ベッドの上で横たわる君
――はぁ。ひとつ溜息を漏らした。
手はかたかたと震えているのに、頭は思った以上に冷静を保っている。これからどうしようかと、普通に考えられてしまう。
人を一人殺したというのに、ここまで冷静にいられるのか。こんなの自分自身に驚いてしまう。
なんで、殺したんだっけ。
朝起きたら、物欲しそうな顔でこっちを見てきて。首に触れたら、ふっと微笑んだような気がしたから。
目の前の君は、どこか幸せそうに見える。殺しちゃってごめんというか、幸せそうで嬉しいよというか。
警察に自首しようとは思わない。かと言って、君を置いて何処かに身を隠したいとも思わない。とにかく、君から離れたくない。
じゃあ、できることは一つだけかな。
棚の中から睡眠薬を取り出す。買ってから2錠しか使ってない睡眠薬。水を用意して、吐きそうになりながらも全てを詰め込み、流し込む。
何時頃に効果がでるのだろうか。疑問に思いつつ、君の隣に寝転ぶ。
ふかふかのベッドと、君の柔らかい肌。さらさらの髪。大好きな君の体。全身で感じながら、曖昧になっていく意識を楽しむ。
もう二度と目覚めませんように。
ずっとずっと、君の隣で。




