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アクマで魔法少女ですので  作者: ココア


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第163話:新エルフ茶(ほうじ茶)

「本日はありがとうございました」

「いえいえ、将来の社員になるかもしれないのですから、これ位は当然です。最後にですが、長期休暇の際にはアルバイトも出来ますので、風魔法が使えるのでしたらいらして下さい」


 割と楽しめた工場見学も終わり、昼休憩も兼ねて二時間程の自由時間となる。


 この近辺は工場地帯と言うわけでは無く、商店やレストランなども点在しているが、とりあえず無視である。


「アンリさん、エメリナさん。お弁当が余っているのですが、良ければ食べますか?」

「あら、作って来てたの? やけに大きなバッグだと思ったけど……そうね頂くわ」

「私もお願いします。ハルナさんの料理は美味しいですからね」


 問題なく二人を誘えたので、ストロノフを探そうと辺りを見回す……前に後ろから気配がしたので、振り返るとストロノフが居た。


 ほんの出来心で無視をしてやろうかとも考えたが、アンリ達も居るので、普通に接するとしよう。


「ストロノフさんも、良ければ食べますか? 口に合うか分かりませんが、量はそれなりにありますので」

「は、はい! 食べます」


 近くで叫ばれたので少々耳に響いたが、とりあえず人数は確保できた。

 

「それにしても、何でお弁当なんて作って来たの?」

「食事について何も聞いてなかったのと、そもそもあまりこの国の食事が合わないからですね」

「今回の見学の趣旨的に仕方ないけど、私としては嬉しい誤算ね」


 アンリは食事が口に合わないと言っていたからな。


 まあ今回はパンがあるし、さっきの直営店ではジャムも売られていたので、これで腹を満たす事も出来ただろう。


「食事はどこでしますか? 馬車で食べるというのも味気ないと思うのですが?」

 

 俺としては別に馬車でも良いのだが、エメリナの言う事にも一理ある。


 幸い工場の裏側の方は自然が広がっており、風車や倉庫が広がっているだけなので、そこならば人目を気にする必要もない。


「それでしたら工場の裏手の、風車がある方に向かいませんか? そこでしたら風景も良いでしょう」

「良いわね。それじゃあ向かいましょう」


 向かう場所も決まり、ワクワクしているストロノフを連れて向かう。


 場所的にはこの会社の私有地かも知れないが、多分大丈夫だろう。


 



1






「へー。良い感じね」

「そうですね。風も気持ちいですし、とても穏やかです」


 工場の裏手には、まるで牧場の様なのどかな風景が広がっており、お弁当食べるには丁度良いだろう。


 元の世界では地球上の牧場はほぼ全て全滅し、牧場でお弁当を食べるなんてことは出来なかったが、公園でならば食べた事がある。


 今となっては懐かしい記憶だ。


「準備をしますので、少々お待ちください」

「準備?」


 魔法とは鍛えれば鍛える程自由が利くようになり、最初はぶら下がったりヨルムを持ち上げる位しか出来なかったが、レベルアップした今ならば複雑な事も出来る。


 鎖を四本空中に射出し、四つの椅子とテーブルを作り出す。


 そしてテーブルの上と椅子に布を敷けば、完成である。


 魔力の消費量は多いが、これならば地面に座る事無く食事が出来るのと、布さえあれば座った時に痛くない。


 ついでに鎖が発する魔力は最小限に留めているので、遠目ではこれが魔法とは分かりにくいだろう。

 

「……また随分と豪勢なテーブルね」


 俺の作り出したテーブルを見たアンリが微妙に引いているが、魔法自体は少しややこしいものの、難しい魔法ではない。


 あやとりみたいなものだからな。


「どうぞお座りください。少し硬いですが、馬車よりは座りやすいはずです」

「それでは失礼して……不思議な感じですね。魔法で物を作り出すなんて、考えもしませんでした」

「ソード系の魔法の改良版みたいなものです。基礎自体は既存としてあるものですね」

 

 適当だが、魔法を物質化する方法はソード系として存在している。


 俺の場合フレイムソードとかあるが、原理は魔力で剣の形を作り、そこに魔法を纏わせているだけだ。


 個人的にはよくわからん原理だが、存在しているのだから、それが理なのだろう。


 三人が座ってから、バッグから弁当箱を取り出し、テーブルの中央に置く。

 

