。

 「これで痒みも消えた!行くわよ!」

 マリー・パットガネーヨは重く歩み寄りモスキーテスの腹部を力強く殴り、装飾されていた左の腹脚がもげる。

 「ぎゃぁぁぁ!脚が!脚がぁ!」

 生体改造であるおっぱい魔人にとって体の一部が欠損することは形容しがたい苦痛を感じる。モスキーテスのような虫型はその血液を神経束や筋肉、更には小脳のようにしているため、一部の欠損は最悪死に直結するのである。モスキーテスの血液は神経束であり、もげた左腹脚から神経束が血液として流れ出る。

 「苦しい!殺せ!殺してくれ!」

 モスキーテスは悶え苦しむ。

 「ならばお望み通りに!平和を願う貧乳超人が、お前の悪意を消し去ってみせる!」

マリー・パットガネーヨは断頭台を出現させ、刃を取り出して炎を纏わせながらモスキーテスに投げる。

 「食らいなさい!烈火断罪!」

 投げられたギロチンの刃はモスキーテスを横一文字に切り落とす。

 「ムネトピア帝国に、栄光あれ~!」

 モスキーテスは爆散する。

 「やりましたね、磨那さん。」

 「そうですね、マリーさん。」

 マリー・パットガネーヨは変身を解除しようとする。しかし、投げられた一振りの刃を咄嗟に避けると、マリー・パットガネーヨは再び警戒を強める。

 「流石は貧乳超人。我が特攻部隊のモスキーテスを倒しても尚、それ程の体力があるか。」

 「誰だ!」

 マリー・パットガネーヨが振り向くと、そこには漆黒の体毛に覆われ、四本の腕を持ち翼を生やしたムネトピアの幹部魔人、ダブリストがいた。

 「あいつは、自衛隊の戦闘機を軽々と撃ち落とした!」

 「俺の名はダブリスト、ムネトピア帝国の幹部だ。」

 「幹部ですって!?」

 「せっかくこの日本から貧乳が消える一歩手前まできたというのに、お前が現れてから滞るどころか、我々の同士を失う一方。故に幹部である俺が直接お前の首をもらいに来たのだ。」

 ダブリストは四本の腕でそれぞれ剣を構える。

 「この者、今までのおっぱい魔人とは明らかに違う殺気を放っています。磨那さん、気をつけてください。」

 「わかっている。」

 マリー・パットガネーヨは力強く走りながらダブリストに向かって拳を放つが、

 「遅いな。」

 ダブリストはまるで動じることなくそれを避けるとマリー・パットガネーヨを背中から蹴り飛ばす。

 「くっ!一気に決めてやる!烈火断罪!」

 マリー・パットガネーヨは早々に必殺技を使い、炎を纏わせた刃を放つが、

 「真っ平ら、まるでお前の胸のようだ。」

 ダブリストは右下腕の剣を鞘に納めると念力を放って炎の刃を破壊してしまう。

 「そんな!」

 「あの時のことを覚えているならわかっているはずだ。俺は平たい物を問答無用で破壊する力を持っていることを。」

 ダブリストはジリジリと歩み寄る。

 「このままだと危ない!サファイア・スプラッシュ!」

 マリー・パットガネーヨはナイムネデスに変身し、アクアバトンを使って足払いをしようとする。しかし、

 「そんな陳腐な手段に引っ掛かるものか。」

 ダブリストはバックステップで軽々と避ける。

 「やっぱり強い。だったら、これでどうだ!アクアショット!」

 ナイムネデスはアクアバトンの先端に水を集め、それを圧縮した弾を放つ。

 「その程度で俺に傷一つ付けられると思うな。」

 ダブリストは水の弾を剣で切り刻んで防ぐ。

 「なんて強さなの!?ネデスさん、一気に決めましょう!」

 「おう!」

 ナイムネデスはジャンプする。

 「スプラッシュインパルス!」

 ナイムネデスは渾身の突きを行おうとする。

 「その程度で勝てると思うな。」

 ダブリストは右下腕で再び抜刀し、四本の剣を交差させ、アクアバトンを切り刻んで破壊する。

 「くっ!ネデスさんでも刃が立たないなんて。エメラルド・ラピッド!」

 ナイムネデスはナイチチゲイルに変身し、ラピッドスティンガーを構える。

 「平和を願う貧乳超人が、お前の悪意を消し去ってみせる!ラピッドインパルス!」

 ナイチチゲイルは必殺技の刺突攻撃を放つ。しかし、

 「その攻撃、既に映像で確認済みだ!」

 ダブリストはナイチチゲイルのラピッドスティンガーの軌道上に的確に剣の切っ先を向け、ラピッドインパルスを打ち消してしまう。

 「嘘っ!?」

 ナイチチゲイルは驚きながらもラピッドスティンガーを振るうが、ダブリストの四本の腕から行われる四刀流の剣戟によって瞬く間にラピッドスティンガーは砕かれ、払われてしまう。

 「しまった!」

 ナイチチゲイルは驚くが既に遅く、ダブリストの右上腕がナイチチゲイルの首を締め上げる。

 「ぐっ!」

 「これは今までお前に敗れた同士達の分だ。」

 ダブリストは左右の下腕で15発ずつ、合計30発の拳をナイチチゲイルに放つ。

 「がはっ!」

 ダブリストはそのままナイチチゲイルを放り投げる。

 「お姉ちゃんに手を出すな!走哮覚醒!」

 そこにナイチチゲイルに加勢するために麗雄がレオパルタクスに変身しながら走ってくる。

 「ムネトピアの裏切り者か。丁度いい、お前もここで処分するとしよう。」

 ダブリストは駆け抜けるレオパルタクスの動きを見切り、的確に蹴りを放ってナイチチゲイルと同じ場所に蹴り飛ばす。

 「麗雄君!?」

 「お姉ちゃん…大丈夫?」

 ナイチチゲイルとレオパルタクスは寄り添いあう。

 「これで終わりだ。魔穿死閃まがつしせん!」

 ダブリストは四本の剣を振るい邪悪なエネルギーの刃を放つ。

 「麗雄君、危ない!」

 ナイチチゲイルはレオパルタクスを庇い、斬撃を全て受けてしまい、磨那の変身は解除されてしまう。

 「お姉ちゃん!」

 レオパルタクスは叫ぶことしか出来なかった。

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