明るさの自動調節機能
「あはは!!何それ、これむちゃくちゃ面白い!」
N県に住むAは新しく買ったスマホでYouTubeでお気に入りのYouTuberの動画を見ていた。
「あはは……はぁ、こう言う面白い動画は楽しいけど最近なんか飽きてきたな。こう、刺激がないって言うか……」
AはYouTubeのホームに戻って何気もなく下にスクロールしていく。
基本的にギャグや音楽の動画しか見ていないAのホームに流れてくるオススメ動画はその手のものしか流れてこない、はずだった。
しばらくスクロールしていると黒と赤の血を連想するようなサムネで載せられた動画がふと目に留まった。
「ん? なんだこれ? ふーん未解決事件か……たまにはこう言うのを見てみるのも良いか」
普段からAはこう言う動画は観ないようにしてきた。
何故ならAは死に対する恐怖が人より少し強かったからだ。
だが当たり障りのない動画ばかり観て飽きを感じていたAは怖いもの見たさにその動画を開いた。
内容はサムネ通りの未解決事件についてを取り扱ったもので特に変なものではなかった。
「……へぇこんな未解決事件があったんだ、解決してくれると良いな……他にもあるんだ、観てみよ」
Aはすっかり未解決と言う謎めいた恐ろしさに心酔した平穏な日常とはかけ離れた事件、関連した動画で出てくる未解決事件を片っ端から観ていった。
「あ、もうこんな時間か、そろそろ晩御飯を作らないとな」
壁に掛けられた時計を見ると既に5時を回っていた。
「あ痛たた、ずっと横になりながら観てたから右肩が痛い」
ベットから体を起こしながらA悪態をつく。
1つ伸びをしたAは階段をノソノソと降りると夕飯の支度を始めた。
「玉ねぎに人参、馬鈴薯、牛肉、それから……あったあった、カレールーこれならスマホ見ながらだけどカレーを作るか」
スマホからカレーの作り方が書かれたサイトを開きそれを見ながらカレーを作り始める。
「ん?なんかさっき見たときより画面が暗いような……」
材料を切り終え鍋で肉を炒める工程を確認しようと画面を見たとき先程よりも画面が暗いことにAは気づいた。
Aのスマホは明るさの自動調節機能が搭載されており、いちいち調節するのを面倒くさく思っていたAはそれを有効にしていた。
「おかしいな……照明が暗くなったわけでも外が暗くなったわけでもない……」
不自然に画面が暗くなった事に首を傾げながらもAは料理を続けた。
「ご馳走様。初めて作ったわりには美味かったな」
夕飯を食べ終えたAは自分の作った料理に満足した。
外では何処からか梟の哭く声がする。
いつもの事だが今日はそれが少し不気味に思えた。
それに呼応するようにスマホの画面が不自然に暗くなったことが思い浮かんだ。
(あれは何だったんだろ……今は特に何も起きてないし、勘違いかな。ん!?ちょっとまってくれ、おかしくないか!?俺がYouTube観てた時もなっていた!何で俺は気づかなかったんだ!?あの時スマホは……)
「明るくなったり暗くなったりしていた……それも不規則なのに規則的に」
それはまるでAのスマホの横から誰かがチラチラと画面を覗いているかのようにまたは光が入ってくる窓に光を妨げる何かが蠢いていたかのように
ご拝読ありがとうございます。
如何だったでしょうか?
こんな風に画面が暗くなったり明るくなったりした事はありませんか?
何気ない誤作動、機械的なミスなのかはたまた別の何かなのか……
無機質な機械であるからこそこの世ならざる幽世の者に反応してしまうのかも知れませんね。
では後書きはこれぐらいに、いつかまたお会い出来ることを楽しみにしております。
ツギハアナタノスマホニクルカモシレマセンネ