ずっと、ずっと。
「今日は、本当のことしか言っちゃいけない日だって知ってる?」
「あぁー、知ってる知ってるー」
カラオケに来ていた私と友人は、休憩がてら話を交わす。5時間歌い通しで疲れてしまった私達は、机にお互い突っ伏しながら会話していた。
カラオケに誘ったのは私。今日こそは伝えようと思って、この日を選んだ。鼓動がどんどん早まって、煩くなっていく。
開いた口から言葉がどうしても出なくて、金魚みたいになってる。気付かれないように静かに深呼吸を繰り返して、少しだけでも心を落ち着かせる。勇気、出さなきゃ。
「それで、ずっと伝えたかったことがあるんだけど」
「ん、なにー?」
あのね。
やっぱり心は落ち着かなくて、鼓動の音が頭の中に響いてて。もう一度、深呼吸を繰り返して言葉を続けた。
「私、ずっと好きなんだよ……貴女の、こと」
時が止まったような気がした。友人の呼吸が、私の呼吸が、止まってしまった。言わなきゃ良かったかななんて、あんなに固めた決意もスライムみたい。
顔が熱くて熱くて、つけてる暖房の温度を下げようと立ち上がった時。
「私もずっと、好き"だった"よ」
――友達でいよう。
胸に鋭い刃物が、深々と突き刺さる感覚。だった、の言葉の先に含まれた意味は、知りたくない。
「そっか、わかった。ごめんね」
なんてことないように笑って、曲を入れた。浮かんでくる涙を、零さないように無理矢理堪えて、今日という一日を終わらせた。
ずっとずっと好きだよ。
また来年、素直な気持ちをまた伝えたい。




