私が変身ヒロイン!?だって23歳だよ!
キャラクター紹介
板野磨那
身長:168cm
体重:48kg
スリーサイズ:B/75(AAAカップ):w/54:H/76
本作の主人公である23歳の女性。不思議な宝石に選ばれ、ナイチチゲイルとして戦う決意を固める。
無法の荒野と化した日本に、一人の女性が無い胸を張って歩いている。
「出たぞ!」
「奴が噂のまな板女か!」
「俺達の仲間を次々と倒しやがって!」
黒いスーツに黒の蝶眼鏡という怪しげな集団は女性を殺めようと、その手に持つダガーナイフで女性を襲おうとする。しかし、
「エメラルド・ラピッド!」
女性は翠色の宝石を掲げ光に包まれる。すると、そこにはナース服に装飾を施したような衣装を纏う女性がいた。
「私は取り戻す!お前達に奪われた日常を!」
女性はレイピアを構えて走り出す。
全ての始まりは、今から二ヶ月前に遡る。
「課長、おはようございます。」
男女兼用衣服、所謂ユニセックス系の大手メーカー『Contrast Futur』の専属デザイナー、板野磨那は普段通り五十代の課長に挨拶をする。
「板野ちゃん、いたんだ。ゴメンね、名前通りのまな板だから気付かなかったよ。フヒヒッ。」
課長は朝早くから下らないセクハラを磨那にする。
「やぁ~ね、また始まったわよ、課長の板野さんいじり。」
「でも、いくらなんでもあれじゃあ魅力も無いし仕方ないよ。」
「そうよねぇ。あれじゃあ抱きしめられる男が可愛そうよね。」
近くを通りかかった女性社員は小声で課長を非難するも、結局磨那を侮辱している。それが聞こえた磨那は女性社員達を睨む。
「っ!あら、板野さん、おはよう。」
女性社員は取り繕うように挨拶をする。
「おはようございます。」
磨那も挨拶を返すと、企画室に向かう。
「板野君、おはよう。課長の件、本当にゴメンね。あの人、技能が高いから切るに切れないんだよね。」
「部長、大丈夫です。それより、次の企画の件ですが…」
磨那はデザイン案を取り出す。すると突然、轟音と共に震度5強規模の地震が起きる。
“社員各位に報告、大型地震の可能性があります。社員の安全な避難をお願いします。”
社内にアナウンスが鳴り渡り、磨那達も会社の外へ出る。すると、
「何、あれ…」
一人の女性社員が海の方を指差す。そこには、海面から浮上する古代文明があった。それを見た人々は不安に駆られてざわつく。すると、古代文明の神殿と思われる所から一人の女性が現れる。
「ふむ。この時代になってもまだ貧乳は滅んでいなかったか。聞け、新しき者共よ!我らはムネトピア帝国!私は女帝のグラメニア。今日より、この土地は我らのものとする。」
グラメニアと名乗る女性はそう宣言すると、黒ずくめに黒い蝶眼鏡をつけた男性兵士を放ち、レールガンを使って都市の攻撃を始める。レールガンによる砲撃を受けたビルは火花を散らしながら瓦解する。
「きゃー!」
磨那をはじめ、人々は逃げまどう。すると、一人の女子高校生が転んでしまい、男性兵士に目を付けられる。
「いたぞ!奴は消せ!ムネトピアに貧乳は必要ない。始末の対象だ!」
男性兵士は女子高校生に容赦なくレールガンを放ち、女子高校生を消し炭に変えてしまう。こうして、ムネトピア帝国による日本侵略は確実に遂行されてゆく。ある時は自衛隊の戦闘機がムネトピア帝国を攻撃するが、
「なんだその平らな乗り物は!そんな平らなもので我らを倒せると思うな!」
漆黒の体毛に被われ、四本の腕に剣を握る異形が神殿から現れると、その剣から突風を巻き起こし戦闘機同士をぶつけ合わせて墜落させる。
