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よく頑張ったね
彼女は、今にも消えてしまいそうな顔で笑う人だった。
辛そうにしているから問いかけてみても、何でもないと誤魔化して笑う。
問い詰めようとするものなら、適当に理由をつけて流してしまった。
だから彼女は生きることに疲れたのだ。
真面目で勤勉で誠実だった。
あまりにも過度ではないかと皆が心配するくらいに。
それ故に、自分の心なんて後回しにしていた。
もう彼女はこの世にはいない。
今ここから落ちたら楽になれる。
彼女はたったそれだけの、一瞬の思考に飲み込まれてしまったのだ。
生前、頑張らなくてもいいとどれだけ声をかけても彼女には伝わらなかった。
常に頑張っていた彼女だった。
お疲れ様。
書き終えてから今日が猫の日だと気付きました。
いつか猫のお話を書きます。




