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宝物の彼女  作者: 近江 由
手を取り合う
13/135

王都外の仕事


 荷台の乗り心地は最悪だった。

 考え事を出来たのは出来たが、とにかく揺れる。


 やっと目的地に着いて、揺れで痛んだ頭を抱えながらライガは外に出た。


「頭痛い…」

 ライガは街道沿いにある騎士団の詰め所を見た。


 王都の詰め所は王城内にあるから規模が大きいが、目の前の詰め所は街道沿いでは目立つ建物の一つだった。


「でっかいですね。」

 ライガは丁度馬車から降りてきたアレックスに言った。


「そうだな。街道沿いは駐在騎士の宿舎も兼ねているし、ここは来たことなかったのか?」

 アレックスは来たことがあるようで慣れた様子で詰め所に歩いて行った。


「ええ。俺は、基本的に詰め所よりも町に滞在とか、野宿が多かったです。」

 ライガはアレックスの後を追いかけた。


「そうか。お前は規模の大きい仕事が多いもんな。羨ましい限りだぜ。」

 アレックスはライガを羨ましそうに見た。


「お、イケメン早いな。」

 サンズたちが馬車から出て来てライガたちの後ろに付いた。


「イケメン?」

 ライガは首を傾げてサンズを見た。


「ライガがイケメンランキング一位だっていう話だよ。」

 マルコムはにこやかに言った。


「やーい。イケメン。」

「ヒューイケメン。」

 アランとリランが交互にライガを囃し立てた。


「俺が荷台に乗っている間に何を話したんですか?」

 ライガは呆れながら訊いた。


「色んな話よ。さて、行きましょ。」

 ミヤビはキリが無いと思ったのか、アランとリランの背中を押して歩き始めた。


「アレックスさん。任務ってどんなのですか?」

 ライガはジンから渡された書類を見ているアレックスを見た。


「ああ、詰め所というか、駐在所の備蓄確認と…何か、精鋭部隊にお願いがあるらしい。」

 アレックスは目の前の詰め所兼宿舎を見上げて言った。


「お願いしたいこと?」

 マルコムは首を傾げていた。


「ああ。後は簡易的に見回りと、出来るなら盗賊や不審者でも捕まえろと書いている。ここは殴り書きだな。」

 アレックスは書類をみんなに見せて言った。


「そういえば、さっき話していたことで、団長とヒロキさんってどんな話をしているのかって、知っている?」

 アランは思い出したようにライガに訊いた。


「え?何で?」

 ライガは何でそんな話になったのかわからなかった。


「いや、だってあの二人がどんな会話しているのか想像つかないでしょ。よくお酒飲んでいるけど、何を話しているの?ライガは知っている?」

 リランもライガを見て訊いた。


「…知ってって…」

 ライガの頭の中には、いつか見た半裸の二人がいた。

 が、頭から振り払った。


「し…知らないな。サンズさんとかアレックスさんなら知っているんじゃないかな?」

 ライガは目を泳がせながらサンズとアレックスに視線を移した。


「へー…」

 ライガの様子を見てアランとリランは目を細めて頷いた。


「そうか。そうなんだね。」

 マルコムもライガを見て何やら意味深に頷いていた。


「だから行こうよ!!」

 ミヤビは一向に進まないライガたちを叱るように言った。




 詰め所兼宿舎は、見た目通り広かった。


 入るとすぐは吹き抜けになっており、受付のようなところがある。そこで旅人などが騎士に何かを相談や報告できるようになっている。要は窓口だ。


 受付がある玄関部分から廊下に入るといくつか部屋があって、突き当りに階段がある。

 階段を上がると玄関部分の吹き抜けに通じるデッキがある。二階部分より上が宿舎のようだ。


「俺たちはどこに滞在するんですかね?」

 ライガは窓口で興味深そうに見て来る駐在騎士たちの視線を受けて周りを見渡した。


「仕事は夕方からだって言っていたから、どこかで落ち着けれればいいんだけどな…」

 アレックスはそう言うと窓口に向かった。


「…王都ばかりでなくて、こういうところに滞在して騎士をやるのもいいかもね。」

 マルコムは窓口付近にいる旅人を見て、微笑みながら言った。


「…旅人って、憧れるわね。」

 ミヤビは旅人の夫婦のような二人組を見て、目を細めていた。


「あの、精鋭部隊の方たちですね。」