「どうだ、現代人共よ!我らムネトピアの軍門に下ればこのような力を手にすることも出来る!我らは来る者は貧乳以外拒まぬ。待っているぞ!」
異形の言葉をいくや否や、多くの人々がムネトピアの神殿に向かい、日本は僅か半月でムネトピア帝国に支配されてしまった。
ムネトピア帝国に支配されて以降、男性兵士による貧乳女性の虐殺が始まった。
「もう来たのね。」
磨那は持ち前の運動神経と地形把握を利用して男性兵士達から一ヶ月半の間、運良く逃げ切れていた。
「今までは運良く我々から逃げ切れていたが、それも今日までだ。」
男性兵士はダガーナイフを構え、磨那に向かって走るが、磨那は男性兵士の一人を踏み台にして高く跳び、綺麗に着地すると崩れたビルの影を利用し駆け抜ける。
「逃がすな!今日こそ仕留めるぞ!」
男性兵士達は磨那を追いかける。
「まだ私は生きていたい。そのためにも、こんな所で終わるわけにはいかない!」
磨那は瓦礫を上手く抜けるように走るが、その目の前に一つの人影が現れる。
「課長!?」
磨那の足は止まる。目の前にいたのは磨那の部署の課長だったからだ。
「久しぶりだね、板野さん。いやあ、相変わらずの絶壁っぷりだね。」
「お世辞ではないことはわかっていますが、それはどうも。」
「君がその絶壁のままでよかったよ。だって…」
課長はそう言うと、眼球と掌が巨大化した異形に姿を変える。
「女帝グラメニアから頂いたこの力、おっぱい魔人の力を試す実験台が見つかったからね!」
異形、おっぱい魔人はその巨大化した腕で磨那を引き裂こうとするが、磨那は咄嗟に避ける。
「ほう、このギガンテックハンド様の腕から逃げられると思っているのか!」
ギガンテックハンドは雄叫びを上げながら磨那を追いかける。
「課長、まさかあんな姿になるなんて…」
磨那は欲望に囚われた課長に対して哀れみの感情を出しながらギガンテックハンドから逃げる。
「素晴らしい、実に素晴らしい!メタボも解消され、全ての胸を包みこめる手を下さった!女帝グラメニアに感謝だ!」
ギガンテックハンドは腕を駆使して磨那を追いかける。その姿は既に人としての誇りを失ったかのような動きであった。そして、
「ぅあっ!」
磨那は瓦礫に躓いて転んでしまう。
「ふっふっふ、板野さん、ムネトピアに胸の無い女は必要ない。俺の鉤爪の実験台になれ!」
ギガンテックハンドは指先から鉤爪を出現させて磨那を引き裂こうとするが、謎の発砲がギガンテックハンドの行動を阻害する。
「君、こっちだ!」
発砲した男性は磨那を呼び寄せ、磨那が向かうと円筒を投げてギガンテックハンドの視界を遮る。
「ぐっ、煙が目にしみる!」
眼球が発達したことが裏目に出て、ギガンテックハンドは目を擦るが既にそこに磨那と、磨那を助けた謎の男性の姿は無かった。
「はぁ、はぁ…あなたは?」
磨那は自身を助けた男性に質問する。
「私か、私はレジスタンスのリーダー、真盾 奏というものだ。」
男性、奏は自己紹介をする。
「レジスタンス?」
「そうだ、私達はムネトピアを倒して元の日本を取り戻す為に戦うと決めた。さあ、ここが私達の拠点だ。」
奏は巨大な施設に磨那を案内する。そこには、200人程度の老若男女が集まっていた。
「あなた、お帰りなさい。その人は?」
「佳織、ただいま。この人はムネトピアのおっばい魔人に襲われていた、数少ない女性だ。」
奏は妻の佳織に紹介する。
「助けていただいてありがとうございます。私は板野磨那と申します。」
磨那はレジスタンスのメンバー達に自己紹介をする。
「磨那さん、ここにいる人達は皆、大切な人をムネトピアの連中に殺された人達なんだ。」
