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首に手をかけ優しい愛を
首を絞めて、キスをして。
そう懇願する君の首に、すっと手をかける。両手で温かく包み込むようにして、それからぎゅっと力を込めた。
君は幸せそうに口角を上げた。僕も君に応えるように、薄く笑って、両手の力を強める。一瞬、君は顔を歪ませた。
すぐに両手の力を抜く。名残惜しそうな表情に変わり、何かを言いかけて止めた君。ゆっくりを手を離して、君の服を捲った。
白く細いその腰に、愛の証を。
*
殺して。
ある日君がそう言った。僕の両手を、自らの首元に持っていく。素直に力を込めた僕は、笑わない君を見て手を離した。
いきなり酸素が肺に入った君は、大きく咳き込んだ。涙目で、訴えたそうに僕を見つめる。
――君が死ぬのは、君の全てが僕の物になってから。
――生きる意味が無いと言うなら、僕の為に生きてよ。
君は一呼吸置いて、思わず、というように微笑んだ。首を絞めたときよりも、それは遥かに美しく、可愛らしいものだった。
腰へのキス……束縛
多少意味が異なる場合がありますが、こちらの話ではこの意味で捉えて下さい。