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感傷に浸りますが何か?

二年ぶりの投稿です

 ニート艦には基本、時間と季節の概念はあってないようなものだ。他の艦? そんなの知るか。おっと、時間や季節の概念より先にこのご時世だ。先にニートの概念を説明しておこう。1000年前のニートは学校に行かず、仕事もせず家に引き籠り、外界との接触がない奴の事だった。しかし、1000年も経てばそれは変わる。人類が宇宙に進出した今、ニートとは自分から外界と接触しない奴の事を言う。さて、現代ニートの説明を終えたところで……


「この部屋()()深夜1時なんだよなぁ……」

「そうよ。それがどうかしたの?」

「たっくん、この部屋が1時だからって他の部屋がここと同じとは限らないんだよ?」


 俺ことニート艦艦長如月拓真はベッドの上で他室との時差があるという現実に直面している最中だ。左右にいる俺の最愛の人である美空と美瑳はどこ吹く風。自分達がいる部屋と他の部屋に時差が生じているのが当たり前みたいな口ぶりだ


「分かってるよ。言ってみただけだ。この艦は基本、刀傷沙汰や人としての道徳に反する事さえしなきゃ過ごし方は自由だって言ったのは他でもない俺自身だしな」


 1000年前は地球で生活してた。太陽が昇り始めれば朝で沈めば夜。といった具合に昼夜がハッキリ分かった。当然、時差があったのは知ってる。日本とイギリスの時差は9時間だったって話らしいしな。で、その時差ってのはコロニーでも適用されていたわけで、日本エリアのコロニーとイギリスエリアのコロニーの時差も9時間だった。時差の話は置いといてだ、このニート艦には日本エリアから来た奴だけじゃなく、各エリアから来た様々な人間がいる。生活スタイルが異なるから今寝てる奴もいればこれから活動するって奴もいる。活動と言ってもアニメ見たり、株取引したりと色々だ


 他の艦は前も言ったけど、知らん。決まりがあるのかもしれないしないかもしれない。研究不足と笑いたきゃ笑え。俺が知ってる他の艦は名前と概要くらいだよ


「ならいいじゃない。お姉さん達もだけど、この艦に乗ってる人達は自由や平和な暮らしを求めて集まったわけなんだしさ」

「そうだよ、たっくん。私も美空も自由に暮らしたい一心でキミに付いて来たんだよ。部屋事の時差なんて気にしたら負けだよ」


 柔和な笑みを浮かべる美空と美瑳に釣られ、俺の口角が少し上がった。この艦は自由がモットーだ。部屋事の時差など今更気にする事はない。寝たい時に寝ればいい


「だな……。時差なんて気にするだけ時間の無駄だよな」

「そうよ」

「そうそう! 動く時は動くんだから気にしたら負けだよ!」


 美空と美瑳が言うように動く時は動く。それが我がクルー達。時差を気にするだけ無駄だ。という事で……


「艦内チャットで行きたい時間軸や惑星がないかリクエストでも募るか」


 ベッドわきに置いてあったノートパソコンを手に取ると艦内チャットを開き、“今から行きたい時代あるいは惑星のリクエストがある奴は書き込め。ただし、惑星は太陽以外、時代は地球全体がマグマに包まれてる時代以外に限定する”と書き込んだ。太陽は近寄ったら死ぬ。マグマも触れたら火傷程度じゃ済まない。ウチのクルー達は常識的な考えができる連中だから人が立ち入れないような惑星や時代は書かないと思うが、念のため書いといて損はない


「よし、やる事やったから寝るか」

「「うん!」」


 このニート艦はさっきも言ったが人としての道から外れるような事以外は何をしていても自由だ。俺は女2人侍らせているが、逆もある。男2人に女1人と逆ハーレム状態で生活している奴もいるし、歳の差カップルもいる。クルーはカップルだけじゃないけどな。クルーの話はこれくらいにして、俺達は寝る。操縦は自動操縦。サイバー攻撃に遭わないようにセキュリティは常に万全を期しているし、ミサイルやレーザー攻撃を始めありとあらゆる攻撃を跳ね返すミラーバリアは常に展開している。オマケに他の艦に見つからないようステルスシステムも常時発動させてある。俺に死角はない


 という事で、俺達はベッドの中で横になって過ごした。寝るかとは言ったが、本当に寝るわけじゃない





 チャットを送ってからしばらく。返事が返って来たかと言うと────


「返って来ねぇな。まぁ、当たり前か」


 未だに通知ゼロ。通信もチャットもあれば何かしらの通知音が鳴る。それがなかったという事はだ、タブレッド端末を始めとした機器が故障しているか、艦内ネットワークに何かしらのトラブルが生じたかのどちらか。だが、確認するとそのどちらでもなかった。単にクルー達が返事を返さなかっただけだったらしい。絶対に返事を返せとは書かなかったからなくても困りはしない


