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HELD  作者: 恋夢
序章
13/19

結成!ギルド“アインスト”

ルネミア、リミル、リアの三人は悩んでいた。

何について悩んでいるのか、それは数時間前のルネミアの発言がキッカケである。


――遡ること数時間前

「ギルドを作ろう!」

「「え?」」

二人は揃って頭の上に疑問符を浮かべている。

「ギルドを作ろう!」

ルネミアは同じ台詞を繰り返す。

「聞こえてるよ。ところでギルドってなに?」

「え、二人とも組合の資料読んでないの?」

1、2年前に読んでいたであろう資料の内容を頭の中で思い出してみるがそんな内容が書いてあったなんて一切思い出せなかった。

必死に思い出そうとしている二人を見て私は軽く笑ってしまう。

そんなに真剣に考え無くても良いのに……。

「二人とここを見て」

ルネミアが持ってきた資料に書いてあるギルドの項目を見る。

3人以上でギルドを作る事が出来る。ただし、ギルドリーダーは金階級(ゴールド)出なければならない。

二人はなるほどといった様に納得している様に見える。

「ギルドいいな」

「楽しそうだね」

二人はギルドを作るのに案外乗り気だった。

作るのは良い。しかし、一つの壁にぶち当たってしまった。

それは……、ギルドの名前をどうするが問題として出てきてしまった。

格好いい名前、可愛い名前、冒険者らしい名前。

三者三様の意見が出てきて纏まりそうに無い状態だった。


更に時間が過ぎて現在に戻る。

「ねぇ、このまま考えてても時間もったいなくない?」

リアの一言に二人とも納得はするが、決めてしまいたい気持ちもあるためなかなか考えるの辞められない。

リアも一緒になって考えてはくれるものの、やはり決まらない。

「少し気分転換に散歩しない?」

リミルが不意にそんなことを言い出した。

確かにこのまま考えても仕方が無い。

気分転換をしてから考えるのは良いかもしれない。

「散歩、行こうか」

こうして三人は王都をぶらぶらと散歩を始めた。

たまたま組合の前を通りかかりいつもの流れで寄ってしまった。

組合に入ると奥にジルが座っているのが見えた。

どうやら組合長と会話をしている様子だ。

遠目に見ていた私達に気付いた組合長が私達を手招きする。

「お久しぶりです。組合長」

「久しぶりだね。私はもう仕事に戻らないと行けなくてね。彼の相手をして欲しいのだよ」

「なるほど?」

「それでは、頼んだよ」

組合長を奥の部屋に入って行ってしまった。

「ジル……無事で良かった」

「あぁ、迷惑かけたな。すまん」

「気にしないで、私達を依頼をこなしたに過ぎないのだから」

「そうか……。ところで、そちらの人は?」

リアの事を指さして訪ねるジル。

「この子はリア・フォース。私の昔からの友達よ」

「フォース……。そうか、君はあの日ストレフィア王国にいなかったんだね」

「はい、私は王都まで足を運んでいました」

「君の両親を助けられなくてごめんな」

「今更、謝らないでください。私は気にしてませんの」

「そうか……。ところで、今日はなんの用なんだ?」

ジル自身は納得してない様子だが、このまま引きずっても仕方が無いと思ったのか話題を変え始めた。

私達はギルドの名前に迷走していると話した。

それを聞いたジルは何が面白かったのか笑っていた。

「ギルドハウスはもう決まってるのか?」

「まだだよ。ギルドハウスはまだ探してない」

「それなら、丁度良い。ちょっと俺の仲間達の話しをしてやろう。時にリア、君には関係のある話しだ」


俺は、10年前“黄金の輝き”というギルドに入っていた。

ギルドリーダーは俺の姉、ライナという人だった。

とても仲間思いで情に厚く、仲間から信頼されている良い姉だった。

そして、俺の他に二人メンバーがいた。

レオ・ディルク、レクルーダ・リンドルの二人だ。

この二人も仲間思いで良い奴だった。

俺たち四人は結成当時全員が金階級だった為“黄金の輝き”と名付けたんだ。

安直な付け方かもしれないが、俺たちはそれで良いと思っていた。

俺たち四人は数々の依頼をこなし気がつけばかなり有名なギルドになっていた。

俺たちの全盛期であり黄金期とも言える程名高いギルドだった。

そんな中俺の姉は白金階級(プラチナ)に昇級を果たした。

俺たちも流れに乗って白金階級になろうと意気込んでいた丁度その時期にストレフィア王国の救援依頼が舞い込んできた。

俺とレオは行くのを反対したんだが、姉はどうしても助けてやりたいと強く言われてしまい、結局行くことになってしまったんだ。

しかし、王国は俺たちが付いた頃には既に酷い惨状になっていた。

