ブライアンから見た我が家
「おいおい。そんなに目ー、開いてると、目ん玉、こぼれ落ちるぞ」
言葉なんて何も出ない。
頭が真っ白、なんてもんじゃなかった。
何を、どこから言っていいのかわからない。
全部が全部、おかしい。
わたしは驚き過ぎていた。
ブライアンの言う通り、目だって大きく開いているんだろう。
「口も開いてんぞ」
咄嗟に口を手で押さえる。
そして、顎を下から押して無理矢理、閉じる。
お母様に疎まれていたことを知って、人生で一番衝撃を受けたと思っていたけど、ブライアンの計画を聞いて、それ以上に衝撃を受けた。
だって、ブライアンはフェルナンドの弟でしかなくて、婚約者の弟だから気を遣ってくれていたと思っていた。
なのに、ブライアンはわたしをミラー家の養女に迎える計画を立てていたというのだ。
婚約者の弟どころか、養子先の義兄。
つまり、婚家が養家になるということ。
・・・
・・・
・・・
理解が追い付かない。
「まあ。理解が追い付かないのも、無理はない」
「?!」
心、読んだの?!
「慣れてきた頃に順を追って話していこうと思ったんだけどよ。――話も長くなるし、座れ」
言われるままに座ると、ブライアンはお茶を淹れながら話す。
「お袋たちもさ、兄貴がお前を蔑ろにしているのが目に余ったんだよ。けどよ、お前ん家、跡取り娘に取り入ってる兄貴のこと、なんも言わないだろ? 妹の婚約者が姉の取り巻きなんて、そんな馬鹿な真似許すわ、お前はお前で教養も何もないわ。お前はうちに来なかったし、何かあると思ったんだよ」
ブライアンはカップをローテーブルに置く。
そして、シュガーポットから薔薇の形をした角砂糖を取り出し、わたしの紅茶に少し高めから落とした。
「そしたら、ビーンゴ!」
紅茶の表面で冠のような水滴が跳ねる。
「長女至上主義で、次女は使用人からも舐められている超格差姉妹! 笑うしかねーよ」
ブライアンは笑顔で皮肉気に言った。
これがブライアンから見た我が家。
皮肉気に言われるような我が家。
それが、ダヴェンフィールド家の姿。
「・・・」
違うとは言えない。わたしもそう思うから。
次期当主のお姉様を大事にする家。
嫁に行くしか能がないわたしは、それ相応の扱いになる。
それが我が家。
でも・・・
「ブライアンだって、跡取りじゃないじゃない。フェルナンドと格差あるでしょ」
そう。ブライアンだって、わたしと同じ跡取りじゃない立場なのだ。
「確かに俺はスペアだ。お前だって、あいつがいなくなった時のスペアだろ? スペアはスペアに使えるように育てるもんなんだよ」
頷きながらブライアンが言う。
「だから、お前がスペア教育どころか、令嬢教育受けてねーのが目に付くのさ」
「!」




