旅仲間の出会い(1/2)
「ふぅ……。終わった終わった」
採取や護衛依頼にはだいぶ慣れてきた。
討伐依頼はというとあの日以来まだ一度も受けていない。
今の私の実力じゃきっと死んでしまうからだ。
確かにあの目を使えば倒せるかもしれない。だけど、出来るだけあの目は使いたくない。
さてと、組合に報告に行かなくちゃ。
「はい、報告完了です。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
依頼の報告を済ませた私は家に帰るため組合を後にした。
「よっ、久しぶり」
「ジル、久しぶり」
あの日以降こうして会うのは初めてだ。
「ルネミアにちと聞きたいことがあってな。今、大丈夫か?」
「私今、依頼が終わって疲れてるの今度にして」
「なんだよ、素っ気ないな。んじゃ、明日また来る」
私に聞きたいことか……。一体何だろう。
もしかしてあの目を見られた?いや、それだったらあの日に聞かれてもおかしくは無かった。
それに、あの時ジルには背を向けていたし見られるようなタイミングは無かったはずだ。
一体何の用だろう。考え出したら止まらなくなってしまいそうだったから私は目を瞑って眠ることにした。
朝、目を覚ますと玄関をノックされる音が聞こえた。
眠い目を擦りながら扉を開けるとジルが立っていた。
「な、なんで私の家知ってるのよ!!」
「何でって、あの日家まで送っていってやっただろ」
そー言えばそうだった。
寝癖とか酷い状態の私を見られてしまった。ジルに「ちょっと待って」と伝えて一旦扉を閉めた。
私は大急ぎで着替えて寝癖を直した。直してる最中待ちくたびれてるのかジルが扉を叩きながら「まだか?」と聞いてくる。
少しくらい待ってよ……。
「お、お待たせ……。入っていいよ」
「急に扉しめるからびっくりしたわ」
そんなこと言われても朝早くに急に来る方が悪いんだって。
危うく目の色変えるの忘れそうになったよ。ほんと、危なかったんだから。
「それで?聞きたい事ってなに?」
「あぁ、それなんだがな。怪物曲芸って知ってるか?」
怪物曲芸それは、モンスター達が人間を玩具のように遊び殺していた様子から着けられた呼び名。
「10年前にある王国を滅ぼしたって言うあの出来事?」
「そうだ、俺は救援要請に応えて王国に向かった冒険者の中の生き残りの一人だ。仲間は全滅してしまったけどな」
私はそれを聞いて胸が痛くなった。
そう、あの地獄の生き残りだったの……。
「どうした?顔色が悪いようだけど」
「大丈夫よ。それで?聞きたかった事はそのこと?」
「いや、本題はここからだ。俺は国王の娘の捜索そして保護の依頼を受けて向かったんだ。しかし、結果は知っての通り生存者ゼロだ。だが、お前を見たとき何か知ってるんじゃないかと思ったんだ」
「そうだったの。残念ながら私は何も知らない。何を根拠にそう思ったのかわからないけど、宛てが外れてしまったみたいね」
「そうみたいだな。無駄足か……。俺はその時に出会った吸血種を探している。何かわかったら教えてくれ」
ジルはそう言って部屋を出て行ってしまった。
ジルが出て行くまでなんとか平常心を保っていたが、いなくなった途端張っていた気が抜けたのかその場に崩れてしまった。
私はほんとに何も知らない。それは、間違っていない。
なのに、罪悪感に押しつぶされてしまいそうになっていた。
しばらくして、落ち着いたのか組合に向かった。新しい依頼を受けるためだ。
お金を貯めて武器の新調をしないといけない。
どれを受けようかと悩んでいると、私と同じくらいの少女に受けようとした依頼を先に取られてしまった。
仕方無く他の依頼を受けようと探していると少女に声をかけられた。
「あの、さっきこれ受けるか悩んでたよね?これ、二人以上じゃないと受けれないって言われたのだから一緒に受けない?」
なんとも都合の良い依頼だった。ほんとだ、二人からって書いてある。ただの護衛依頼なのに何でだろう。
「いいよ、一緒に受けよっか」
護衛先に向かっている間に自己紹介をした。
少女の名はリミル・ドルフスというらしい。
階級は私と同じ鉄階級だそうだ。
こんな風に依頼に向かったのは初めてだ。あの日以来人と一緒に行くのは避けていた。
希にジルの依頼を手伝っていたときくらいだ。
護衛先に着くと荷車が4台ほど止まっていた。なるほど、だから二人以上なのか。
護衛依頼でもたまに山賊種に襲撃されることはあるが時間を稼ぐ程度ならなんとか出来ている。
向かう先は王都の外れにあるレグル村約三日くらいだ。
「ねぇルネミア」
「どうしたの?リミル」
「ルネミアはいつから冒険者やってるの?」
「一月前からだよ。どうしたの?急に」
「ちょっと気になっただけ」
「そう……」
どうしたんだろう急に。隣にいるリミルの方を見ると寝てしまっている。
いくらここが襲われにくいからって気を抜き過ぎじゃないかな。
そんなことを思っている間に私も眠りに落ちてしまった。
護衛する身でこんなに寝てしまうのは良くないと思うけど眠気には勝てなかった。
とりあえずは安全だったし大丈夫かな。
こんな適当なことで良いのか?と二人で見つめ合い笑ってしまった。
緊張感の無い事この上ない。
その後結局何も無いまま無事護衛は終わった。
村の宿屋で一泊し、翌朝私たちは村を後にした。
依頼報告を終わらせた私たちはそれぞれの家に帰宅した。
明日、リミルが手伝って欲しい依頼があるのだと言いそれを受ける事になっている。
依頼の内容を聞かされていないがきっと大丈夫だろうと私は思っていた。
当日依頼内容を聞いたときは私は驚愕した。悪魔種を討伐しに行くといいだしたのだ。
そんなもの出来るはずが無い。私は反対した。
しかし、リミルはどうしても行きたいと言い張って聞く耳を持ってくれない。
挙句の果てには一人で行くと言い出した。
死にに行くようなものだ。確かに悪魔種は希少で依頼として出ること事態少ない。
それでも、依頼を受ける人が少ないのには理由がある。
簡単だ、討伐して帰ってき来た人が少なすぎる。それ故に、受ける人が少ない。
それをリミルは受けると言い出すのだ。無謀にもほどがある。
報酬金に目が眩んだのか?いや、それにしては執着しすぎている。
私があれこれ考えている間にもリミルは依頼の手続きを進めている。
「あぁもう!着いていくよ!その代わり、無理だと思ったら直ぐ逃げるからね」
リミルを死なせない為に私は同行することになった。
はい、恋夢です!
かなりスローペースの投稿だけど許してください。
今回出てきたリミルちゃん急に悪魔種の討伐依頼を受けると言い出しました。
この先どうなるのか。私も楽しみです。
それでは、また次の作品でお会いしましょー!