奏は説明をする。
「私達夫婦は、たった一人の愛娘をあいつらに殺されたんです。娘は十歳でした。私の家系は身体成長が遅い家系です。十歳では当然小柄で胸の発育なんてありませんでした。ですが、あいつらは『十歳になれば第二次性徴は始まるから、育っていない奴は始末対象だ』と言って私達の娘を殺しました。」
佳織は磨那に話す。
「俺は婚約者を、奴らに殺された…」
「俺は姉さんを!」
「僕は戦前生まれのお祖母ちゃんを。」
「俺も、たった一人の妹を。」
レジスタンス達は三者三様に事情を話す。
「酷い…」
磨那は呟く。
「私達は自然と集まり、こうして一つのコロニーが出来ました。そして誓ったのです、私達のような悲劇を生んではいけない。胸の有無で人の価値観を決めつけるムネトピアを倒そうと。そしてあなたが現れた。」
「私?」
奏の言葉を聞き磨那は驚く。
「佳織、磨那さんに例のものを。」
「はい、あなた。」
奏の言葉を聞き、佳織は木箱を取り出し、それを開けて中から掌ほどのエメラルドを取り出す。
「磨那さん、これをあなたに托します。」
「これは?」
「その宝石は我が家に伝わる秘宝、ゲイルエメラルド。」
「ゲイルエメラルド?」
「我が家には古くからある言い伝えがあります。〝実りを以て人の心が奪われし時、無の荒野より癒しの光、現れん。〟我が家の血には、ムネトピアの遺伝子がかなり薄く入っていました。私の先祖はいずれムネトピアが復活して地上を支配する可能性を考え、そのストッパーとして、その宝石を作られたみたいでした。そのゲイルエメラルドは宝石の一つで、宝石の中には貧乳超人と呼ばれる正義の使者が眠っているとされています。磨那さん、そのゲイルエメラルドを握り締めてください。」
「よく解らないですが、はい。」
磨那は奏に言われた通りゲイルエメラルドを握り締める。すると、ゲイルエメラルドから白衣の天使の霊体が現れる。
「ついに現れたのですね、私の力を扱える正義の使者が。」
霊体は磨那に話しかける。
「私は磨那、あなたは?」
「私は戦場ナース、ナイチンゲール。と言ってもそれは生前の名前だけどね。今は貧乳超人の一人、ナイチチゲイルに昇華されたけど。」
貧乳超人、ナイチチゲイルは自己紹介をする。
「ナイチチゲイル、名前が長いしちょっと恥ずかしいから、ゲイルって呼んでいい?」
「ゲイル…その意味は疾風…颯爽と現れて悪を打ち、癒しを与える私のイメージにぴったり。ありがとう、磨那!」
ゲイルと磨那は速くも仲良くなる。
「さて、ここもそろそろ気付かれる。実はこの施設は巨大移動要塞となっている。まずはあのおっぱい魔人を倒し、経路を確保しよう!」
奏は言う。
「あの怪物は、もう倒す…殺す以外方法は無いのですか?」
「残念だが、ムネトピアの秘術で改造されてしまっているから、救う方法はもう無いんだ。」
磨那の質問に奏は答える。
「…わかりました。あの怪物は私が倒します!」
「ありがとう。私はその間にこの施設を高機動モードに切り替える。」
磨那は施設から出てギガンテックハンドの所に向かった。
「課長…いや、おっぱい魔人、ギガンテックハンド!私はここです!」
磨那はギガンテックハンドの前に現れる。
「どうした、ついに諦めたか?」
ギガンテックハンドは笑う。
「もう追いかけっこは終わりにします。これからは、鬼ごっこです。もちろん、私が鬼のね!」
磨那はゲイルエメラルドを取り出す。
「ゲイル、どうすればいい?」
「エメラルドを掲げて、エメラルド・ラピッドって叫んで。」
磨那はゲイルから説明を受ける。
