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私の声
疲れてしまった。
君と足並み揃えて歩くことも。一緒に息を吸うことも。
ただ、無気力だった。自堕落だった。
何もしないで進んでいく刻が、これほどないくらいに楽で、憂鬱で。私の存在を、あまりにも曖昧にさせる。
君が隣にいることさえも、私を消してしまいそうだ。私の意思も、声も心も、どこかに消えてしまう。
それは実際、決して君は悪くなんかない。でも、疲れてしまった。君の隣で、私はここだと叫ぶことが。
ごめんね、と一言だけ。ありがとう、も一言だけ。君の隣は、知らない誰かに譲ろう。私は今、私の声を誰かに届けるのに精一杯だった。




