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「見て、君の手、私とお揃いになってるでしょう。」
恋人のように繋がれた二人の手には長く鋭い獣のような爪が生えている。
変質した私の指をうっとりと見つめ、私の指一本ずつに唇を押し付けた。
「嬉しい。じわじわと私に侵食されている時間も良かったけどお揃いが増えた今はもっと良いね。」
かけられる言葉一つ一つが恐ろしい。手の甲にも口付けを落とされそうになった瞬間に手を振り払った。 何かが爪に引っかかるのを感じたが勢いに任せて振り払う。
人外の頬に血が滲む。
「驚いた。何がそんなに気に入らないの。」
ざっくりと切られた頬に溢れる血を拭いながら彼女は嗜めるように言う。
「もう少し冷静に私の話を聞いてくれてもいいんじゃないかな。」
「もう全部嫌なの!!帰れないってどういうこと!?」
怒りに任せて怒鳴る。全ての理不尽が許せなかった。
「なんで私ばかりこんな目に遭うの。いつも嫌な思いばかり……」
きっと泣きすぎて酷い顔になっていることだろう。
「あーあ。ひどい顔。そんな君のためにね」
「違っ」
血に濡れた指が唇をなぞる。
「こうやって私の血を分け与えて、人間として生きていかなくていいようにしてあげる。」
じわりと口内に鉄の香りが広がる。人外の血も人間のような味がするらしい。
「血肉を食べると不老不死になる話を教えられたのを思い出してさ、私も試してみたんだ。」
唇をなぞる指が口に侵入する。
「小さく愛らしい牙も、私を引っ掻くわがままな爪も私とお揃いになった。ずっと私と生きてくれるだけでよかったのに私と同じ存在になってくれたのは君でしょう。」
「こんなのいらない!私はただ帰りたくて、帰るまでここにいるつもりだったの!」
「ずっと思っていたけど、なんでそんなに帰りたいの。凍死してもおかしくない夜に飛び出した家でしょう。夢ですら自分を蔑ろにするような家族が君のことを探してると本気で思っているの。」
憐れむような目を向ける彼女の手が頭上に挙げられる。
「私が撫でようとしただけで反射的に身がすくむようにしたのは誰。」
「」