「板野さんが鬼?馬鹿を言うのもほどほどにしなさい。胸の無い君が、追いかけられる側だということを忘れたか!」
ギガンテックハンドは呆れながら言う。そして、
「今の私は、もう今までの逃げていた私じゃない。見せてあげる、私とゲイルの力を!エメラルド・ラピッド!」
磨那の言葉により変身のコードが入力され、磨那は緑の光に包まれる。
「ぐっ、眩しい!」
ギガンテックハンドは目を閉じる。その光の中で磨那は変身の為に服が分解され流線形の美しい裸体が現れる。
「えっ、何これ!」
磨那は驚く。
「今から磨那に戦う力を与えるの。今はその為の衣装構築の時間。」
ゲイルは説明する。
「嘘!?私が変身ヒロイン!?だって23歳だよ!無理無理!」
磨那は驚くが、ナース服に装飾が施された戦闘服の構築は完成し、光は収まる。
「なんなんだ、その姿は!」
ギガンテックハンドは驚く。
「私は、癒しの疾風!ナイチチゲイル!」
ナイチチゲイルは名乗る。
「無い乳だってよ!揉めない胸は胸じゃないんだよ!来い、黒服兵!」
ギガンテックハンドは一通り笑うと、男性兵士を呼び寄せてナイチチゲイルに攻撃を仕掛ける。
「当たるものか!」
ナイチチゲイルは軽く走ると、いつの間にかギガンテックハンド達を通り過ぎ、攻撃を避けていた。
「磨那、私にはラピッドスティンガーっていう武器があるの。それを使って。」
「わかった。来て、ラピッドスティンガー!」
ナイチチゲイルはレイピアを召喚し、男性兵士達を貫いて爆散させる。
「なんて速さだ!俺では追い着けない!」
ギガンテックハンドは困惑する。
「さっきは散々言ってくれたね。揉めない胸は胸じゃないって。大きさだけで全てを決めるな!お前はデブは男じゃないって言われたらどう思う!お前がおっぱい魔人になった理由は他でもない。女性と見た目で差別する、その醜い心だ!」
ナイチチゲイルのレイピアによる刺突を高速で受けたギガンテックハンドの両腕は砕け散る。
「おのれ、言わせておけば!そんなもの、貧乳女の言い訳だ!女の価値は胸の大きさで決まる!」
ギガンテックハンドは腕を失っても尚その大柄な身体でナイチチゲイルに突進するが、ナイチチゲイルはジャンプして避ける。
「平和を願う貧乳超人が、お前の悪意を消し去ってみせる!くらいなさい、ラピッドインパルス!」
ナイチチゲイルはラピッドスティンガーでギガンテックハンドに五芒星を描くように連続で突き刺し、それは光を放ってギガンテックハンドを爆破させる。その煙が晴れると、ギガンテックハンドの残骸が地面に残り、ナイチチゲイルは変身を解除し、磨那の服は再構築される。
「おのれ、ナイチチゲイル!我らムネトピアの、最大の脅威の出現ね!」
ムネトピア神殿で映像を観ていた女帝グラメニアは怒りを露わにした。
「はぁ~…成り行きで変身しちゃったけど、やっぱり恥ずかしいよ。」
「こんなことない。戦っている時の磨那、すごく格好よかったよ。」
落ち込む磨那にゲイルは慰めの言葉をかける。すると。施設は動き出す。
『お~い、磨那さん!今から磨那さんの初陣兼初勝利のパーティーを開きたい。参加しないか?』
施設についているメガホンから奏の声が聞こえ、磨那は施設に入る。
「ただいま。」
「お帰りなさい。今日から、ここが磨那さんの新しい家と家族だ。さあ、一緒にご飯を食べよう!」
奏は磨那を迎え入れ、パーティーが始まると磨那は景気良く食事を食べ始める。かくして、レジスタンスの希望の星、癒しの疾風 ナイチチゲイルと、女帝グラマニアが率いるムネトピア帝国の、長く険しい戦いが始まったのであった。