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ニート艦の艦長ですが、それが何か?

初めまして謎サト氏です。この作品はニートと宇宙を掛け合わせた作品となっております。ニート艦の日常を見て頂ければ幸いです

「おい、人の部屋で何してんだ?」


 ──────時は西暦3000年の宇宙。人類は地球に住む事が困難になり宇宙へと進出した。科学技術の発展に伴い、宇宙には数多くのスペースコロニーや宇宙ステーションが建設され、人類は宇宙空間でも生活できるようになった。それと同時に様々な宇宙艦隊が生まれた。例えば、そうだな……宇宙空間の治安を守る警察艦や、武道を嗜む奴が集る武道艦などだ。他にも種類はあるが、それを全部出すとキリがないので今は出さない。かく言う俺も一隻の(ふね)の艦長をやっている


「何って鍋だけど?」


 そんなの見りゃ解るわ! 俺が言いたいのはどうして俺の部屋で鍋なんてやってるんだと言いたいんだよ! 自分の部屋でやりゃいいのに人の部屋でやる事ないだろが! おっと、ツッコミで自己紹介が遅れたな。俺は如月拓真(きさらぎたくま)17歳。1000年前なら高校生って事になると思うが、今の時代に高校は存在しない。さすがに肩書が必要か。じゃあ、ニート艦の艦長って事で。


「そんなの見たら解るわ! 俺が言いたいのはどうして人の部屋で鍋なんてしてるんだ?って事を言いたいんだよ! 自分の部屋でやれよ! そもそもどうして鍋なんだよ! 暑いわ!」


 俺の部屋で鍋をやってるこのふてぶてしい男はスペースコロニーにいた頃に親しくなった友人の1人の黒田櫂(くろだかい)。ちなみにコイツには3人の彼女がいる。俺にも2人の彼女がいるからコイツをチャラ男とか3股野郎とか言えた立場じゃない


「いや、最初は自分の部屋でやろうと思ってたんだけどさ~、彼女達に暑いからって追い出されちゃってさ~仕方ないから拓真の部屋で1人寂しく鍋やってんだよ」

「自分の部屋がダメなら諦めろよ!」


 どうしてコイツは俺について来てニート艦だなんてものに乗っているんだと思うが、ここにいる人間はスペースコロニーにいた頃に人間関係でトラブルがあり、コロニーに居づらくなったクチだ。俺もコロニーにいた頃に人間関係でトラぶってコロニーに居づらくなった。


「うるさい! 俺は鍋食いたかったの! いいだろ? 俺達は自由に生きるんだって決めただろ!?」

「そりゃそうだが、いきなり鍋はねーだろ! それより俺の部屋にいていいのかよ? 彼女達を放っておいたら寂しがるんじゃねーの?」


 ここは大部屋だからいいようなものの、小部屋だったら一緒に住んでる奴がいなくなったら大騒ぎだぞ? それに俺は彼女2人だからいいけど、櫂は彼女が3人もいる。だからこそ大変だ。主に寝る時に


「ああ、大丈夫大丈夫。彼女も気が向いたらこっちに来るって言ってたし」

「何でだよ! 鍋するなら本当お前部屋戻れよ! 俺の部屋じゃなくてもいいだろ? 自分の部屋でやれよ!」


 ツッコミ過ぎてこの艦の説明がまだだったな。この艦はニート艦と言う。ニートって言ったら昔は学校にも行かず、仕事もせず休日も部屋に籠っている奴をニートって言ったみたいけど、ニートとニート艦じゃ差がある。ニート艦って言うのは外界との交流が全くないわけじゃないけど、自分から交流はせずに基本は無視し、定期的にある艦長の交流会にも全く参加せず、何かに特化した人間がいない艦の事をニート艦という。例えば正義感が強く宇宙の治安を守ろうとする人間が集ったから警察艦ができた。武道を嗜んでる人間が集ったから武道艦ができた。じゃあ、ニート艦は?別に正義感が強い人間が多いわけじゃないし、武道を嗜んでいる人間が多いわけでもない。昔でいうところのサークルとか部活みたいなものか?そんな感じだ