最早地獄絵図というような状況だった。

一人でも多くの人を助けようと俺たちは奮起し、王国内を駆け回ったが何処にもいなかった。

途中で国王に会うことが出来、そこで娘がいない事を教えられ娘を探すことをお願いされたんだ。

その時当然国王を逃がそうとしたんだが、王姫と娘が城内に残っているかもしれないから探すといって聞かず、俺たちもそれ以上は強くは言えなかったんだ。

今となっては無理矢理にでも逃がせば良かったと後悔している。

俺たちの絶望はこの後に起こった。

国王の娘、つまり王女を探していた時に吸血種(ヴァンパイア)の男と鉢合わせてしまう。

あいつは強すぎた。姉、レオ、レクルーダはあいつによっていとも簡単に殺されてしまったんだ。

その時俺は姉が殺される瞬間を見て何も出来なかった。ただ呆然と立ち尽くしているかのように突っ立っていたんだ。

あいつが俺の目の前に来たとき俺は死を覚悟した。

だが、俺は生きている。それは、単にあいつに興味を持たれなかったんだ。

あいつは俺の顔を見ては「つまらない」と言って何処かに飛び去ってしまった。

俺は無力な人間だ。それを、思い知らされた。

せめて、王女だけでも助けねばならないと思い再び探し回り始めたが、何処にもいない。それどころか人っ子一人いる気配がしなかった。

俺は悔いて悔いて悔いて数え切れないほどの後悔をした。

そして、俺は決めたんだ。あいつに必ず復讐してやるんだと。


「まぁ、こんな感じのことがあったんだ」

淡々と語ってくれたジルは三人を見渡す。

リアは驚いている様子だし、リミルも驚いていた。

しかし、ルネミアの反応だけは違ったのだ。

ルネミアは泣いていた。

「ごめんね、ごめんね」

「な、何を謝ることがあるんだ?」

「実は、私。本名はルネミア・ストレフィアなの」

ジルは目を大きく開き驚く。

そして、こう言う「良かった……」と。

「ジル、ごめんね。そして、ありがとう」

「良いんだ。俺たちの努力は無駄じゃ無かったかもしれないと初めて思えたんだ。俺からも言わせてくれ、ありがとう」

ルネミアが落ち着くまでジルはルネミアのことを包んでくれていた。

リミルとリアはそれをみて何も言わない。ただ、二人を眺めるように見ていた。

ルネミアは涙を拭き、ジルから離れる。

「それでだ、俺たちのギルドハウスが残っているんだが使わないか?」

「いいの?」

まだ若干声に張りが無いがルネミアが答える。

「あぁ、構わないさ。寧ろ、折角あるんだ使ってくれなきゃ家がかわいそうだ」

「そっか、なら私達で使うよ」

「あぁ、そうしてくれ。それと、もう一つ提案なんだがそのギルド俺も入れて欲しい。理由は簡単だあいつに復讐するためだ」

三人は悩む。

入れることに抵抗はない。ただ、男一人に女三人が一つの屋根の下で暮らすことに不安があるのだ。

「何を考えているのかわからないが、俺は何もしないからな?!」

三人の心情を察したかの用に的を射てくる。

「わかった。私達四人はこれからギルドの仲間として頑張ろう」

皆がうなずく、私はこのメンバーでなら必ずやって行くことが出来るだろうと確信している。

しかし、困ったことにまだギルド名が決まっていない。

ここにいる人達は皆それぞれ過去と言うものを背負って今までやって来ている。

というか、過去にあった出来事が今の原動力になっている程では無いだろうか。

ならば、過去が私達の象徴なんだ。

「アインスト……」

「「「え?」」」

ルネミアがボソッと言った一言に三人が一斉に反応する。

「あぁ、いや、ギルド名に良いかなって思ってさ」

「由来は?」

「私達は過去が原動力になって生きている気がしてるんだ。少なくとも私はそうだ。リミルだって悪魔種との因縁がある。リアだって、地獄から助けて貰った人の受け売りで冒険を始めたんでしょ?」

二人はルネミアの問いにうなずく。

「だったら、私達の象徴は過去なんだよ。だから、アインスト。昔の言葉で昔という意味がある。私達にぴったりじゃない?」

少し考え込む三人。それぞれの思いがある。三人は真剣に考えた末に出した答えはそれでいいという答えに行き着いたみたいだ。

「だったら、私達はこれからギルド“アインスト”のメンバーだ」

皆が皆それぞれの顔を見渡す。

私はこれから運命共同体なのだ。

誰かが欠けてもダメ。

誰も欠けさせない。

私は強く思った。

はい、恋夢です!

今回は序盤のまとめてきなストーリーになっています。

14話から中盤のストーリーに入って行くワケなんですが、かなりね長めに考えているので、楽しみにしていてください!

それでは、また次の作品でお会いしましょー!

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