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創世の傍観者とマーリン  作者: 雪次さなえ
第九章 呪われた城と騎士
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page.221

       ***



 窓の向こうの景色が(けむ)る。

 霧雨がキャメロットの街の輪郭をぼやけさせる灰色の光景を、離塔の窓からイグレーヌは見ていた。


 まるで、そう。あの人のような雨。


「もう少し……」


 もう少しで。



       ***



「ガウェイン!止めろ!!」


 アーサーの制止の叫び声が聞こえる。けど、もう振り切った腕は止まらない。

 目の前の光景が目に焼き付く。


「―――」


『彼女』が何かを言っている。

 次の瞬間―――、



       ***



「―――っ!!」


 ガウェインは自分の叫び声で飛び起きた。

 静かな部屋の中で、荒く繰り返す自分の呼吸だけがよく聞こえる。

 起き上がった身体は、全身冷や汗でぐっしょり濡れていた。


「はぁ、はぁ……」


 薄暗い部屋で、自分の人より大きな掌を見つめる。

 また……あの時の夢か。

 何度も。

 何度も。

 何度も見る夢。

 まるでガウェインにあの時の事を忘れるなと囁くように、この悪夢は定期的に自分の眠りを妨げていた。


「……忘れたくても、忘れられねぇよ……」


 呪いは未だ、この身体に。




第九章、開幕です。

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