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零戦VSドラゴン

「ど、ど、ど、ドラゴン!?」


上にはRPGで出てくるようなドラゴンが飛んでいた。ただ言えることは……


「でかいな……50メートルはあるんじゃないか?」


ものすごくでかいのだ。


ほかに特徴的なのは色が黒い事だ。ただ黒いだけじゃない。まるで輪島塗のような光沢があり、自分が乗っている零戦が写っていた。


モン○ンなら、絶対最終ボス的な感じだろう。


黒天竜王(ジークフリート)と名付けよう。なんとなく……


だが、おかしい。


「WFOにドラゴンなんて出てこないはずだが……」


WFOは戦闘機通しのオンライン対戦ゲームだ。隠しネタでUFOが出てくるとは聞いていたが、ドラゴンが出てくるなんて聞いた事がない。


他のソフトなら出てきてもおかしくはないはない。だが、俺はWFOしかソフトを購入していない。それ故、ありえないのだ。


俺は、ドラゴンに近寄ることにした。速度を落とし、ドラゴンの尻尾の方へと回りこむ。

本当は横と並んでみたかったのだが……もし、目があって攻撃を食らったらひとたまりもない。それと、このドラゴンは見かけによらず速い。時速500キロものスピードを超える零戦に余裕で追い越している。なので、ついていくのがやっとだ。


気づかれないように後ろに回り込み、高度を上げる。そして、ドラゴンの背中を見た。


やはりドラゴンだけあってゴツゴツした岩肌と鋭く尖った棘だらけだ。あれでど突かれたらひとたまりもないな。


それを見て俺が思った事は……


「あの背中に乗りたい!」


厨二病ごころ前回の回想だった。一度はドラゴンに乗りたいって誰もが思った事があるはずだ。ただ、この黒天龍王に乗るには少し覚悟が必要かな。あの背中に乗ったら足が穴だらけになるのは確定だ。あの棘を全部取らないといけないかもな。そうなると少しかっこ悪くなるが。


でも、それは無理だ。俺は、零戦から降りる事ができない。パラシュートなんてものはないし、自分はスカイダイビングをした事ないからどのタイミングで飛び降りればいいかなんてわからない。


いや、今はそれどころではない。


問題はシャットダウンができない事だ。あれから20回以上はボタンを押している。プレイ時間も5時間以上経過している。本来ならありえない数字だ。


最終手段は墜落。それにかけるしかない。


おれは操縦桿を下げ、高度を落とす。だが、そのとき……


黒天龍王がいきなり翼の羽ばたきをとめ、スピードを落とした。その間、ぶつかりそうになり、ブレーキを踏み、右へ旋回した。


そして……


ジーーーー

「…………や、やぁ?」


黒天龍王と目が合ってしまった。その瞬間……


グォォォォォオ!!!!


黒天龍王が雄叫びをあげだ。耳を貫くような轟音に耐え切れず耳を塞いでだ。しばらくの間、耳がキーーンとしていたが、鼓膜は破れてないようだ。窓ガラスを閉めていたのが功を奏したのだろう。防音ガラスではないが、無いよりはマシだろう。開けっ放しだったら両方の鼓膜をやられてただろう。


気づけば、黒天龍王はおれの後ろに回り込んでいた。大きな口を開け、丸呑みにしようとしている。


「上等! ドラゴンと零戦。どちらが上か勝負だ!」


おれはゴーグルをかけ、操縦桿を強く握る。


わざとブレーキをふみ、ドラゴンの口がギリギリの所で……


「きりもみ上昇!」


一気に、高度を上げる。流石にドラゴンも零戦の旋回能力には勝てんだろう。


ドラゴンが、少し、小さくなってきたタイミングで……


「木の葉落とし!」


零戦ならではの技法を使い、ドラゴンを捉える。


おれは機関銃発射スティックに手を置き、狙いを定めた。


その刹那……


ズガガガガ!!!


7.7㎜機銃と20㎜機関砲が戦火を上げる。


よく、戦闘機の機関銃発射装置はレバーと共についてると思われるだろう。だが、零戦はそれとは別にあるのだ。操縦のさいに、片手でハンドルを操作しなければならないのが面倒くさい。


だが、威力は抜群。


グァァァァァァァア!!


流石のドラゴンもひとたまりは無いだろう。命中したところは堅い衣が剥がれており、緑色の血が流れている。緑色の血とはリアルだった。


「どんなもんだい!」


すでに勝ち誇った感じでいる。


だが、油断大敵だ。相手はドラゴンだ。何をするかわからない。


すると、ドラゴンの身体全体が波の様に揺れだした。


刹那……


バーーン!!!


背中が突然爆発し、黒い鱗が弾丸の様に、飛びっちった。


咄嗟に右へ旋回。だが……


ガッ!!


運悪く、ガラスを通り越して、俺の肩を撃ち抜いた。


「うぁぁぁぁぁあ!!」


あまりの痛さに絶叫する。


おかしい。痛みは感じない設定だったはずだ。だが、俺の肩は血だらけだ。このままだと、大量出血で死ぬ。


おれは、被弾した箇所を片手で押さえながら操縦桿を握る。


ドラゴンの方を見ていると裸だったはずが、

もう元通りになっていた。そして、その目は俺を捉えている。


「く、こうなったら……」


おれは、ドラゴンのいる方へ、旋回する。

ここなら、普通は逃げるだろう。


ただ、どうにも、俺にはハンムラビ法則が頭に残る。倒せなくてもいい、一泡吹かせてやりたい。


零戦の武器は機関銃だけでない。


「俺の、とっておきを喰らいやがれ!」


俺の下には、約500キロの爆弾がある。敵の空母を沈めるためにだ。


しかも、ゲームならではの改造で、クラスター爆弾を装備している。発射すると、何十個もの爆弾が空から降ってくる。しかも1発1発に小さなパチンコ玉サイズの玉が入っている。あまりにも、非人道的すぎて、国際条約で使用禁止となったものだ。


そして、ドラゴンの丁度真上にさしかかったとき……


「投下!」


投下ボタンを押した。クラスター爆弾はヒュ〜〜と笛のような音を立てながら分解した。


そして……


ドドドドドドドド!!ドカーン!!!


ドラゴン全体に爆弾が飛び散った。爆発でドラゴンの姿が見えない。


グァァァァァァァア!!


鱗が剥がれ、地上へと落ちていく。さらに、尻尾が見当たらない。恐らくちぎれたのだろう。流石はクラスター爆弾だ。


ドラゴンは血まみれだった。そして、雄叫びをあげながらどこかえ消えていった。


「よし!勝った!」


現代兵器恐るべし!黒天龍王撃退!零戦はやはり世界最強だった。


だが、喜んで入られなかった。


気がつけば自分の服が血だらけだ。早く着陸しなければならない。


おれは、高度を下げる。雲の中は先ほどとは違い至って普通だった。


雲を抜けると、そこには、緑豊かな森林が広がっていた。おれは、海戦を繰り広げてはずなんだが……


「まずい……意識が……」


段々と意識が失われていく。早く着陸出来そうな所を探さなくては……


気絶しそうなのを舌を噛んで、踏ん張ると、豪華な建物らしきものが見えた。見た絵は、中世ヨーロッパ風の建物だ。かなり大きい。


運がいいことにそこには、草木で生い茂るゴルフ場の様な場所があった。かなり広く、距離は問題ない。


「く、もう直ぐだ!頑張れ……」


最後の力を振りしぼり、着陸地点へと飛んでいく……







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