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怠惰で揺れる
木の下で揺れる私。ギィ、と、今にも木が折れそうな音。死んだのかと理解するまで、少々時間がかかった。
なんで私が見えてるんだろう。
考えて、すぐに分かった。地面が透けている両手。最後まで死ねてないらしい。
家でできれば楽だけど、なかなか見つからない森の奥でやったらもっと楽だった。移動するのは面倒だったけど。
私はいつまでここにいるんだろう。
誰かに見つからないと成仏できないのなら、面倒な死後だ。死んだらすぐに、あの世にいけると思ってたのに。
そもそも、成仏できるのだろうか。私は親不孝者で、友達を裏切って、嘘ばかりついて生きてきた。私の行先は、地獄なのではないか。
まぁ、いいか。
考えるのをやめた。死んでまで考えるのは、面倒なことこの上なかった。
生きることが面倒だったから死んだのに。
私の怠惰は、死後も付きまとうようで、鬱陶しかった。
自殺の意味さえ、思い出すのが面倒だった。




