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プロローグ
カラン
店主「いらっしゃい。見ない顔だね」
謎の男「…酒を」
店主「無愛想なお客さんだね。うちは酒なら売るほどあるから好きなだけ飲んでいくといい。ほらよ」
謎の男「頬に傷のある長身の男を見てないか?」
店主「さあね。数年前からこの辺りも物騒になったからね。王国と共和国の戦争もやっと終わったと思ったらこの不況だ。今時頬に傷の男なんて大森林の落ち葉よりいるよ」
謎の男「そうか。邪魔したな」
店主「なんだい、もう行っちまうのかい?名物のトサカイノシシのラグー食べて行きなよ」
謎の男「いや、腹は減らないんだ」
店主「なんだい、変わった人だね」
店主「あぁ、そう言えばあんたと同じ剣を持った奴がいたっけ」
店主「たしか頬に傷があったような」
謎の男「!」
謎の男「いつの話だ!何処に行った!!」
店主「まぁそう慌てなさんなって」
店主「トサカイノシシのラグー、食べる気になったかい?」
次回 『福音は東へ、残響は西へ』