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『A Nine Days' Wonder』

巨鯨を屠る船の竜骨の様な逞しさと夜明けの遠雷の様な儚さ。

これを併せ持っていないと『世界樹の守人』は務まらない。


何せ剪定を行う『世界樹』は自らの親や兄弟。或いは自分自身なのだから。



ーーー『魔素』と『世界樹』

西方のエルフに言わせると『魔素』とは世界中の物質の最小構成要素の一つなのだそうだが、我々は確かめる術すら持たない。

魔族、竜等は直接的に。そうでないものはあらゆる手段を行使して『彼ら』に語りかけるのだ。

『世界よ、かくあれかし』と。

ある時は心寄り添う暖かな炎を。ある時は心身まで凍み入る拒絶の氷壁を。

顕現させる事象の多寡に応じて指数関数的に増大する『彼ら』に語りかける言葉の長さに、戦場では火薬に取って代わられようとしているものの、未だにその影響力は隆盛を誇っている。


大陸に点在する『世界樹』は遙か西方の大陸にあるとされる『神代の世界樹』から分けられた苗床である。

各地の世界樹は母なる根源と地中深くで繋がっていて取り込んだ魔素を運んでいるとされるが、これもまた確かめる術を持たない。


これらの伝承が迷信流言の類いと一笑に付されぬ裏付けこそ『世界樹教会』である。


何故なら剪定された世界樹の枝は膨大な魔素を含み、王侯貴族に下賜され強力な魔素の媒体として用いられたり、樹皮を溶かし魔道書の材料とされる。

この剪定を一手に担い、各国の軍事力均衡すら諮り得る圧倒的な権力を有するが故である。


その影響力は絶大であり、例え戦時に於いても『巡礼』の僧列は双方剣を納めねばならぬ程であるーーー




エイダ「じゃあその何とかってオッサン?に会いに行けばいいのか?」


ジジ「ちょっとエイダさん『守人様』をオッサン呼ばわりしてるのなんて大陸でもエイダさんだけですよ!」


エイダ「だってよぉ!会ったこともねぇ庭師みてぇな奴にお行儀良くなんて出来ねぇよー」


ジジ「全く…。」


ランマル「して、ロベルト殿」

「その『守人殿』は今どちらに居られるのでゴザルか?」


ロベルト「…分からん」


ランマル「!?」


ロベルト「…公爵領を目指せばいずれ会えるはずだ」


ランマル「ロベルト殿らしいでゴザル…」


エイダ「ジジ!こっから公爵領って遠いのか?」


ジジ「そうですねぇ。まぁ散華の月までには余裕を持って着けると思いますよ」


エイダ「そっか。それじゃ各自準備して出発だな!」


ランマル「エイダ殿の準備とはアレでござろう?」


エイダ「な、なんだよ」


ランマル「ズバリ例の牡丹肉の煮込みの食べ納めにござろう」


エイダ「ち、ち、違…わなく…ない…」


ランマル「正直で結構でゴザル!いや、実は拙者も最近慣れてきたというか美味と感じるのでゴザルよ」


エイダ「お、話が分かるじゃねぇか!」

「おっしゃ!今晩は壮行会と洒落込むか!」


ランマル「ゴザルゴザル!」


ジジ「はぁ。路銀も掛かるというのに…」

「ロベルトさんからも何か言ってやって下さいよ」


ロベルト「…悪くない」


ジジ「四面ならぬ三面楚歌ですねこれは…」


エイダ「おーし!暫く食えなくなるから今日はトコトン食ってやるぜ!!」



次回  『悲しみを燃やして』

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