第一話:イベントは突然に
ガラガラガラ…。
「ウホ、遅れてすまないゴリ。」
大城と戯れている間に顔も体もまさしくゴリラのような
ゴリマッチョ先生がお出ましだ。
このまま何事もなく、瞑想しながらみゆか先生のことを妄想していれば
一瞬で授業開始のチャイムから始まり
終了のチャイムなんてあっという間になってしまうというのに
現実とはそう上手くいくものではないな。
「おそらくあのゴリラ先公…遅れたのは小テストを作っていたんじゃないのか?」
しまった。
大城の言う通りだ。
みゆか先生の家庭訪問のことばかり考えてしまっていたせいで
すっかり忘れていた。
うちのクラスで数学担当をしているこのゴリマッチョな数学教師の
小テスト…いや抜き打ちテストというのが正しいだろうか。
いつも、突然に抜き打ちテストを行ってくるのだ。
授業をしっかり聞いているか、理解しているのかを確かめるためにな。
「それでは、答案用紙を配るから1枚取ったら後ろに回すンゴ。」
俺のもとにも答案用紙が配られてきた。
すると、となりの馬鹿が急に騒ぎ出す。
「ゲッ!なんだこの答案用紙は!」
「だから大城は声高いんだって。少しは黙ってろよ…」
「いやいやいや!マジでやばいんだってこれ!」
なにかとあればすぐにかしましいやつだ。
だが、おれもすぐに異変に気付いた。
「…!」
なんとこの答案用紙
非常にバナナ臭いのである。
おそらくバナナ食べた後にでも答案用紙を作成したのだろう。
だが、こんなことに屈する俺ではない
みゆか先生を思う気持ちがあれば
この程度造作もない。
しかし、小テストもとい抜き打ちテストは
バナナが黒くなるような結果になることは間違いないだろう。
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なんだかんだ授業もおわり放課後を迎えたのであった。
一息ついた俺の元に大城が寄ってきた。
「いやーゴリラの数学はきつかったけど、上地の授業はあいからずたのしいなぁ♪↑」
「まあなw あれがあの人のやり方だし、俺も結構好き。かなり好き。みんな上地の授業になればいいのに」
「おれはこれから帰ってあれだ、nigonigoで配信するからな。お前はみゆき先生が家に来るんだよな。」
「あぁ。ただ内容がわからないだけに少し不安ではあるが。」
「まあ、変なことにならないように祈ってるぜ☆じゃあな。」
そう言うと、大城はスキップで帰っていった。
「さて、俺も覚悟を決めないとな」
俺も自分の家に帰るのであった。
学校前のコンビニを左に曲がり、10kmほど前進
途中で大きな道路や、人通りの多い交差点に差し掛かるが
今ははやり病の影響か人の数も減っている。
途中で大きな上り坂に差し掛かる。
坂の上まで来ると、途中で左折できる場所に着く。
ここが10km位置なので、ここを左折。
あとはまっすぐ進んでいくと今度は下り坂になっている。
ここから5kmほど前進
近くに中小規模くらいの見慣れたフランチャイズスーパーがある。
まさに俺の家に近い。
俺は立ち寄り、軽く炭酸飲料でも買って
家に帰るのであった。
現在時刻は16時32分。
「先生が来るまで、まだ1時間と30分はあるな。」
その間に風呂でも済ませて、ラブソングを作ることくらいは容易でもない。
ヒンポーン♪
そうこうしている間にみゆか先生が家に来た。
著者:よっしー