「どれも美味しそうですね」

「あの、私も本当に良いの?」

「構いません。何でしたら全部食べて頂けると、帰りが楽になりますので、頑張って食べて下さい」


 ストロノフが心配の声を上げるが、しっかりと座っているので、食べる気満々なのだろう。


 昔どこかで聞いたが、嫌よ嫌よも何とかって奴だ。


 今に手が出そうだし。


 最後に水筒からエルフ茶を薄め、飲みやすくしたのを配ってから食べ始める。


 エルフ茶は大量のカテキンのせいで苦く、ただ薄めただけではお茶としての風味が失われ、苦いだけの水となってしまう。


 そこで出てくるのが、二つの方法である。


 一つ目は水出しで淹れる方法だ。


 これだと苦みがまろやかになり、結構飲みやすくなる。


 もう一つは焙煎することだ。


 こちらは茶としては別物になるが、苦みが香ばしくなる事で、食後とかに飲むとスッキリとした感じになる。


 まあそれでも苦い物は苦いが、普通に飲める程度までは落ち着いた。


 ついでに茶ではあるので、健康にも良い。


「あっ、これ飲みやすい」


 エルフ茶の事をよく知っているストロノフは、コップ注がれたエルフ茶を見て嫌な顔を浮かべたものの、飲んだら驚きの声をあげた。


「これってどうやって淹れたの?」

「水で時間を掛けてゆっくりと淹れた物になります。エルフ茶の苦みはお湯に溶けやすい成分なので、水を使う事で風味を損なわないまま、苦みを薄くしてあります」

「……話には聞いた事があったけど、これがエルフ茶ね……紅茶とはまた違った風味ね」

「昔飲んだ物に比べると、とても飲みやすいですね。これでしたら日常的に飲めそうです」


 比較的全員高評価だな。


 お弁当の方も結構作ってきたはずだが、ハイペースで消えていく。


 女性三人だが、アンリとエメリナは冒険者なだけあり、健啖家なのだろう。

 

 エルフは食が細いイメージなのだが、リリアや今も飯を食べているストロノフは、最低でも俺の倍以上は食べている。


 そう言えば、この世界に来てから太った男性は見たが、太った女性はまだ見ていないな。


 ギリぽっちゃり位なのは見たが、基本的に普通体型だ。


 身体能力が魔力で高くなっている分、代謝とかも俺の世界よりも高くなっているのだろうか?

 

 眉唾だとは思っていたが、ブロッサム家で読んだ本の中に、魔力量により必要な食事量が変わると書かれていた物があった。


 これを見ると、頷ける光景である。


 ヨルムの食事量からそうなのかもと思ったが、やはり世界が変わると色々と変わるものだ。


 そんなわけで作ってきたお弁当箱綺麗にすっからかんとなり、個人的に助かる結果となった。


「こうやってのんびりするのも良いけど、来週からは仕事をしないとなのよねー。研究室に籠っていたいわ……」

「文句を言えるのも、今生きていられるからですよ。頑張りませんと、カイルが怒りますよ」

「はいはい、生徒の前で説教をしないの。まだ時間はあるけど、ハルナはどうするの?」


 どうするのと聞かれても、集合時間まで大体一時間位であり、ここから馬車の所まで歩く場合、十五分は掛かる。


 街なんていつでも行こうとすれば行けるし、時間までここでのんびりしているとしよう。


「時間までここでゆっくりしていようと思います。微妙な時間ですし、興味がある訳では無いですからね」

「馬車の中で言っていた事と違わない?」

「それはそれ、これはこれです」


 何事もケースバイケースだ。


 見て回る事が大事だと言っても、そんなに無理をしてまでするような事ではない。

 

「アンリさん達はどうするのですか?」

「先に馬車へ戻って、待機する予定よ。何があるか分からないからね」

「そうですか。ストロノフさんはどうしますか? ここに残るのでしたら、椅子を作りますが?」

「え……うーん。一緒に居ても良いかな?」

「問題ありません」


 テーブルの上を片付けて、掛けていた布を取り除いてから魔法を解除する。


 その後に新たにリクライニングチェア風の椅子を二つ作り出す。


 クッションとかがあれば座り心地も良いのだろうが、まあ外でならばこれでも悪くはないだろう。


「……相変わらず器用ね」

「楽をするためと、訓練をするための魔法ですから。効率については理解して頂けるかと?」

「教えて頂いてから私も練習していますが、このレベルはおそらく一生無理ですね」

「……はぁ、二人共集合時間に遅れないようにね」

 

 まあこれは完全に趣味の範囲の造形だからな。


 去っていくアンリ達をストロノフと一緒に見送り、椅子に座って本を取り出す。


 さて、ゆっくりと寛ぐとしよう。


 

 

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― 新着の感想 ―
>ほんの出来心で無視をしてやろうかとも考えたが ひどい、ひどい。。 ストロノフさん残ったのは、何か話ありそね。産地、かなぁ…
ハルナに餌付けされちゃった(笑)
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