第四話 あの鳥が作りたかった表情
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ドグラマグラ太郎と大阪鳥はしばらくお互い無言で殴り合いました。
お互いの足取りがフラフラになったあと同時にひしと抱き合いました。
でどころがよくわからない涙を流しました。
おいおい声を放って泣きました。
群衆の声からも泣き声が聞えました。
群衆はみな異様な熱気に包まれて何を見に来たかを忘れていました。
王は群衆の背後の安全な場所からまじまじと見つめていました。
やがて文脈を把握しないままドグラマグラ太郎と大阪鳥に近づき云いました。
「おまえらの望みは叶ったぞ。
おまえらはわしの心に勝ったのだ。
信実とは決して空虚な妄想ではなかった。
どうかわしをも仲間に入れてくれまいか。
どうかわしの願いを聞き入れておまえらの仲間の一人にしてほしい。」
「万歳。
王様万歳。」
群衆は空気を読んで仕方なく歓声に似た声をだしました。
ひとりの少女が緋色のマントをドグラマグラ太郎に捧げました。
ドグラマグラ太郎はまごつきました。
大阪鳥は機転をきかせて教えてやりました。
「ドグラマグラ太郎。
君のボディはフルオープンやで。
おちんちんがハローしとるで。
早くそのマントをウェアーしておやり。
この可愛い娘さんはドグラマグラ太郎のひとりむすこをひとりじめしたいんや。」
少女はひどく赤面しました。