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エクスカリバーの鞘を手に入れ、マーリンはひたすら霧の中を歩き回った。
うまく行っていればアーサーが剣の方を手に入れているはずだ。
だいぶ島の中央まで来たみたいだ……。
壁の残骸の間隔が広い。恐らく建物があった時は、ここが聖堂だったのかもしれない。それぐらい開けた場所にたどり着いた。
その時、反対側の霧の中からアーサーがゆっくりと姿を現した。
「アーサー」
「……マーリン」
その表情は暗い。
どうやら剣の方はまだ見つかっていないようだ。
「鞘を見つけた。後は剣だけだ」
その言葉にアーサーの瞳孔が開く。
マーリンに先を越されたのがよほど悔しいのだろうか。
けど、多分こういうのに順番は関係ないと思う。
それどころか手に入りづらい物の方が、威力が絶大な物の事の方が多いと考えられる。封じ込められている力が強大であればあるほど、使い手を選ぶのは慎重になるはず。おいそれと手に入る物ではないのだろう。
「剣に触れるのはアーサーだけだけど、俺も一緒に探して……」
「マーリン」
アーサーは静かに、けれどマーリンに言葉を続けさせない何かを含んだ声で語りかけてきた。
今まで感じたことのないその様子に、一歩踏み出そうとしていたマーリンは歩みを止めた。
二人の間は約二メートル。
近いような遠いような微妙な距離だった。
「何だ?」
「エクスカリバーを探す前に、俺はお前に聞かなければならない事がある。ここなら他の誰かに聞かれる恐れも無い」
マーリンはアーサーの言葉を不思議に思いながらも、張り詰めた様子のアーサーの顔を見つめた。
アーサーの表情には感情も温度も激昂も悲しみも何も無い。
ただ淡々とアーサーはマーリンに問いかけた。
「お前は……魔術師なのか?」
その言葉に、マーリンは言葉を失った。