「いいじゃん! 鍋したかったんだもん! お前だって鍋好きだろ?」

「いや、好きだけどよ……唐突過ぎるわ! せめて先に教えて!」


 櫂の唐突すぎる行動は今に始まった事じゃないけど、鍋はあまりにも唐突すぎる! 季節考え────季節は関係なかったわ。艦の中だから暑い寒いは自分で調節できるし


「みんなで鍋してみんなで盛り上がろうぜ!」

「みんなって他の連中寝てたりゲームしてたりしてるだろ?」


 ニート艦は基本的に自由なのでどの部屋で何をしていようが自由だ。まあこの艦に集まった連中はそれぞれの場所で何らかのトラブルがあって集まった連中だから何をしていようと刀傷沙汰になったり、人としての道を踏み外したりしない限りは何をしててもいい。さっき櫂は彼女が3人いるって言ったが、彼女が複数いる奴だけじゃない。彼氏が複数いる奴もいるし、妻が複数いる奴もいる。夫が複数いる奴もいる。話が長くなったが、要するに恋愛に関しては本人達の同意があれば付き合う相手や配偶者が何人いても構わない。そういう決まりになっている。いや、違うか。俺がそう言う決まりにした!


「え? 他の連中は準備が終わり次第呼ぶ予定だけど?」

「何それ初耳なんだけど!?」

「今言った!」


 そりゃそうだろうよ! 俺が他の連中の行動を指摘しなかったら他の連中を呼ぶだなんて言わなかっただろうしな! じゃなくて、どうして俺の部屋なんだよ! 櫂の部屋でいいだろ?部屋の広さ的には同じなんだから!


「どうして俺の部屋でやるんだよ! 部屋の広さは同じなんだから櫂の部屋でもいいだろ?」

「拓真の部屋が位置的にちょうどいいんだよ。ちょうど真ん中だし」

「だからってなぁ……」


 部屋の位置は俺が真ん中で櫂は右隣りだ。集まるとしたら俺の部屋がちょうどいい位置にある。俺の部屋と言ってもそのままの意味での部屋じゃない。昔でいうところの高級マンションみたいなものだ。で、俺の部屋がある空間はいわゆる居住スペースだ。他にも医療や娯楽などを扱ってるスペースがあるけど、全員が過去に人間関係で失敗したりといろいろあった。まぁ、人の過去をあれこれ詮索する趣味はない。俺の元へ集まった人達がどんなトラウマを抱えていようがな


「いいだろ? 操縦は全部プログラムがやってくれるし、サポートロボだってあるんだから少しくらい羽目を外したってさ!」

「お前はいつも羽目を外してるだろ!」

「その通りだ! 俺はいつも羽目を外している! それがどうした!?」


 開き直るな! いつも羽目を外しているのは自覚していたのな! まあ、俺も腹が減った。櫂がちょうど鍋してるから俺もその御厄介になろう。分けてくれないなら部屋から叩き出せばいいし、鍋が終わって片付けたら叩き出せばいい。どちらにしろ叩き出せばいい


「叫び過ぎて腹減った……」

「鍋ならあるぞ?」

「それでいいよ。ところで鍋の具材って何だ?」


 鍋だから外す可能性はないけど、闇鍋とかは高確率で外す。だって、みんな食材は食材でもお菓子とか絶対に鍋には不向きなチョイスするし、お菓子じゃないにしろ煮たらドロドロに溶けて原型の想像が困難なものだったりするし。


「豆腐、白菜、魚、肉だけど?拓真って好き嫌いあったっけ?」

「いや、好き嫌いはないけど闇鍋だったら困るし? 残飯処理とか困るだろ?」


 食べ物の好き嫌いは少ない方だけど、残飯処理は調理済みのものなら非常に面倒なんだよなぁ……残飯処理は櫂がやるからいいんだけど、どうせ俺ともう1人がやらされる。そうなった時になるべく肉とか魚とか豆腐の方が有難かったりする


