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とっても速い新武装

 磨那の初陣パーティーが終わり、磨那は割り当てられた自身の部屋に入る。

 「ねぇゲイル、私はまだあなたのことをよく知らない。だからあなたや、私を襲ってきた奴らのことを詳しく教えて。」

 「わかった。まずこの国を侵略して、磨那を襲った奴らはムネトピアっていう超古代に滅んだ文明都市。ムネトピアは科学と呪術がバランス良く進歩していたの。だけど、女帝グラメニアは呪術でムネトピアを支配し、自身の配下を呪術で改造して怪物にしてしまったの。」

 「それが私の課長みたいな…」

 「そう、奴らは自身のことをおっぱい魔人と呼称している。なんでも、胸の魅力で価値を決める人を選んでいるみたい。」

 「そう言えば、なんでムネトピアは女性の価値を胸で判断するの?」

 「それは私達も解らない。ムネトピアも昔はそんなことはなかったらしいけど、グラメニアが女帝として君臨してから、今の巨乳絶対主義になったみたい。」

 「じゃあ、今の女帝を倒せば、二ヶ月前の日本を取り戻せる可能性があるの?」

 「多分。」

 「それで、今度はゲイルのことを教えてほしいんだけど。」

 磨那は納得し、ゲイルに次の質問をする。

 「オッケー。グラメニアに支配されたムネトピアは胸の無い女性や、それを愛する男性を虐殺し、虐殺される側も対抗しようとして国内で大規模な殺し合いが起きた。最初に佳織さんが言っていたでしょう、自分にはムネトピアの血が流れているって。ムネトピアの中でも争いを嫌う人たちは、ムネトピアを離れて安住の地を探した。佳織さんの先祖も、おそらくその一人だと思う。それで佳織さんの先祖は、争いあうムネトピアが他の国に攻撃した時のことを考えて、ある宝石型偉人解放デバイスを作製していた。そのデバイスには、偉人のデータを自動的にインストールして、生前の活躍から疑似人格を形成して、使用者と一体化して戦う戦闘用装甲になる仕組みをプログラムしていた。」

 「それがゲイル?」

 「私はその一人。私達にはグラメニアと戦うためにその力を最大限に発揮出来る超人としての力を与えられた。佳織さんの先祖は、おっぱい魔人と戦うために、それと対を成す貧乳超人という名を与え、失礼だけど貧乳にしか使用出来ないロック機能をつけていた。」

 「ゲイル、つまり私の胸はもう大きくなる可能性はないってこと?」

 「かわいそうだけど、その通り。大きくなってもAAAからAになるのが限界みたい。」

 「Cは夢見ていたけどBにすらなれないなんて…」

 磨那はショックを受ける。

 「…だよね。仕方がないよ、そうなったら小さい方が好きって男性を見つけよう。」

 「そんなぁ~…」

 磨那はしょぼくれる。

 「と、とにかく説明を続けるよ!私達を構成している宝石はフラットストーンと呼ばれていて、全部で六つ。怒れる力の火、知略と技の水、詩を紡ぐ鉄壁の土、目映い聖なる光、憎しみと深淵の闇、そして私が持つ癒しと速攻の風。」

