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ODD  作者: 巫 夏希
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第六話 帰還する四人



 フルたちは学校に戻ることになった。

 行きは3日かかってしまったが、先生の転送魔法を使い、トライヤムチェン族の村から学校に直接転送された。

 そして、フル、メアリー、ルーシーの3人は校長室に呼び出され、そこにたどり着いた。

 フルは大きなドアをノックする。




 コンコン。




「どうぞ」

「失礼します」


 ギィ、と鈍い音がしてドアを開ける。

 校長室は広すぎず質素な作りで、壁一面にたくさんの本が並べてある。

 床から天井まである本棚がすべてうまっていた。


「みんな、よくきてくれた」


 校長室の中心にある大きな木製のデスクに校長は座っていた。


「活躍はサリー先生から聞いているよ」

「いえ、そんな……」


 フルが答える。


「それに、危ない目にあわせてすまなかった…… 敵が学園に紛れ込んでおるのに気付けなかった。完全にこちらの不手際だ」


 誰も返す言葉が見つからない。

 場は静けさに包まれた。

 しかし、校長自身が静寂を破った。


「ヤタクミ、自分がなぜ襲われたか知りたくはないか」

「え……、僕たちが襲われた理由なんてあったんですか?」

「そうだ、それは……」

「それは?」

「フル・ヤタクミ、おぬしが予言の勇者だからだ。」



 ――時はさかのぼる。



 ガラムド暦元年、おぞましい怪物「メタモルフォーズ」現る。

 神ガラムドはこれを鎮める。

 200年ごろ神ガラムドの子孫が「祓師業」「祈術師」となる。

 1518年 大祈術師テーラ、「2015年に世界が滅びる」と予言。

 1519年 大祈術師テーラ、死す。

 2015年数か月前テーラの弟子、ドグ・フェック「我が師、テーラの大予言を覆す、世界を変える勇者、第二のガラムドが現れる」と予言。

 2015年現在 フル・ヤタクミ、この世界に現る――



「……疑問が一つあります。なぜ、僕が予言の勇者だと断定できるのですか……」

「利き手だ」

「え??」

「おぬしは左利きであろう? 神の一族はみな決まって左利きだ。一般人が左利きにしようとしても、なぜかできぬ。一族の一人とも考えられるが、ぬしのようなものが生まれたと耳にしたことがない。それが理由だ」

「…………」

「まあ、理解できぬのも、困惑するのもわかる。わしの口だけで語りきれるものではない。それにさぞ疲れたであろう、寮に戻って休むといい」


 そう言って、校長は退室を促した。


「失礼しました」


 3人は一礼し、校長室を後にした。


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