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第一話

のんびり更新していこうと考えています。


(もっと賢かったらなあ…)

そんな風に願いながら河川敷に寝転んでいたはずなのに、気が付くと私は見知らぬ丘にいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私の名前は、森村絵里。

来月中学を卒業する予定の15歳だ。


全寮制の高校への進学を希望していたものの、落ちてしまったらしい。

義妹からのメールにはわざわざ不合格を知らせる写真が添えられていた。


義妹、からお分かりいただけたかもしれないが、私はこの妹と血が繋がっていない。私が生まれてすぐに両親が亡くなってしまったために、私は叔父一家にお世話になっている。

叔父は私の面倒を見るだけでなく、両親の残した借金も肩代わりしてくれたらしい。だから私はその恩を返すためにも、叔父の家では必死にいろいろな手伝いをしていた。


義務教育後の生活に関してまで迷惑をかけるわけにはいかないと、全寮制高校への進学は一年前から決めていた。しかもこの高校の特待生に選ばれれば授業料の全額免除だけでなく、生活費も補助してもらえるらしい。

何としてでも合格するために、試験前は寝る間も惜しんで勉強していた。


しかし、不合格になってしまった。

そういえば同じ高校を受験していた義妹の結果はどうだったんだろう。私だけが落ちてたらやだなあ。

本当は夕飯の支度をしなくてはいけないのに、家に帰りたくない。

きっと落ちたことをネチネチ言われるんだわ。

明日からの生活を憂いながら河川敷でゴロゴロしていたはずだったのだが…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここはどこなんだろう。

目を覚ましたら見知らぬ所だなんて、まるで今流行りの異世界転移みたいだ。

近くの建物や店でも探そうかと立ち上がった。



「そこにいるのは誰だ!ここは一般人は立ち入り禁止のはずだ!」


大きな声がしたので驚いて振り返ると、紫髪の男性と茶髪の青年がいた。

すごい髪の色だ…やはりここは異世界なのかもしれない。

なんだかワクワクしてきた。


「おまえ、黒髪じゃないか…『渡り人』だな。」


今、『渡り人』って言われたな。なんだか聞き覚えのある単語だぞ。

友達がやっていたゲームに出て気がする。


私が色々と考えていると茶髪の青年が近寄ってきた。

「お前はこの国では『渡り人』だとみなされる。その黒髪が何よりの証拠だ。私たちはお前に何も危害を加えないと約束する。どうか一緒に来てくれないだろうか。」


どうやら本当に違う世界に来てしまったみたいだ。

右も左もわからない状況では困るし、危害を加えないと言ってくれているから、ここはこの2人の好意に甘えるべきなのかもしれない。


「わかりました。よろしくお願いします。」

「うむ。とりあえずその黒髪は目立つので、この指輪をしてもらえないだろうか?この指輪をすることで見た目を変化させることができるんだ。」


そういうと青年は自身がはめていた指輪を外した。

すると茶色だったはずの青年の髪は燃えるような赤色に変化した。


「綺麗…。」



青年はしばらく呆然としていた。なにかおかしなことを言ってしまっただろうか。

日に照らされた赤髪はキラキラと輝いている。エネルギッシュなようで気品に溢れた素敵な真紅の髪色だと思う。正直うらやましい。



「お前は、この髪の色が、怖くないのか。」

「怖く?…ないですね。羨ましいくらい綺麗です。」



青年は照れてしまった。かわいいしなんだか微笑ましい。


「笑うな!…さあ指輪をつけてくれ。」


若干すねた表情の彼に、なかば強引に指輪をつけさせられた。

すると私の黒髪はみるみるうちに彼と同じ赤髪へと変化した。


「な、なぜ赤に…。」

「え、だってあなたの髪の色が綺麗だなって思って。望んだ色になれるなんてすごいわ!魔法みたい!!」

「あ、ああ、それは魔術の込められた指輪だからな。」


彼は私が赤髪を希望したと聞いて戸惑っている様子だった。



「まあ、とりあえずこれで『渡り人』の特徴を隠すことができた。この後、私の屋敷に来てもらいたいのだが大丈夫か。」

「はい、わかりました。」


こうして私は彼の屋敷に向かうことになった。



読んでくださりありがとうございました。

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