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代わりの人生
代わりなんていないよ。
そうやって国は言うけれど、僕1人がいなくなっても誰も気付かない。僕と誰かが入れ替わっても、誰も困らない。
世の中、その程度。代わりなんていないよ、自分を大切にしなよ。そう言うのは、僕みたいな人間じゃないからだ。
僕みたいな人間というやつは、死んだって悲しまれない。人一倍努力したって褒められない。誰からも存在を認められない。
そんな奴の代わりになれる人なんて、溢れるくらい沢山いる。僕の代わりだなんて、申し訳ない気持ちもあるけど。
だから良いんだ。僕はもう、いなくたって。
「これから、宜しく頼むよ。僕」
僕なんかが誰かの代わりになれるなら、本望なんだ。




