新たな出会い(1/2)
――神霊水
この地に伝わる伝説の水。どんな病や傷でも治してしまうというものらしい。
組合長から依頼されたのは神霊水を発見しジルの所まで持ってきて欲しいという依頼だった。
こんなあるのかもわからない様なものを何故探さなければならないことになっているのか。それは、ジルが助かる可能性があるとしたら神霊水の他に存在しないされているからだ。
ジルは組合にとって大切な人材らしい。ここで失うのは惜しいからこそ唯一の可能性にかけたのだろう。
私達もジルは大切な存在だ。このまま、見過ごして良いはずがない。
とは言ってもやはり情報がすくな過ぎる。
図書館にある書物をいくら漁っても過去に取ってきた冒険者がいたりといったような有益な情報が全く見つからないのだ。
「これだけ探しても見つからない何てどういうことなの……」
「確かにそうだよねおかしいわ」
図書館に籠もり始めて一週間は経っている。こうしている間にもジルは死んでしまうかもしれないのだ。
一刻を争うというのに何の進展も無いことに私達はイライラしていた。
「あーもう!」
「ルネミア静かにして」
投げ出したくなる気持ちをぐっと堪え再び作業に移る。
「ルネミアこれ見て、もしかしたら何かわかるかも」
リミルの見せて貰った書物にはアクア村のことが書いてあった。
何でも水の神様を信仰している村だとか。
やっと見つけた手がかりかもしれないが情報がすくな過ぎてこれだけではなんとも言えない。
「これだけだと情報がすくな過ぎない?」
「そうだけど、やっと見つけた情報を無駄には出来なくない?」
私は悩んでしまう。調べた所このアクア村というのはかなり遠いのだ。
往復出来るほどの余裕があるかもわからないし、仮に間違ってて戻ってきてから探し直す余裕があるとは思えない。
「ここに向かったとしても賭けになる可能性は高い」
「でも、今のところこれしか可能性に賭けれるものも存在しないわ」
そうかもしれない、でも確証が……。なんて考えしまう。
しかし、私はもうこれしか無いのだと割り切ってこの村に向かうことにした。
ここから役一週間ほどかけて向かうのだ賭けが当ってくれと心に強く念じる。
道中は何か起こるわけでも無く比較的安全に向かうことが出来ていた。山賊種や小人種とは数匹程出くわしたが二人で力を合わせ問題無く終わっている。
たどり着くまでの間に不安は無かったが本当にこの判断は正しいのかという不安はずっと残っていた。
不安を抱え幾度となく引き返して他の情報を集める方が良いのでは?という考えを無理矢理押し殺しなんとか村に着事が出来た。
村に着いてみるとそこそこ栄えている様に見える。
私達が来たのがわかると歓迎してくれている様子だ。
「村長に話しを聞きたいのだけれど何処にいるか知ってますか?」
こう聞くと快く案内してくれた。
「わしがこの村の村長ジュール・ドイルじゃ。わしに話しとは何かな?冒険者よ」
「単刀直入に聞きます。神霊水を知っていますか?」
「知っているともこの村の伝承は神霊水を深く関わっておるからのぉ」
ほっほっほっと嬉しそうに笑う村長。
「であれば、神霊水について色々と教えて欲しいのです」
「ダメじゃ」
「何故ですか?!」
「お主らのような異邦の者になど教えれんわ」
先ほどとは違った態度で私達を怒鳴りつける。
何故私達が異邦の者だと言われているのか、それはこの冒険者の証に刻まれている紋章のせいだろう。
この紋章は王都の冒険者だと表すからだ。
ここは元ストレフィア王国領土だったのだ。それは村に入った時に掲げられていた二つ国旗のうちの一つがストレフィア王国の国旗だったからだ。
もう一つは当然王都の者である。
だからこそ私は聞き出せると確信していた。未だ、ストレフィア王国の国民でありたいと願っている者達だとわかるから。
「私は異邦の者ではありません。ストレフィア王国第一王女ルネミア・ストレフィアだからだ!」
村長は驚き焦るがすぐさま冷静さを取り戻しこう言った。
「嘘をつくな。ついて良い嘘と悪い嘘の区別もつかんのかこの小娘は!」
更に怒鳴りつけてきたのだ。当然だろうあの悲劇で国は滅び生存者はゼロという事になっているのだから。
「これだけでは信じて貰え無いのはわかっていたが、これを見て尚貴方は私が嘘を言っている思いますか?」
私が村長に見せたのは王族の証である指輪である。王族にしかつけることの許されないという指輪だ。
本当であれば私が手に持っているのはまだおかしいのだが家族の形見として私が持っているのだ。
流石にこれを見て尚異議を唱えることは無く不敬をお許しくださいと頭を下げられてしまった。
「頭を上げてください。私達は神霊水の情報が欲しいだけなのです。それに、滅びて尚あの国の国民であろうとしている人達を見ることが出来て私は嬉しいのです」
「左様でございますか……。私の知っている情報は包み隠さずお話させて頂きます。それから、宿などはお決めになられているのでしょうか?」
「まだです」
「それでしたら、こちらの宿にお泊まりください。もちろん代金などは要りませんので」
「そうですか。ありがとうございます」
村長から貰った情報はそこそこ役に立つものが多かった。この先の森の何処かに神殿があるという事らしいのだがそれが何処にあるかまではわからないらしい。
そればっかりは私達で探すことになるだろう。
二人は紹介された宿でどうやって探すのかを考えていた。
「この森地図を見る限りかなり広いね。」
「そうね、全てを探すとなるとかなり時間がかかってしまうわ」
うーんと悩んでいると扉がノックされた。
「はーい」と返事をしながら扉を開けると私に会いたいという人がいるという話しだった。
少し悩んだが何か他の情報を持って来てくれたのかと思い私は連れてきても良いと言った。
連れて来られた少女は背は低めの片方ずつ目の色が違う金髪冒険者だった。
背には弓が担がれている。
「久しぶり、ね。ルネミア」
何処かで見たことがあるとは思っていたが声を聞いた瞬間思い出した。
「リア……。生きていたのね……」
思わず涙が出そうになってしまう。しかし、何故リアは冒険者に?
「生きていたのねはこっちの台詞よ。私はあの時王国にはいなかったのですから生きていて当然だわ」
リミル一人状況が理解出来ておらず混乱している様に見えた。
「リミル。この子はリア・フォース。私の友人よ」
「よろしくね」と挨拶をするリア。
「こっちはリミル・ドルフス。私の友人であり仲間よ」
「よ、よろしくお願いします」
二人の自己紹介が終わったところで本題に入る。
「リア、私に会いに来ただけじゃないんでしょ?」
「そうよ、ルネミア達が神霊水を探していると聞いて手伝いに来たの。実は私も探しているの」
理由を聞いたがそこ前は教えてはくれなかった。
それよりも助かったのは2年も前から探していただけのことはあって、森の探索範囲が大幅に縮まったのだ。
後は三人で手分けして探せばきっと見つかるだろうという事になった。
その日はこれで解散し、探索は明日からとなった。
そして、探索を続けて五日ついに神殿を見つけた。
「これ、だよね?」
「きっとこれだわ」
「これじゃ無かったまた探し直しだね」
それぞれがそれぞれの思っていることを言う。
三人共やっと掴んだ希望があるそんな顔をしていた。
はい恋夢です!
お久しぶりですね。今までサボっていたのでほんとに久しぶりです。
書き溜めって賢くない?なんて最近思い始めて書きためして見るかぁと考えておりますw
それでは、また次の作品でお会いしましょー!