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日めくりカレンダー  作者: 流美
3月の日めくりカレンダー
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遅い

 彼女が浮気をしていると知っていたら。

 僕はきっと激怒した。

 でも本当はそれが一番彼女のためだった。


 彼女を守るには力不足だと、気付くのが遅すぎた。


 彼女が居なくなってしまった先日。彼女が帰ってきた昨日。彼女を抱き抱えてるのは知らない男性で、僕は隣にいなかった。

 勝ち誇ったような笑みを含めて、男性は何も言わずに去っていった。お互い一言も交わしていないし、お互い初対面だった。だけどお互いに敵で、僕はもう負けたのだと分かってしまった。


 彼女の両足は無くなっていた。その時は何一つ知らなかった。後日親から回ってきた伝言は、両足に何らかの異常があり両足を失った。それだけだった。

 だったそれだけ。見知らぬ男性のことには一切何も触れられず、僕の心に急に穴をあけられてしまった気分だ。


 彼女が一番苦しかったとき、僕は隣にいなかった。

 彼女にとってそれは十分な理由で、いくら僕が彼女の容態に気付かなかったとしても。彼女が居なくなった本当の意味を知らなかったとしても。彼女を責められない。僕は、彼女の苦しい時に側にいなかった。それだけの事実で十分なんだ。


 彼女の側にいられなかったことを悔やんでももう遅い。僕が彼女を救うには、あまりにも無力だった。

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