お祭りか!?
「参ったな〜。」
俺は、目の前の光景を見て、こう言わざるをえない。
グランドには、大勢の男女が入り混じっている。恐らく、ここの生徒が大半だろう。
一般人を含めて、1000人はいるんじゃないだろうか?
この光景を見ると、成人式を思い出すな。俺はまだ16歳だから無縁だったけど、よくテレビで取り上げられていた。東京は都会の割には静かにやるのに、九州辺りでは、馬鹿騒ぎのオンパレードだ。
特に、沖縄がよく報道されてたな。ま、彼らにとっては、馬鹿騒ぎではなく、「俺たちの事をもっと見て欲しい!」とアピールしているらしい。
ま、祝い事だからはしゃぐのはいいが、時と場合を考えたほうがいい。調子に乗ってピアスとかする為に、耳に穴開けると就職活動に大きく影響が出るらしい。それが原因で、就活500連敗し、自殺した人がいるらしい。
ま、俺に限っては、痛そうだからやりたくないものだろう。
だが、この集まりはそんな生緩い物じゃない。
「流石は、エミリア王女殿下。この私から逃げなかっただけでも、名誉なことですわ。」
「ふん。その口調もいつまでもつことやら。」
「まっ!?なんですって!?」
エミリアとウラリスが討論を繰り返していた。
そう。俺たちは今、エミリアvsウラリスという……
歴史的瞬間に立ち会っているのだから。
2人は、大勢の観客に見守られている。エミリアコールもあれば、ウラリスコールもある。
激しくなって、勢力争いになるのはやめて欲しい。
正直に言うと、どちらが勝とうが負けようが、俺には関係ない。
だご、エミリアは俺を庇って、決闘を承諾したのだ。見過ごすわけにはいかない。ウラリスには悪いが俺はエミリアを応援する。
「はぁ〜、なんでこうなったんだか……」
俺の横で、頭を抱えながら悩んでいる様子の女性。
俺を、お姫様だっこで運んできてくれた人……名はエリスと言っていた。
「すまない。本来は俺があそこに立つべきだったんだが……」
エリスはエミリアとの親友だとレインカから聞いている。俺のせいでこんな事になってしまったんだ。謝るのが当然だ。
「いえ。エリスはそういう性格だからね。親友の私が一番わかってるわ。」
エリスは俺の事を少しも悪いとは思ってないみたいだ。
「それに、エミリアが勝ったら……ウラリスは退学になるだろうしね。」
どうやら、ウラリスと何かあったらしい。怪しい笑みを浮かべ、小声で「ウラリス負けろ、ウラリス負けろ……」と呟いている。
まぁ、ウラリスの性格なら、恨まれてもしょうがないと思う。俺の事も、蔑んでいたように見えるし。
俺としては、竜騎士の戦闘を見たことがないから楽しみにしている。2人とも成績優秀だというから、凄いドラゴンが出てくるんじゃないだろうか?
ま、ヴリトラと戦った俺ならそんなに驚かないかもしれないが。
決闘開始まで、あと30分ある。暇な上に、俺の腹はスカスカだ。なにか、食べるものはないだろうか。
辺りには、露店販売みたいなところで、食べ物を見つけたが、この国の紙片を持っていない。
その事を、レインカに相談したら、数枚の硬貨をくれた。
見たこともない字が彫ってあり、これがどれぐらいの価値なのか分からない。
レインカいわく、その辺の串焼きなら100本は買えるとのこと。
硬貨を受け取った俺は、レインカにお礼をいい、早速、串焼きを購入した。
いい匂いだが、これがなんの肉かわからない。聞いたところ、ホウレンキョウ鳥の肉らしい。取り敢えず、一本買って味見してみた。
「中々いけるな……」
味は、鶏とほぼ変わらない。どの部位だかは知らないが、美味しかったので、10本も購入した。
その他にも、肉まんらしきものや、唐揚げを買い。バクバクと食べる。
「ふぅ。食ったな。」
我ながら、結構食えたと思う。貰った硬貨もまだ余っている。なにかに使えたらいいんだが……
「やべ、もう時間じゃん。」
学園の時計を見ると、残り五分。
俺は、車椅子をオリンピック選手並みの速度で決闘場へと向かった。
その頃、決闘場では……
「両者、準備はいいでしょうか?」
審判らしき女性が、両者共々、問題が無いか確認する。
「ああ、大丈夫だ。」
「右に同じくですわ。」
「そうですか。なら、両者は互いの武器を抜刀してください。」
エミリアは刀を。ウラリスはレイピアを。
審判は両者が決闘を承諾した事を確認した。
「では、盟約に誓ってください。」
女性がそういうと、レイピアと刀の刃先が相手の首筋に向かい、交互する。
「「我、血の盟約に従い、汝を滅せん!」」
会場が一気に盛り上がる。
始まったのだ。両者の運命をかけた歴史に残る戦いが。
だが、この時は誰も知らなかった。
この騒ぎの中、空上のでは、一匹の伝説が降臨していた事を……