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(正直狭くてボロい家だと思ったのだけれど……)

「こんな広いおうち、一緒に住んでる方がいらっしゃるとか。」

「いないよ。ずっと一人で暮らしている。」

早くお入り、と急かされお屋敷に足を踏み入れた。





食事と風呂をすすめられるがままに済ませ、差し出された浴衣に身を包み自宅が収まってしまいそうな室内を眺める。私を助けてくれた人、『伊織』さんはこの家にずっと一人で暮らしているらしい。どれくらいの期間暮らしているのか、何故こんなところで暮らしているのかも笑ってはぐらかされてしまったのは初対面にしては踏み込みすぎたのかもしれない。

「そんな隅で小さくなっていなくてもいいのに。」

「広くて落ち着かなくて。何から何までお世話になっているのにこんなことを言うべきではないんですが。」

風呂上がりの雰囲気の変わった麗人に見つめられるともっと居心地が悪くなる。

「居心地がよろしくないところ悪いんだけど、うちには布団が一つしかないから今日は一緒に寝てもらうよ。」



「あの、本当に畳で寝かせてもらえないでしょうか。」

あれよあれよという間に布団に寝かされ布団から出ることも許してもらえない。

(この人、細いし女性なのにすごく力が強い……)

「同性なんだ、そこまで緊張することもないと思う。それにあの寒い森の中で過ごさずに済んでいるのは誰のおかげか忘れないで欲しいな。」

「わかり……ました。」私の答えに満足したのか伊織さんは微笑むと子猫でも撫でるように頭に手を置いた。

「いい子いい子。そうやって大人しく甘えていればいいよ。」

一連の会話に違和感があった気がする。しかし疲れた脳では深く考えることもできず眠ってしまった。


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