表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日めくりカレンダー  作者: 流美
5月の日めくりカレンダー
136/294

ミミズ

「ずっと仲良くしようね!」


 うん、と答えた瞬間に胸がずきんと痛んだ。苦しく締め付けられる胸元を何気なく押さえて、目の前で笑う友人と一緒に笑った。

 どくん、の心拍の代わりに、ずきん、と胸が音を鳴らす。バレてはいけない嘘。何も知らずに信じている友人が、なによりも愛おしくて、辛い。


 その友人は無邪気に笑う。1ミリの曇りもない瞳で、闇に包まれている私を見つめていた。闇を必死に隠して、泣きながら笑う私とは正反対で――綺麗だ。

 ごめん。友人に対する謝罪も、両親に対する謝罪も、手紙の中に置いてきた。私の口からは、ありがとうだけ。バレないように、さりげなく会話に含ませる。決して前兆だったなど、思わせることがないように。


 友人と別れてから歩く帰路は、あまりにも寂しくて重くて湿った空気が纏わりつく。私が見る最期の空は、青の欠片も見えなかった。

 ぼんやりと滲む太陽が、まるで友人みたいだと他人事のように思った。私にとって友人は、眩しすぎて勿体ない。友人が太陽なら、私はきっと太陽に焼かれるミミズだから。

 私の代わりに、お月様が笑ってくれますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