『プロローグ』
白銀の世界の中に少女はいました。
温かかった筈の温度はすっかり冷めてしまったのに、少女は自分の中だけに残った温度を抱いて降りしきる雪の中を歩くのでしょう。
これは何てことない失恋のお
話。
悲劇でも何でもない、誰も気に留めてくれない悲しい少女の話。
―――夜、雪が降っていた。
国道の道沿い、行き交うヘッドライトが舞い落ちる雪に輝いている。
道端に佇む赤いコートの少女は水滴の滴る目元を拭った。雪を踏みしめて走る車の唸り声、街を凪ぐ風の冷たさ、そのどれもはこの少女にとって無関係だった。耳に聞こえるのは優しい音色の残響、感じるのは温かい体温、そして目に映るのは、辺り一面の白銀世界。
―――少女は記憶の中にいた。あの降り積もる雪の夜、確かに感じたあの感情を彼女は何と呼んだのか。知る者は誰もいない。
赤のコートが白に染まってゆく。少女はゆらりと立ち上がると崩れそうな足取りで薄闇の中へと消えて行った。
『降る雪と白銀の世界は』プロローグ終了。
私の初投稿作品になりますが、小説を書くことがここまで難しいものだとは思わなかったです。
普段私がどれだけ浅い言葉や考えで世界を見てきたかを実感させられました。
この『降る雪と白銀の世界は』は私の体験を織り交ぜた形で書かせて頂いています。
とは言ってもかなり脚色されていますが。
どうにも薄暗いプロローグですが、どうかこの少女の話の結末を見届けて頂けたら幸いです。
まだ小説を書くにあたって至らない点もあると思いますが、頑張って執筆していこうと思います。
最後に、読んでくださった皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。