「そりゃそうよ。私達は別に特定の惑星に行きたくて拓真に付いてきたわけじゃないわ。自由に生きたいから付いてきたのよ」

「自由を求めて寄って来た人達に特定の場所に行きたいだなんて概念ないよ」


 美空と美瑳の言う事に俺は反論できない。元々俺が自由を求めて集めた連中。自由に過ごせればそれでいい人間達に特定の場所に行きたいかと聞くだけ時間の無駄なのだ


「だよな。んじゃ、このまま宇宙旅を続けるか。気が向いたら適当な惑星に着陸してそこでそうだな……一週間くらい滞在するって事でいいか?」

「ええ」

「うん!」


 俺はタブレット端末を操作すると艦内チャットにある自分の書き込みを消去した


「さて、これからどうする?」


 この部屋じゃ深夜の時間帯。自由がモットーなこの艦において何時に起床し、何時から何時まで労働なんて型にハマった決まりはない。寝ようが起きようが自由。噂じゃぶっ通しで麻雀してる部屋もあるとか。やる事がなくなり、これから何をするか非常に悩ましい


「どうするって言われても……ねぇ?」

「そうだねぇ……深夜の時間帯だから寝る以外の選択肢がないんだけど……」


 美空と美瑳は苦笑を浮かべながら顔を見合わせる。彼女達の言う通り深夜の時間帯だから寝る以外の選択肢が見当たらない。ぶっちゃけ俺も寝たい。寝たいとは思っていても睡魔が来ないのだ


「俺も寝たいは寝たいが、全く眠くない」


 よくあるだろ? 身体は疲れてるのに眠くないなんて事が。今の俺がそれだ。疲れてはいないが、全く眠たくない


「奇遇ね。私も拓真と同じよ」

「私も……」


 睡眠を提案してきた2人も俺と同じで眠たくはないらしい


「はぁ……眠たくなるまでぼんやりするか」

「そうね。横になっていればそのうち眠たくなるでしょうし」

「他のエリアに行くのも面倒だもんね」

「ああ」


 満場一致で俺達は眠たくなるまでぼんやり天井を眺める事にした。少しすると左右から心地よさそうな寝息が聞こえ、確認すると美空と美瑳が寝ていた。寝付くの早いな……


「眠れないのは俺だけか……」

「「すぅ……すぅ……」」


 2人の寝顔を眺めながら俺は他の部屋にいる住人達に思いを馳せ、時間帯を統一化しなかった事をほんの少し後悔する


「自由がモットーだとはいえ、時間だけは統一しといた方が良かったか……」


 元々この艦には様々な事情を抱えた奴がいる。俺達みたいに家出して来た奴、押し付けられた借金が返済できずに夜逃げして来た奴、古臭いとは思うが、地上げ屋に家を盗られ、住む場所を失ったなんて奴もいる。かと思えばブラック企業を辞めたはいいが、転職に失敗した奴なんてのもいる。1番すごかったのはこの艦に乗るまでホームレスだったってのには驚いた


「最初は単に逃走仲間を募っただけなんだが……」


 俺の脳裏を過るのはクルーを募集しようとしたあの日の事。全てに嫌気が差した俺は家出を決意したのだが、一人で家出してもつまらないと思って掲示板でクルーを募った。すると数日もしないうちに多くの書き込みがあった。資金は……癪に障るが、櫂の尽力が大きい。掲示板で募ったクルーが5割、残り5割はこの艦が完成し、受け取りに行く道中で引き取ったメンバーだ


「懐かしいな……」


 どれもこれも懐かしい思い出だ。いい思い出とは言えないが、なかった事にはできない大切な思い出


「ニート艦作ってよかった」


 艦を作るのに面倒な申請は特にない。警察とかになると申請が必要らしいが、ニート艦は法律や医療関係の艦じゃなく、強いて言うなら宇宙を旅するための艦。面倒な申請も定期的な報告も必要ない。オマケに大軍を率いてないから艦隊でもない。気楽なものだ


「この平穏は手放したくねぇなぁ……」


 この広大な宇宙にはいい艦隊だけじゃない。悪さをする艦隊もある。なるべくだったら遭遇したくない。常に万全の状態だから平気だとは思う。だが、万が一という事もある。警戒しておいて損はないのだ


「寝るか……」


 俺は平穏で自由な日々が少しでも長く続く事を祈って目を閉じた




















今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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