「今回は普通の鍋だから残飯は残らないから大丈夫! それより、炬燵とテレビはないのか?」

「炬燵もテレビもあるけど、今の時間って面白い番組やってたっけ?」


 1000年ほど前はテレビ局というものが存在したけど、今はテレビ艦がテレビ番組を管理している。コロニーでもテレビ番組は放送していたけど、この時代にコロニーに住み続ける物好きはいない。みんな同じ趣味や仕事の奴と一緒にそれを専門にしている艦に乗って過ごすというのが主流になっている。人口が少なくなってきているのはコロニーだけじゃない。宇宙ステーションもコロニー同様に徐々に人口が少なくなってきていて無人の宇宙ステーションは少なくない。


「あー、今の時間だと……ほとんどがくだらないニュースくらいしかやってない」

「だろ? 鍋しながらニュースも味気ないし、アニメでも見ないか?」

「だな」


 櫂は炬燵を、俺は見るアニメの準備をする。さっきまで俺のシステムデスクにあったガスコンロと鍋は櫂が用意した炬燵の上に移動しており、俺は俺で見るアニメの用意ができた。宇宙空間において季節感は関係ないのでいつ鍋をやろうと炬燵をだそうと関係ない。


「さてっと、準備も整ったし他の連中も呼ぶか」

「呼びたくないが、呼ばないと後でうるさいからな……仕方ない」


 別に呼ばなくてもいいんだけど、呼ばなかったら呼ばなかったで後でうるさい。約1名は絶対に騒ぎ立てる。来なくてもせめて声だけ掛けておけば文句は言われないし、反論できる。声を掛けるという選択をした俺に抜かりはない!


「おーい、鍋やるけど来るかー?」


 部屋を出て左隣りの部屋をノックする。いくら自動ドアとはいえ親しき仲にも礼儀ありだ。中からロックを掛けられていれば外から開ける事は暗証番号を入力しなければ開ける事はできない。部屋の主から事前に用事があるって言われてない限りは入口で一声掛けなきゃいけない。この艦の部屋全てがそうなっているわけじゃない。いつでも誰でも自由に出入りできるようにしている奴もいる。だけど、基本的には部屋とは自分の家そのものなのでロックを掛けている奴が多い。ロックを掛けてない部屋は基本的に飲食スペースにある部屋くらいだけど、それでも決められた時間の間だけ。あとは医療スペースくらいかな? 医療スペースは基本的にどの部屋も24時間常にロックは掛けられていない。急患があったら困るし


『今ゲーム中だから終わってから行く』


 マイク越しに聞こえる男の声。部屋の主は俺より1つ年上で18歳。年齢的には18禁のゲームや映画を見てもいい年齢だけど、コイツには妻が1人いるのでその手のゲームや映画────特にセクシー系を見ようものなら……想像しただけでも恐ろしい……


「早く来ないとなくなるからなー」

『すぐ終わるから! すぐ終わらせてすぐ行くから!!』

「わかったから早く来い。奥さんに声掛けるのも忘れるなよ。バレたら恐ろしい事になるから」


 用件だけ伝えて部屋の前を離れる。今の部屋の主の奥さんは夫に対する独占欲が強いけど、食べ物に対する執着もすごい。知らせなかった日にはどんな事になるかは考えたくない。


「櫂、お隣さんには声掛けてきたぞ?」

「ご苦労! こっちも拓真の彼女達と俺の彼女達に声掛けてきたぞ」


 別に一旦部屋を出て部屋の前で声掛けなくてもチャットで鍋やるって知らせればいい話なんだけど、アイツはゲームに夢中になるとチャットを見るかどうか怪しい。直接声を掛けておけば嫌でも知る事になる。言ったとか言わなかったとかの問題も生まれるけど、チャットだと記録は残っても見てない可能性が出てくるから直接声を掛けた方が確実な時もある


「おう、じゃあ、始めるか」


 彼女達を含めて来ない奴を待っていたら俺は背中の肉と腹がくっついてしまうので先に鍋を頂くとしよう。なに、食材はたくさんある。俺と櫂の2人で食べ始めても問題はない。



今回は最初という事でニート艦の説明や他の艦隊についてさわりだけ出しました。これからニート艦の日常等を楽しんで頂ければ幸いです

今回は最後まで読んで頂きありがとうございました

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