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カフェオレ
大人ぶって、カフェオレにした。とろとろのクリーミー・エビオムライスに、つけたドリンク。普段の私なら、カルピスとか、オレンジジュースとかにするのに、今日はカフェオレを頼んだ。
味は、苦くて苦くて、大人の大好きそうな味だった。これが大人の女性が飲むものなのかと、ぼんやり思いながら、無理やり喉の奥に流し込んでいた。残すことは、プライドが許さなかった。
漸く飲み終わって、口の中いっぱいに大人の女性の味が広がった頃。私は目の前のカップに入れられた、ガムシロップの存在を、今更理解した。
まだまだ子供なんだって自覚して、少しだけ落ち込む。大人になるには、苦いものも辛いものも、食べられるようにならなきゃいけない。気がする。
カフェオレの味がまだ残っている中、私は友人と店を出る。美味しかったねと笑う友人に、私は大人の女性の味を強く感じては、苦笑いで答えることしかできなかった。
早く大人になって、あんなのが飲めるステキな女性になりたいな。でも、苦いから飲めなくてもいいかもな。
私の中で小さな葛藤が生まれた、曇り空な休日の昼下がり。




