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短編小説

大臣の年賀状じまい宣言

作者: 歌池 聡


※『第7回なろうラジオ大賞』応募作品です。使用キーワードは『年賀状』『ギフト』。



 20XX年某日。郵政改革担当大臣の定例会見の場に、大臣が姿を現した。


「おはようございます。まず大事なご報告をさせて下さい。

 本年をもって『年賀状じまい』をさせていただく予定です」


 その言葉に記者たちは首をひねった。それって、わざわざここで言うようなことなんだろうか?


「大臣、質問です。それは、大臣個人がもう年賀状を出すのをやめる、という意味でしょうか?」

「違います。国として『年賀状じまい』をしようということです。

 ──郵便局が元日に一斉に年賀状を配るということを取りやめます」

『えええええええ!?』






 12月の郵便局は、ただでさえお歳暮やクリスマス・ギフトなどで多忙を極める。そこに、年賀状業務が追い打ちをかけるのだ。

 臨時バイトなども雇ってはいるのだが、それでも局員たちの負担はかなり大きい。


「まあ、『働き方改革』の一環ですね。

 近年はスマホで年始の挨拶を送る人も増え、年賀状の量は減り続けています。

 なので、思い切って年賀状業務を廃止し、年末年始も平常通りの郵便業務をするということです。

 そもそも、元日配達はサービスでしていたことで、法律などで決められてるわけでもないですし」


 大臣の説明に、記者たちはどう受け止めればいいのか戸惑っているようだった。


「ああ、それともうひとつ。年賀ハガキの販売もやめます」

『ええええええ!?』

「あれ、局員たちに販売ノルマを課したりする局もあって、多くの局員が自腹を切っているようなんです。なら、もうやめた方がいいかなと」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ、大臣!」


 真っ先に我に返った記者が異を唱えた。


「年賀状は平安時代から続く文化ですよ?

 歴史ある文化を廃止してしまうなんて、あまりに横暴じゃないですか!」

「何も『年賀状を出すな』とは言ってませんよ。送りたい方はもちろん送っていただいて結構。

 ただ通常郵便の扱いになるため、年内や2日以降に着くかもしれませんので、その辺を考慮しておいて下さいということです。

 まあ、いつもより多少日数はかかるんじゃないかと」


「し、しかしですね。ビジネスの取引先や目上の方への年賀状は、やはり元日に着かないと無礼だと受け止められてしまうのではないかと──」

「心配ご無用」


 大臣はにやりと笑って答えた。


「郵便局には『期日指定配達』という制度があります。どうしても元日に届けたい場合はそちらをご利用ください。

 もちろん、特別なサービスなので別料金は頂戴しますけどね」



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― 新着の感想 ―
ここまでインターネットが浸透してしまうと、年賀状も年々少なくなっていきますよねぇ。 年賀状には年賀状の良さがあるのですがうちの子は一回も出したことないです。 面白かったです!
これは実に思い切った改革ですね。 長年に渡って続いている風習やシステムを終わらせるのには、並々ならぬ勇気と決断力が必要となってくると思います。 それを決行出来るこの大臣には意思の強さが感じられて、実に…
年賀状の歴史が思った以上に長く、驚きました。 “年賀状”が完全になくなってしまったら寂しいでしょうが、それに翻弄されている人が少なからずいる以上、 いっそこれぐらい思い切った改革をするのもありかもしれ…
感想一覧
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