貴方へ
初めまして、未来の貴方。私は過去の、私です。ふふふ、なんてね。とても晴れた良い日、私は散歩の代わりに、お手紙を書いてみることにしました。
さていきなりですが、貴方は誰でしょう。私の大好きな貴方? 私の大嫌いな貴方? 私の大切な貴方? 残念、どれもハズレです。まぁ答え合わせは、最後にしましょうか!
過去は、いろいろありましたね。漫画の世界なんかよりも何倍も過激なイジメだとか、両親の離婚を始めとした家庭崩壊だとか。よく耐えていましたね。よく頑張っていましたね。
だから貴方はお疲れでしょう。ゆっくり休んでください。ゆっくり休んで、そしたらまた遊びにきましょう。次こそはきっと、ステキなことが待ってますから。
そろそろ私は眠くなりました。貴方に手紙を書いているだけで、何故こうも視界が歪んできてしまうんでしょうね。不思議なことですよね。
――この手紙は、貴方に届かないんですよ。理由、わかりますか。私には分かりますよ。だって、自分のことだもの。紙飛行機になって、飛ばされるんです。遠い遠い、あっちのほうに。
私の命は今日で終わり。未来の貴方になんて届かないし、届けられないんです。誰にも気付かれないまま、可哀想だねって笑われるんです。あぁ、最期まで残酷な人生よ。
最後に答え合わせしましょうか。貴方が誰かって。その答えは、未来の貴方は、未来の私。私は、未来の私に手紙を書いています。だから届かないんです。
あーあ。届いたら良かったのに。
最後の一文には
(本当は生きていたかったけど)という思いを込めつつ。