 窓口にいた騎士がライガたちの元に寄ってきた。

 どうやらアレックスから話を聞いたようだ。


「こちらへ…中の部屋へ。」

 騎士に通されたのは、窓口より奥の小部屋だった。


「団長たちが来ると聞いていたのですが…」

 どうやらジンが来る予定だったままのようだ。


「団長たちは来られなくなって、代理に俺が隊長としてきました。」

 アレックスは自分から順に紹介していった。


「…実は、お宝様の一族から、団長にお話ということで…。いえ、皆様でもいいのですが。」

 騎士は何やら言いにくそうだった。


 お宝様の一族、それはミラの一族だ。

 ライガの心にミラの顔がよぎった。


 だが、何でお宝様の一族がこの時期に騎士団に用があるのかわからなかった。


「俺たちが呼ばれたのは、お宝様に接する機会があるから他の騎士よりなれているだろうってやつか?」

 サンズは騎士を見た。


「いえ、お宝様たちが、団長を指名したので。ただ、皆様に取り掛かってもらおうと思います。」

 騎士は地図を取り出した。


「夕方からとお聞きしていると思いますが、お宝様の一族の場所は、秘密なのです。なので、暗くなってから一族の者が来るはずです。」

 騎士は全員の顔を窺うように見た。


「その、お宝様の一族ってことは…」

 マルコムは騎士を探る様に見た。


「皆様が危惧している通り、皆「鑑目かがみめ」を持っています。」

 騎士ははっきりと言った。


「わかった。じゃあ、詳しくは一族の者が来るまでわからないってわけだ。」

 アレックスは確認するように騎士を見た。


「はい。」


「なら、今のうちに備蓄チェックしてしまった方がいいな。」

 サンズは立ち上がった。


「備蓄チェックならそんなに人はいらないね。」

 アランは立ち上がるつもりがない様でサンズを見上げた。


「双子は来い。」

 サンズは双子の首根っこを掴んで立ち上がらせた。


 二人は文句言いたげな顔をしていたが、為されるがままに引きずられていった。


「俺、双子だけだとサンズさんを怒らせそうだから行くよ。」

 マルコムは苦笑いをしながら立ち上がって三人を追いかけた。


「じゃあ、俺はちょっと馬車見て来るわ。ライガは休んでいろ。荷台で大変だっただろ?」

 アレックスは立ち上がって出て行った。


「では、私も備蓄チェックに立ち会いますので、なにかありましたら近くの者に言ってください。」

 騎士も立ち上がって出て行った。


「…」


「皆行っちゃったね。」

 ミヤビはライガを見て言った。


 部屋にはライガとミヤビだけになった。


ライガ:

帝国騎士団の精鋭部隊に所属する。小さいころからミラを守る立場にいた。短い栗色の髪をした茶色の目をした青年。


ミラ:

「お宝様」と呼ばれ、鑑目を持つ少女。真っ黒な髪と真っ黒な目をしている。王子に嫁ぐことが決まっている。ライガとは相思相愛。


ジン:

帝国騎士団団長。最年少で団長に就く。精鋭部隊の隊長でもある。栗色の長い髪を束ねており、瞳の色は顔にかかる包帯のせいで分からないが、色が白く線の細い輪郭をしている。王族の人間。


ヒロキ:

帝国騎士団副団長。精鋭部隊の副隊長でもある。長い濃い茶色の髪で切れ長の目をしている。全体的に細長い印象のある顔の造りをしている。ジンが気を許している数少ない人物。ライガとミラの関係に好意的。


マルコム:

精鋭部隊の一員。穏やかな青年。瞳も髪も茶色で中性的で幼い顔立ち。オールバックの髪型で、優し気な眉毛とたれ目をしている。


ミヤビ:

精鋭部隊の一員。隊の紅一点。赤みがかかった金髪で、目はグレーで中々の美人。厚みのある唇がチャームポイント。


アラン:

精鋭部隊の一員。ライガの後輩。リランと双子。長い赤毛をポニーテールにして全部束ねている。瞳の色は茶色で髪を留めている紐の色は黒。弟。


リラン:

精鋭部隊の一員。ライガの後輩。アランと双子。長い赤毛をポニーテールにして全部束ねている。瞳の色は茶色で髪を留めている紐の色は赤。兄。


サンズ:

精鋭部隊の一員。ライガの先輩。硬そうな短い黒髪をして目も黒く、彫が深くて眉が太く骨骨しい輪郭をしている。


アレックス

精鋭部隊の一員。ライガの先輩。長い金髪と緑色の瞳で顔立ちがはっきりしている。



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