 「じゃあ、ゲイルみたいな凄い偉人、じゃなくて超人があと五人もいるの?」

 「そうだね。まあ、凄いと言っても一癖も二癖も強いけどね。」

 「ゲイルも充分癖が強いけど、それより凄いんだ…」

 磨那はやや引き気味に言う。

 「ちょっと、私も癖が強いってどういうこと!?」

 「だって、今のゲイルの名前を恥ずかしがることなく言えるなんて、充分癖が強い証拠だよ。」

 「ちょっと!私だって、好きでこんな名前になったわけじゃないし!超人になる際にはそれに因んだ名前にならないと、その力が得られないの。」

 「そうだったんだ、ごめんなさい。」

 「いいよ。それより、これからもよろしくね。」

 「こっちこそ、よろしく。それじゃあ、今日はもう寝るから、おやすみなさい。」

 磨那は、戦いの疲れが出たため、睡眠に入る。


 「……ん、なんかガタガタしている…」

 翌朝、磨那は地面が揺れる感覚を感じて目を覚ます。

 「おはよう、磨那。さっき朝食が出来たってアナウンスが流れていたよ。」

 「おはようゲイル…って本当!?急がないと!」

 磨那はゲイルの言葉を聞くと、急いで髪を梳かして食堂に向かう。

 「おはようございます佳織さん!」

 「あらおはよう磨那さん。はい、今日の朝ごはん。」

 佳織は磨那に用意しておいた朝食を渡すと、磨那は席に座る。

 「いただきます!」

 磨那は、昔ながらの朝食を食べ始める。すると、

 「おはよう磨那さん。」

 奏が挨拶をしに来る。

 「おはようございます。今朝揺れていましたけど、あれってなんですか?」

 磨那は不自然な揺れについて質問をする。

 「ああ、あれはこの機動要塞、ウォールストリートの試験運転だよ。」

 奏は軽く答える。

 「いきなりだから驚きましたよ。」

 「それはすまなかった。と、それよりも磨那さん、一日経ったが体の調子はどうだい?どこか具合の悪い所はないか?」

 「大丈夫です。久しぶりにベッドで寝られたりから、疲れもとれています。」

 磨那は食べながら話す。すると、

 「奏さん、磨那さん、この先におっぱい魔人の反応があるのですが…」

 オペレーターの一人がやって来る。

 「あるのだが、なんだ?」

 「それが、非常に小さくて、その上微弱な反応なのです。」

 オペレーターは事情を説明する。

 「なるほど、小型で微弱という二つの条件は初めてだ。磨那さん、調査をお願いします。」

 「解りました。板野磨那、行きます!」

 磨那は急いで食事を食べきり、現地へ向かう。

 「見たところ、人はいないように見えるけど…」

 磨那は現地を探索するが、一面の瓦礫の中で何も見つけられずにいた。しかし、

 「あっ!目の前に男の子が倒れています!」

 磨那は十歳前後の少年を見つけると、少年に近づく。

 「ぼく、大丈夫!?」

 磨那は少年に話しかける。

 「おねえちゃん…」

 少年は磨那を見ると呟く。しかし、

 〝磨那さん、その子だ!その少年からおっぱい魔人の反応が出ている!〟

 奏からの通信をうけのと同時に少年の様子が変わる。

 「オネ…エ、チャン、オッパイ、無イィィィッ!」

 少年は言葉遣いが急におかしくなりながらおっぱい魔人に変身する。

 「そんな!?この子が、おっぱい魔人だったなんて!?」

 磨那はショックを受ける。

 「これが奴らのやり口。たとえ子供だって容赦しないのよ。磨那、変身よ!」

 「…うん、わかった。エメラルド・ラピッド!」

 磨那はゲイルエメラルドを掲げて光に包まれ、服は消滅し、真っ平らな裸体が露わになる。

 「ゲイル、やっぱりこれ恥ずかしいよ!」

 「文句言わない!もうすぐ構築されるから待っていて!」

 磨那の言葉をゲイルは一蹴するが、それと同時に戦闘服の構築が完了する。

 「私は癒しの疾風!ナイチチゲイル!って、あぶなっ!」

 ナイチチゲイルは決めポーズをとるが、おっぱい魔人はそのまま高速で突進をし、ナイチチゲイルは咄嗟に避ける。

 「あいつ、凄い速い!」

 ナイチチゲイルはおっぱい魔人の突進を見極めようとするが追いつかず、翻弄される。

 「駄目だ、追い着けない!」

 「磨那、私にはウィンドレイダーっていうバイクがあるの。それを呼んで!」

 「わかった。来ているウィンドレイダー!」

 ゲイルに言われた通りにナイチチゲイルが呼ぶと、どこからともなくメタリックグリーンの鋭角的なバイクがやって来る。

 「磨那、そいつに乗って!それならおっぱい魔人のスピードについていけるはず!」

 「うん!」

 ナイチチゲイルはウィンドレイダーにまたがり、走らせると瞬く間におっぱい魔人に追い着く。

 「そこだぁぁぁ!」

 ナイチチゲイルはおっぱい魔人に追い着くとラピッドスティンガーでおっぱい魔人を突き、転倒させるとウィンドレイダーから降りる。

 「オッパイ…無い!」

 おっぱい魔人はナイチチゲイルに突進し、そのまま勢いよく殴る。しかし、

 「あれ、痛くない?」

 その拳はぺちぺちと当たりはするものの、碌なダメージにもならない。

 「磨那、おっぱい魔人何か様子がおかしい。」

 「確かに、黒服兵よりも殺気が無い。」

 「もしかしてこの子、そこまで大きな胸に拘りが無いのにおっぱい魔人にされたのかも。」

 ゲイルは一つの可能性を考える。

 〝磨那さん、一度そのおっぱい魔人を攻撃して、変身を解除出来ないか?〟

 「わかりました!やってみます。」

 奏からの通信を受け、ナイチチゲイルはラピッドスティンガーでおっぱい魔人を攻撃し、少々ダメージを与えると、おっぱい魔人は少年の姿に戻る。

 〝やはりだ。もしかしたら、そのおっぱい魔人の反応が小さかったのは、おっぱい魔人としての資質が無くて強制的に改造されたからかもしれない。磨那さん、そのおっぱい魔人を回復させて会話が出来るか試してもらえないか?〟

