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朝起きたら転生しました2
「は?……なんで……ここ、どこだ」
目が覚めると、そこは薄暗い洞窟の中だった。
天井から滴る水音が、やけに耳につく。
俺は壁に手を伸ばす。
触れて安心しようとした――が、その手はどう見てもおかしかった。
そこにあったのは、人間のものじゃない。
白い毛に覆われ、先端には小さな肉球。
今の時代ならペット動画でよく見る、あれだ。
そう。
――俺の体は、猫になっていた。
「ええええええええええ?!?」
洞窟中に響くほど叫んだ。
自分の声が、寂しく反響する。
「いや、え、は?」
息が乱れる。頭が真っ白になる。
しばらく経ってようやく少しだけ落ち着きを取り戻した俺は、必死に状況を整理しようとした。
「寝て起きたら、洞窟の中にいて……しかも体が猫……いや意味わからんって。これ、もしかして……いや、絶対あれだろ。異世界転生ってやつだ、なろう系だ。」
……だったらもうちょいマシなところに転生させろよ。
ていうか神様、手抜きすんなよ。
小さくため息をつき、周囲をぐるりと見渡す。
「とりあえず……周りを散策して、この世界がどんなもんか確認してみるか。」