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日めくりカレンダー  作者: 流美
4月の日めくりカレンダー
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間違い探し

 歩き方を忘れた。


 今までどうやって歩いていたのか分からない。右足はどのように出して、左足はどのように出していたのか。地面をどのように踏みつけて、体はどのように前に出していたのか。

 いきなり分からなくなる。周りの人の視線が異常に気になって、更に分からなくなる。どうやって歩けばいいのか分からない。体が固まってしまったようで、ロボットみたいに見えてるんじゃないかって冷や汗をかく。


 息の仕方を忘れた。


 ふと気付くと呼吸を止めていた。慌てて静かに息を吸い込んだところで、息が吐けないことに気が付いた。これまでどのように肺を使ってたのか、分からなかった。

 次に息を吸い込もうとしても、かなり浅くて。息を吐き出そうとしても少ししか出せなくて。呼吸ができない。苦しくて。意識する前はどうやって呼吸をして生活してたんだっけ。


 生き方を忘れた。


 どうやって生きてきたのかまるで分からない。辛いことがあったとき、悲しいことがあったとき、どうやって泣いて訴えていたのだろう。昔の私は、どうやって明るく考えていたのだろう。

 分からない。今の私には何もかもどんよりと曇っていて、雨が降りそう。なんのために生きていたのか分からなくて、これからなんのために生きていけばいいのかも分からない。


 人生は間違いと間違いを繰り返して進んでく。どれが正しいのかなんて分からない。間違い探しは、間違いと間違いではできないみたいに、そんなの人生だってできないに決まってる。

 どれが正解でどれが不正解で、分からないままだなんて不安になって、もどかしくなって、今どこに立っているのか分からなくなって、目の前が真っ暗になって。当たり前じゃないか。それが当然でいいじゃないか。


 歩き方を忘れて。息の仕方を忘れて。生き方を忘れて。


 そしたら新しい方法を探せばいいのか。正解が無いなら、自分で間違い探しを作ってしまおう。

 私は本当に、歩き方を忘れるし、息の仕方を忘れるし、生き方を忘れる。幼い頃にどうやって笑っていたのかも、どうやって泣いていたのかも忘れる。そして大人になった私は、今、こうやって忘れていることを忘れる。


 忘れてばかりで、自分が歩くべき道を見失って、いっそ死んでしまいたいって何度思ったことか。それさえ忘れている。

 でも、それでも私は、忘れた歩き方を思い出して、忘れた息の仕方を思い出して、新しい生き方を見つけていく。


 間違い探しの正解を求めて、間違いを繰り返していく。

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