表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ODD  作者: 巫 夏希
46/53

第四十三話 現れた訪問者

「……負け惜しみね」


 リュージュはパチリ、と指を鳴らす。

 と、同時にオリジナルフォーズが唸る。

 それは振動となり、大地を揺らす。


「……おお……! さすが、さすが『オリジナルフォーズ』……神をも封じることの出来なかった……この力!」

「……そんなのに、適うのかしら?」


 リュージュは笑みを溢して言った。


「……ああ! きっと勝つ!」


 フルはシルフェの剣を、もう一度構える。


「シルフェの剣……。大賢者シルフェ・スタンドアローンが自身の魔力を糧にして作ったとされている……でも」

「なにが大賢者によって作られた剣? そんなのまやかしにきまってるわ。バルトたちを倒せたのも所詮“運”よ。彼らは“運”が悪かったから死んだ」


 リュージュはスラスラと言った。


「仲間が死んだ事を苦と思っていないのか」


 フルが言った。


「苦?」


 リュージュはあっけにとられたように言った。


「苦になんて思うわけないじゃない。確かに彼らは私の下僕として、とても優秀に働いてくれたわ……」

「……死ぬまでもが計画のうち、とでも!」


 メアリーは叫んだ。


「ええ。私は私の野望を達成させるためになら、なんでもやるわ」


 同時に、足音がきこえる。

 フルの背中が、冷たい汗が伝う。


「お兄ちゃん!」


 フルはその声に聞き覚えがあった。


「……え?」


 フルは後ろを振り返った。

 そこにいたのはオレンジのワンピースを着た、中学生ほどの少女。


「……なんで、ここに……?」

「お兄ちゃんこそ、なんでここにいるの? こんなところにいないで帰ろうよ」


 少女はフルの袖を引っ張る。


「……いいかげんにしろ」

「え? お兄ちゃん、何?」


 刹那、シルフェの剣が彼女の肩を切り裂く。


「……うっ……いったぁ……なにすんの! お兄ちゃん!」

「おまえは……妹じゃない」

「な……何言うの! 私は……」

「知ってるか? 俺の妹は……右目の下に泣きぼくろがあるんだよ!」

「……」


 すると今までとは全く違う音域、表情、口調で言った。


「……やはり『見たことのないもの』をコピーするのは無理……だなぁ」

「……かなり早くバレてしまったな。流石だ」


 リュージュは不敵な笑みをこぼす。

 いつの間にか、あたりに煙が立ち込める。

 しかし、それは冷たい。煙ではないようだ。それは少女の顔をすっぽりと被った。


「……覚えているかな? 予言の勇者、フル・ヤタクミ」


 それはゆっくりと歩きだす。


「……お、お前は……」

「……覚えてくれていたか。そうだ。私はハイダルク国軍第一近衛師団長、」

「ゴードン・グラムだ」

※執筆当時は某錬金術漫画にはまっていたころでしたね。連載終了後の盛り上がりも相まって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