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『悲しみを燃やして』

ーーー『王都の城壁』

建国以来勢力を拡大させてきた王国。


遷宮を経た後、現在の地に据えられた王宮を幾重にも包む鉄壁がある。


だが、この鉄壁の名ではない。


和平を結び臣下となったかつての隣国の王、歴戦の英雄、救国の軍師それらを公爵として迎え入れ王国の周りに下賜された広大な領地。

それらが誇る聖金獅子騎士団旗下の幾つもの騎士団を有する大陸最大級の軍事力の呼び名であるーーー


ランマル「人は石垣とは拙者の国の言葉でゴザルが」

「いやはや何とも壮観でゴザル」



奪還作戦に向けて結集中であろう何処かの騎士団だ。

戦意高揚とばかりに勇ましい旗を先頭に掲げている。


ロベルト「…アンタの元いた国とどっちが強そうだ?」


ランマル「…うーん。兵士の練度こそ分があり申すが軍馬の質や武具の類いは完敗でゴザル…」


ロベルト「…なんだ。アンタの世界は皆アンタみたいなやべえ奴ばかりかと思ったよ」


ランマル「心外でゴザルよ…」




「あの…騎士様でございますでしょうか…」



ーーー年端もいかない子供であった。

痩せ細った体はぼろ布の隙間を際立たせ、落ち窪んだ眼窩は少年のそれというより老爺を思わせた。


「村を助けて下さいませんか騎士様」



その手には石塊と見紛う数片の芋が握られていたーーー



エイダ「なんだぁ?汚ねぇガキだなぁあっち行け!しっし!」


ロベルト「…何があった坊主」


エイダ「お、おいオッサン!」

「っちゃー面倒事はゴメンだよ」


ロベルト「…ジジ。旅程に余裕はまだあるな」


ジジ「まぁそうですけど…」


ロベルト「…話してみろ」



ーーー『小鬼の群れ』


単体ではものの数ではない。農夫でも追い払うくらいは出来る。

だが群れとなるとその脅威は跳ね上がる。

夜目が利き、鋭い牙を持ち、昼夜を問わず活動できる生命力、小柄故の敏捷性、簡易ながらも武器を用いる知能。年に数度の繁殖期というのも驚異的だが、その時期集団で群れを作り家畜などを襲うのだーーー


「騎士様は何でも大きな戦があるとかで助けてくれません…」

「隣町のギルドも冒険者が徴兵されて依頼を受けられないと…」

「家畜は皆アイツらにやられてしまい、農作物にも被害が…」


ロベルト「…敵の規模は?」


「分かりません…ただ隣のおじさんが生まれて初めて見た大群だったって…」


エイダ「よぉオッサン」

「アタイ達だけじゃ分が悪いぜ」


ロベルト「…巣の検討は付いてるのか」


「あ、あの炭焼き小屋のおじさんが東の森の奥にある洞窟だって」


エイダ「お、おい」

「ジジも何か言えよ!ゴザルも!」


ジジ「…私は正直反対ですね」

「私の魔道具は消耗品ですから」


ランマル「拙者は賛成にゴザル」

「以前彼奴らにはやられそうになったでゴザルから」


エイダ「2対2だぜ」

「どうすんだよ」


ロベルト「…お前達は村にいろ」

「…俺達だけで行く」


エイダ「っかぁ!ったくよぉ!」

「オイ、クソ猫こういう時の何かアレ言ってやれ!」


ジジ「やれやれ…騎虎の勢い、と言うやつですね」


エイダ「何だかよく分からねぇけどそれだクソ!」



次回  『予感』

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