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ODD  作者: 巫 夏希
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第二十話 逃亡の果て

「お久しぶりです、タイソンさん。逃亡後の自由気ままな生活はどうでしたか?」

「あんな地獄のさらに奥深くのようなところに比べれば、何千倍も、何億倍も楽しいね」


 そう言うと、タイソンはバルトを睨みつけた。


「僕にとっては天国なんですけどねぇ…… いくらでも僕の炎を発揮させられるし、いくらでも人を殺させてくれる。こんな良い組織はない、と思っていますよ」

「ふん、おまえの思考なんぞと比べてほしくないわ」

「ひどいなあ、タイソンさん。そこまで言われるとは思いませんでしたよ…… まあ、そろそろ本題といきましょう。もう分かっているとは思いますが、今日であなたの逃亡生活は終わりです」


 バルトは一瞬ニヤリとする。



 ブォォォオオ



 バルトの発した炎が、瞬く間に船を飲み込んだ。





 フル達が新たに得た船は、前のよりも小型だったが、性能がいいのか、とても速かった。

 早くも、タイソンの船が水平線の彼方に消えた。

 しばらくして夕方、チャール島が見え始めた。


「この船はっやいねー 明日の朝には着いちゃうんじゃない?」

「そうだね。タイソンに会ったのは幸運だったかも……」

「うん、なんかすごいコンパス貰っちゃったし」


 ルーシーはタイソンのいう百発百中の、不思議なコンパスを取り出した。


「ほんとにそのコンパス、効果あんのかな?」

「わかんない。でも今は手がかりがないから、信じるしかないよ」

「しょうがないか…… ルーシー、交代で休もっか。先に休んでていいよ」

「ありがと。じゃあ、おやすみ」

「おやすみ」





「フル! 起きて!! チャール島に着くよ!」


 夜中に交代してからずっと寝ていたフルは、ルーシーに起こされた。

 部屋には、朝日が差し込んでいる。


「ん?…… 着いたの?」

「そうだよ、着港の準備して!」


 フルは、パンパンと頬を叩いて目を覚ました。

 大慌てで部屋をでて、甲板で舵をとる。

 チャール島は目と鼻の先だった。

 急いで減速。ゆっくりとしたスピードで港へと入った。

 乗り降り用の橋に横付け。

 ルーシーは橋に飛び移り、ロープを結びつけておく。

 フルは碇をおろして、無事着港が完了した。

 これで一安心。フルも橋に飛び移った。


「おかしいな……」


 ルーシーに駆け寄ると、険しい表情をみせた。


「え? なにが??」


 フルは少し驚く。


「朝の賑やかな時間なのに…… 人気ひとけが全くない……」


 スノーフォグの港町、フィアノには、ただ風の吹く音だけがしていた。


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