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創世の傍観者とマーリン  作者: 雪次さなえ
第八章 純真すぎる騎士
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page.219

        ***



 会場中が息を飲む中、ネントレスの腹部を貫いたのは―――ランスロットだった。

 ネントレスが、少しだけ背後の少年を振り返る。その顔に―――笑みを浮かべて。


「……済まない。助かる」

「あなたもまた、主君に忠誠を誓う誉れ高き騎士だったのですね……残念です」


 ランスロットはネントレスの腹に刺した剣をそのままにして、彼の前に回り込み片膝をついた。


「何か他に僕にできる事はありますか?」

「……何も無いよ、若き騎士の卵。守るべき主君も家族もその戦で失くした。失う物は無い。最後に奪われそうだった誇りだけは、君のおかげで失わずに済みそうだ…………ありがとう…………」


 ネントレスがその場に倒れた。どさっと地面に物が落ちた時の音だけが、やけに会場に響く。

 誰もが予想だにしなかった結末に動けずにいる。

 アーサーもウーサーを抑え込めようと上げていた腕から力を抜いた。ウーサーもその場に立ち尽くしていたが、やがて思い出したようにランスロットに近寄って行く。


「よくぞ逆賊を始末した。褒めて遣わす」

「…………」


 ランスロットは答えない。ただもの悲しそうな笑顔をウーサーに向けると、自分の剣をネントレスから引き抜いた。

 そのまま会場を後にする少年の背中に、誰もが釘付けになっていた。




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