 「はい。行くよ、ゲイル。癒しの波形、ヒーリングウェーブ!」

 ナイチチゲイル奏からの指示を受け、少年に回復の超能力を使って少年の傷を癒す。

 「…んん、おねえちゃんは?」

 少年は目を覚ます。

 「大丈夫?」

 ナイチチゲイルは少年に優しく話しかける。

 「あの…えっ…と…その…」

 少年は突然顔を赤くしてそっぽを向く。

 「どうしたの?どこか具合でも悪いの?お姉さんに任せて。」

 ナイチチゲイルは心配そうに言う。すると、

 「あ~…磨那、多分心配しないで大丈夫だよ。」

 ゲイルは何かを察して言う。

 「どうして?だって急に俯いているんだよ、ほっとけないよ。」

 「いや、あの子は元気だよ。どっちかっていうと、ちょっと元気過ぎているって感じかな…」

 ゲイルはお茶を濁すように言う。

 「元気過ぎってどういうこと!?とにかく、大丈夫?」

 ナイチチゲイルは少年の正面に立って話しかける。すると、

 「ごめんなさい!おねえちゃんを見ていたら、おちんちんがむずむずして…」

 少年は泣きながら言う。

 「あ~あ、だから元気過ぎって言ったのに…」

 ゲイルは呆れる。

 「大丈夫、気にしないで。男の子なんだから仕方ないでしょ。」

 「うぅ…ごめんなさい…」

 「ほら、泣かないで。いい子だから。」

 ナイチチゲイルは少年の頭を撫でる。

 「ありがとう、おねえちゃん!」

 少年はナイチチゲイルの胸に頭を擦りつけ、泣きながらお礼を言う。

 「それで、ぼくはどうしてあんな姿になっちゃったの?」

 「僕、お父さんがあの建物に入って行っちゃって、追いかけたらいつの間にか、倒れていて…」

 少年はおどおどしながら言う。

 「なるほどね、この子にはそういう趣向がまだ芽生えていなかったんだ。だからおっぱい魔人になってもその力を使いこなせなくて、苦しんでいたんだ。」

 少年の言葉を聞いてゲイルは納得する。

 「ほら、怖いのはもう大丈夫?」

 ナイチチゲイルは少年に優しく話しかける。

 「うん!おねえちゃん、大好き!」

 少年は満面の笑みを浮かべながらナイチチゲイルに抱きついた。

 「っていうことで、懐かれちゃったんですけど…」

 ウォールストリートに戻った磨那は自身の手をがっしりと掴んでいる少年を見ながら奏に言う。

 「おそらく、その少年の反応が小さかったのは、元々大きな胸に興味があったわけでも無いどころか、その意味も解らないでムネトピアに迷い込んでしまって改造されたのだろう。」

 奏はそう推測する。

 「ゲイルも言っていましたが、奏さんもそう思いますか。」

 「ああ、この子はムネトピアの残虐な行為の被害者だ。流石にこんな子供を殺せだなんて私達は言えない。君、名前はなんていうのかな?」

 奏はしゃがみ、少年に目線を合わせて質問する。

 「麗雄、草壁麗雄くさかべれお疾手はやて小学校の5年2組。好きなことは走ること。」

 少年は自己紹介をする。

 「走るのが趣味だからあんなに速いおっぱい魔人になったんだ…」

 磨那は納得する。

 「麗雄君か。麗雄君は磨那お姉ちゃんと一緒がいいのかな?」

 「うん!おねえちゃんとっても優しいし、おねえちゃんと一緒にいると、なんか不思議な気分になるの。」

 麗雄は笑顔で答える。

 「そうか。磨那さん、麗雄君は磨那さんと同じ部屋で過ごしてもらうので構わないか?仮にも、おっぱい魔人が出歩いていたらどんな事に巻き込まれるかわからない。麗雄君の安全を守る為にも、お願い出来ないか?」

 奏は磨那に提案する。

 「…わかりました。麗雄君、私に凄く懐いているみたいで、このまま危ない目に遭わせるより私と一緒にいる方が安全だと、私も思います。大丈夫です、子供は好きですから。」

 磨那は奏の提案に賛成する。

 「磨那さんが子供好きでよかったわ。麗雄君、磨那お姉ちゃんが一緒にいてあげるって。これでもう寂しくないね。」

 佳織は麗雄に説明する。

 「本当!?」

 麗雄は嬉しそうに尋ねる。

 「本当だよ。麗雄君、これからは私が傍にいてあげるからね。」

 磨那は麗雄を安心させる。

 「おねえちゃん、ありがとう!僕、大きくなったらおねえちゃんを守れるようなりっぱな男になるね!」

 麗雄は幸せそうな笑顔を見せていた。

 「あれ?麗雄から邪悪な気配が消えた?気のせいかな?」

 ゲイルエメラルドの中でゲイルは麗雄の変化に気づいていた。

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