20/294
アイス
冷たいバニラアイスが喉を通り、潤していく。熱っぽい体にアイスの冷たさは嬉しく、優しい甘さが美味しかった。
「大丈夫か?」
「んー」
私の隣に座って、頭を撫でてくる彼。ゆっくりとした丁寧な手付き。彼らしいといえば、彼らしい。
「辛いだろうけど、すぐ良くなるだろうから。ちょっと我慢な」
「うんー」
今の私にはアイスのほうが大事で、彼の言葉なんてちっとも入ってこないけど……それは言わない。私が熱を出したとき、誰よりも心配してくれたのが彼だから。
「アイス食べ終わったらまた寝なよ?」
「んー」
こくりと喉を鳴らしてアイスを飲み込む。もうすぐ無くなりそうだった。私は彼に寄りかかって呟く。
「ありがと」
「ん? ……あぁ、いえいえ」
彼の声は、弱ってる私には一番の薬だった。
インフルAで熱が40度近くまで上がりました。
皆さん気をつけてください。辛いです。




